EQ(Emotional Intelligence Quotient)~リーダーの必須スキル【第108回】

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先日、会社の研修でEQ(Emotional Intelligence Quotient)の第一人者・高山 直(たかやまなお)氏の講義を聞く機会がありました。『考える能力がIQであれば、感じる能力がEQ』ということで、これからの時代はEQの時代になると強くお話をされていました。私もITの時代だからこそ人間関係の構築はより重要になると常々考えていますが、残念ながら『EQ?』程度の知識です。この『EQ』、世界経済フォーラム(2016年度)では身につけなければならないビジネススキル6位にノミネートされています。今回は、この『EQ』について、高山 直氏の講義内容を軸に説明していきたいと思います。

EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは

EQ解説

『EQ講和』という通達が総務人事本部より届き、会社の指示で今回、EQジャパン・高山 直 氏の講演を聞いたのですが正直、最初にEQと聞いた時に『What’s EQ?』という感じでした。EQとはEmotional Intelligence Quotientの略で『心の知能指数』と呼ばれます。ちなみに、みなさんが良く知っているIQはIntelligence Quotientの略でまさに『知能指数』のことになります。講義を聴く前に、当然ながら少し予習をして(Google)臨んだのですが、どうやら知識習得的な能力ではなく、人に対応する能力といった感じでまず捉えました。ただ、このEQは、日本人の遺伝子により濃く組み込まれている能力でないかなと感じましたが、やはり1990年代に、日本国内でも一度、EQブームがあったようです。

EQとは「Emotional Intelligence Quotient」の略で、米国の心理学者ピーター・サロベイ氏ジョン・メイヤー氏が1990年に『Emotional Intelligence』という論文によって発表した概念


『あー、私はあまり気が利かないし、性格も自分勝手だからEQ低いんだろうな』なんて思いながら、やや不安気味に講義に参加しました。高山氏は講義の冒頭で、対話をしながらEQについて2つの大きな特徴を示してくれました。

①性格と感情(感じる力)は違う
これはすごく伝わりました。性格と感情ってほぼ同義で使ってしまうことありますよね。なるほど、性格は自分の奥にあるものでなかなか変えられないものです。しかし、感情(感じ方)はその時のシチュエーションによっていくらでも変わります。いくら短気な性格の人でも、お客様や上司の前では感情の出し方が違いますよね。だからこそ、EQ教育や本人の努力で高めることができますし、内向的であまりしゃべらない人でもEQの高い人が存在するのです。この特徴は『なるほど!』って思わせてくれましたし、EQのアウトラインを理解するのに役に立ちました。

②VUCAの時代に必要不可欠なスキル
冒頭にも少し触れたように、このEQはここ数年、再度注目されているビジネススキルになっています。ここからは高山氏の講義内容に準じますが、2016年世界経済フォーラムで『2020年に必要なビジネススキル』第6位、2018年世界経済フォーラムではアリババグループの会長・ジャックマー(馬雲)氏『成功に必要なもの』としてこのEQを挙げています。また2020年の世界経済フォーラムでは『2025年ビジネスパーソンが身に着ける15のスキル』にもEQはノミネートされています。まさに先がわからないVUCA(Volatility【変動性】・Uncertainty【不確実性】・Complexity【複雑性】・Ambiguity【曖昧性】)の時代こそ、このEQの必要性が叫ばれているといった状況です。

この2つの特徴の理解はEQの理解をグンっと高めると思いますので是非、覚えておいてください。

2020年に必要なビジネススキル(2016年世界経済フォーラム)

Chat GPT

この講義を聞いた後も、なんとなく気になっていたEQですが、実は最近、このEQの必要性について『これか!』と思わせる事例がありました。その事例が最近話題のAIチャットボット・ChatGPTの体験です。ChatGPTは、OpenAI社によって開発された自然言語生成システムです。

ChatGPT(Wikipedeiaより要約)は非営利団体OpenAI社によって開発された自然言語生成モデル。GPTはGenerative Pretrained Transformer(生成的な事前学習翻訳者)の略で、大量のテキストデータの学習を行い、人間のような自然な文章を生成する。特に質問応答タスクや対話タスクに特化してトレーニングされており、人間と対話するような会話形式で回答を返すことができる。

私はこのChatGPTを同僚から紹介され、とりあえず登録してみたのですが、実際に使うまでは正直、バカにしていました。しかし試しに使ってみると、その回答レベルの高さに驚かされました。質問が具体的であれば具体的なほど、明確な回答が返ってきますし、またプログラミングなども質問するだけで正確に構文を書いてくれます。私自身もこのChatGPTを使って今までに自分が作成したレポートを作らせてみたところ、アジェンダには全く活用できるレベルで作成されており、3時間程度、夢中で遊んでしまいました。
と同時に恐ろしくも感じました。論文を書いたり、資料を作成したり、それこそ今私がやっているブログの執筆などは人間の最後の領域だと思っていましたが、この領域に恐ろしい速さで、このChatGPTが侵食しているわけです。それこそChatGPTに接続しながらセミナーなどを聴講されたら、質問攻めにあいそうですし、これから学校の先生なども大変な時代になるのではないでしょうか?
もちろん本物は残ると思っていますが、チェスも囲碁もコンピュータが勝つ時代なので嫌な時代です。
そこでふっと『EQ』なんですよ。こうしたAIは常に正しい回答を迅速に導き出します。でも人間のコミュニケーションは全て正しい回答が最適解とは限りません。また時間をかけて正解にたどりつかなければならないこともありうるでしょう。コミュニケーションの相手は性別、年齢、国籍等千差万別です。つまり、これらをハンドリングする『EQ』の能力は、これらAIの機能とは真逆でであり、これは人間でなければできない能力だと感じたのです。恐らく最近、ビジネススキルとして再注目されている理由がこんなところにあるのかもしれません。
ちなみにこのChatGPTは天下のGoogleが相当意識をしている(実際に開発中のAI BIRDを前倒しで公開)らしいですね。これ、理由は良くわかりますね。Googleの検索は質問に対する選択肢を与えてくれるだけですが、ChatGPTの検索は答えを示してくれるわけです。本格化してくれば、Google使わなくなる可能性がありますよね。私も最近、3回に1回はChatGPTに聞いています。

