AIDMA(AIDA)【第56回】

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AIDMAマーケティング

STPマーケティングミックス4Cなど、マーケティングの実効策を検討するために活用するフレームワークはいろいろあります。過去の私の投稿でもいろいろな形で説明をしてきました。こういった基本ルールは何回も使って身体に染み込ませないと、なかなか有効に活用できません。今回は、そのようなマーケティング戦略を展開していく中で、お客様の購買行動のプロセスを表したAIDMA(AIDA)について解説をしていきたいと思います。販促物の作成などマーケティングとは密接な関係になりますので是非、言葉だけでなく内容も覚えておいて下さい。

ターゲティングの方法【第44回】
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AIDMA(AIDA)とは

AIDMA(AIDA)

自社の新製品・サービスを市場に投入していく時に、お客様の購買行動プロセスに沿ったマーケティング戦略を立てていくことは定石です。その購買行動プロセスを簡潔に表したものがAIDMA(AIDA)です。
そもそもAIDMAは1世紀ほど前からある考え方で、それが今でも使用されていることから考えても、人間の購買行動プロセスは基本的に変わっていないということですね。

AIDMABtoCビジネスでは非常によく活用されています。デジタルマーケティングの世界では不可欠になっていますし、最近ではAISAS(エーサス、アイサス)やAISCEAS(アイセサス)などという言葉も使われていますが、ベースはAIDMA(AIDA)です。
AIDMA(AIDA)はもともと良い広告のパターンを分析したものなので、販促物作成時にも大いに活用できます。メールマガジンSNS広告Youtube動画TV通販番組などにはAIDMA(AIDA)の理論が存分に取り入れられています。
そして、もちろんこの購買行動プロセスBtoB系製造業でも十分に役に立ちます。

AIDMA

AIDMA(アイドマ)とは1920年代にアメリカ合衆国の販売・広告の実務書の著作者であったサミュエル・ローランド・ホールが著作中で示した広告宣伝に対する消費者の心理のプロセスを示した略語である。【wikipediaより】

AIDMA購買行動プロセス

BtoB製造メーカーのAIDMAの必要性

BtoB系製造業は、今でも対人営業がメインです。また、広告宣伝も限定的で、TVCMなどは、どちらかというとCI(コーポレートアイデンティティ)的な要素が強くなります。
また中小の製造業だとそのような有料な広告・宣伝は難しく、広く自社製品を認知してもらうためには見本市(展示会)や自社工場での内覧会がメインとなります。
BtoB系製造業は、どちらかというとお客様との関係が発注元ー下請の関係が多く、また取引先の数も非常に限られているので、自社の製品の認知度を向上させる必要がないという土壌があります。しかし、仕事の絶対量が少なくなっている現在、中小の製造業も積極的に自社製品を拡大し、新しいマーケットへ進出する必要があります。そのためには自社の新製品の認知度を高めお客様の拡大に対策を練っていかなければなりません。

BtoB系製造業が取扱い製品を拡大方法については『取扱製品の拡大方法(1)(2)【第9回・10回】』で具体的に解説をしていますので、そちらも併せてお読みください。

取扱い製品の拡大方法(1)【第9回】
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BtoB製造業のAIDMAモデル

BtoB系製造業が、今までとは違う新製品を販売していく時でも、当然マーケティングが必要です。STP(自社製品をどの市場の、誰に、どのようなポジションで販売するのか)をしっかりと定めたら、AIDMA購買行動プロセスに従って、販促プラン(マーケティングミックス)立案していきます。
1つ1つの販促物に対してもAIDMA(AIDA)の要素が重要ですが、ここでは、BtoB系製造業が新製品をローンチしていく時、それぞれの購買行動ごとにどんな打ち手が考えられるのか、といった観点で説明をしていきます。

注意(Attention)⇒認知拡大

新製品は当然、まったく市場に認知されていません製造業の販売不振の大きな原因は、製品価格や性能ではなく、製品の認知度が命運を分けていると考えています。
製造業の新製品認知度向上はどのようなものがあるでしょうか?

従来の認知方法   対人説明(営業活動)、展示会、内覧会、DM、業界紙広告
新しい認知方法  メルマガ、ランディングページ、SNS(Youtube、Twitter)、SNS/WEB広告   
製造業新製品の認知方法

新製品の販売価格や性格もありますが、対人での認知拡大には限界があります。例えば営業マンが1日に訪問できる数はせいぜい5社か6社です。やはりBtoB系製造業もデジタルを活用した製品販促を主軸にしたマーケティングを取り入れていかなければなりません。

BtoB系製造業の中でも、特に生産財を販売している製造業は、概ね顧客のリストは完成しています。そうなると重要なのは、いかに購買可能性のあるお客様へ情報を届けるのかが、認知度を高めていくポイントになります。STP分析の段階で、この見込み先(集客)リストをしっかり作りこみ、どんな手段で届ければ、もっとも早く確実に届けられるかを検討していく必要があります。
また素材系製造業の場合は会社そのものの認知から必要になります。有料広告などを活用し、広く集客し、そこから見込み先(集客)リストを作成していく必要があります。

興味(Interest)

商品情報が無事にお客様に届けられても、その内容にお客様が興味を示さなければ、購買行動のプロセスはそこで止まってしまいます。商品情報をみたお客様が『なんだろう』、『おもしろいな』と思わせる情報を提供することが必要です。
この情報がソリューションビジネス的に言えば『顧客課題の解決策』になります。
例えば通販番組などは最初の30秒が全てです。ここで興味を惹かなければチャンネルを変えられてしまうからです。そのため紹介する製品の『顧客課題の解決策』を盛り込んでいます。英語の教材であれば『3か月で英語が喋れるようになる』とか、ダイエット系の製品なら『飲むだけで10kg減量』など、自社の製品がお客様になにをもたらしてくれるのかをなによりも最初にアピールします。これが『顧客課題の解決策』です。

興味を惹くための製品情報は『顧客課題の解決策』をより数値を使って示すかがポイントになります。

欲求・記憶(Desire・Memory)

興味は持ってもらえたけど、まだまだ障害があり、発注までいかない状況に対し、『欲しい』と思わせる購買行動のプロセスが、この欲求・記憶(Desire・Memory)です。
BtoB系製造業だと、生産財を販売しているところでも素材を販売しているところも、ここからは対面営業の仕事がメインになります。見積書を提示したり、スペックを調整したりして、お客様の欲しいという気持ちを増長させます。

このプロセスでお客様に『欲しい』と思わせるポイントは下記の2点です。

1)投資対効果(ROI)での提案
2)成功事例の紹介(ユーザー案内)、実証(デモンストレーション)

BtoCビジネスの場合、購買決定は、個人の嗜好や感情などでも大きく左右されますが、BtoBビジネス(法人営業)における購買決定は収益(経済性)が全てといっても過言ではありません。必ず購買決定した時にもたらしてくれる収益を明確に伝える必要があります。
また、後押しする材料として有効なのは、成功事例です。実際にその製品でうまく活用できている事例は何よりも効果があります。また具体的に現状よりも本当に優れていいるのか検証できるデモストレーションをすることも効果的です。

行動(Action)

この購買行動のプロセスはほぼ、営業スキルに依存してきます。デジタルレスポンスマーケティング(DRM)では、このお客様の最後の選択をコンバージョンといい、AIDMAの仕掛けの中では最も重要な役割を果たしますが、BtoB系製造業では、このパートはさすがにフェイストゥフェイスの対人営業となります。
営業マンの営業テクニックで、購買行動を最終局面に持って行ってください。
営業マン最大の壁『検討しておく』に対する対応策などは、少し前の投稿『勝てる営業、勝てない営業【52回】』でも取り上げていますので、良かったらそちらも覗いてみて下さい。

勝てる営業、勝てない営業【第52回】
営業論については、過去にもたくさん投稿してきました。また、自身の失敗例から学んだ教訓なども、『私の失敗シリーズ』などでいくつかご紹介をしてきましたが、やはり、営業というテーマで投稿するとPV数がかなり上がります。特に最近は就職活動の時期も...

さて、今回は新製品の販売戦略を購買行動のプロセスであるAIDMA(AIDA)に照らし合わせて説明させて頂きました。製品販売のそれぞれのフェイズに合わせて正しい販促ができているのか確認するのにも活用できます。
今後BtoB系製造業も、デジタルを活用したマーケティングの比率が高まっていくことは間違いありません。紙で残されたデータ属人的な知識となっている貴重な会社の財産をデジタルコンテンツ化して分析したり、再活用したりしていくことが重要になります。特に販促資料などは、今後動画コンテンツで残していくことは絶対に取り組んでいかなければならないことだと思います。
では今回はこれまで、ごきげんよう!

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