EQの活用

EQの4段階

さて具体的にEQについて説明していきます。下記図の通りEQにはレベルに合わせて4能力(ブランチ)あります。それぞれの段階がややあいまいで、私自身が完璧に理解していないのですが、高山氏の講義内容や、調べた(Googleですよ)限りでまとめたものが以下の通りです。

EQの4段階

能力1:感情の識別(気持ちを感じる)
これは感情を瞬間的に感じる段階です。当然、自分の感情変化はすぐ感じますよね。ここで重要なのは相手の感情変化です。営業マンなどはこの感覚が重要ですね。『あっ、今嫌そうな顔をしたな』とか『見積書の金額反応あったな』などといった感情を感じる感覚ですね。良く、この空気が読めない人を『KY(空気読めない)』なんて言いますね。つまり『感情の識別』とは自分や他人の感情変化を感じる能力となります。この能力は、EQの能力のベースであり、このレベルが高ければ、他の段階も進みやすくなります。

能力2:感情の利用(気持ちをつくる)
感情変化を感じた(識別)時、それに対してどうすれば、最も状況を好転させられるかをイメージする能力です。むっとした人に対してはフォローした表情をしなければならないですし、波長があった人に対しては更に同調できる表情や話題を提供しますね。『感情を利用する』とは、自分が受けた感情を適切に処理し、最適な行動に導いていく能力となります。

能力3:感情の理解(気持ちを考える)
ちょっと能力3・4が私自身の中でもクリアではないのですが、感情変化を識別し、それに適切に対処する経験をした際に、そうなった因果関係を分析する能力と感じました。そのような感情の因果関係データが蓄積されることで、次のコミュニケーションに繋げていく能力が『感情の理解』です。自分はこういう感情の流れがあるので注意しなければいけないとか、あの人はこういう感情変化をする人なのでこうしようなどといったものです。

能力4:感情の調整(気持ちを活かす)
これは、これまでの3つの能力で得たものを活用し、発信する感情受け取る感情を、過去の経験を活かして、常にマネージする能力です。なんとなく能力3と似ているのですが、問題解決に至っていないものに対して、経験値を伴って解決していく調整(修正)能力と定義しました。

この項目では、いろいろなサイトを参考にしましたが、あまり分類にこだわると本質を見失います。いずれにしても重要なのは『敏感に感じ』『最適な対応を見つけ学習し』『解決に向けた行動を起こす』というサイクルを円滑に行っていくことを意識することが重要だと思います。

リーダーの必須スキル

今回、私が聴講した高山氏の1回目の講義はこの後、具体的にEQを高めていくための行動事例になっていったのですが、EQの重要性特徴については非常によく理解できました。というか、今までビジネススキルで重要とされていた調整力コミュニケーション力協調力などは全てEQの高さに紐づいていく感じですね。
EQスキルはまさに気配りのスキルです、つまり、会社においてEQスキルが発揮されている組織は『居心地がよく雰囲気のいい組織』になり得るわけです。つまり『組織リーダーの条件』に直結するわけですね。ということで最後はEQの高い人の特徴についてまとめてみましたので参考にしてみて下さい。また、みなさんはこういうリーダーなりたかったり望んだりしていませんか?

①聞き上手で共感力が高い
EQが高い人は相手の意見を素直に受け入れ、人の話をしっかりと聞く特徴があります。相手が話している最中に遮ったり、強く否定したりせず、まずはじっくりと相手の考えを聞く姿勢がとれる人です。また、EQが高い人は他者の感情を理解しようとする傾向にあるため、共感する姿勢を示しやすい特徴もあります。相手の言葉だけでなく、表情・態度・仕草など、さまざまな部分から相手の感情を読み取り、理解することに長けているため、相手の立場に立った物事の考え方や対応ができます。

②ストレス耐性が高い
EQが高い人は、置かれた状況に合わせて感情の状態を認識し、自分にとって適切な行動を取れる特徴があります。そのため、感情の揺れによるストレスなどを感じにくく、ストレス耐性が高いと言えます。またチームメンバーが感情を上手に安定させストレスを溜めないようにできると、仕事に対する意欲やパフォーマンスを維持することも可能です。

③傾聴力がある
傾聴力があり、素直に受け入れやすいことも、EQが高い人の特徴です。例えば、仕事でミスをしたときや指摘を受けたときに、きちんと非を認め、受け入れることができます。

④物事に粘り強く取り組める
ストレス耐性が高いことから、物事に対して粘り強く取り組めることもEQの高い人の特徴の1つです。目的を達成するまでの感情のあり方も、把握しながら上手にマネジメントでき、目的に合わせて行動できます。

現在のビジネスリーダーは、このようなEQスキルを持っていると言われています。一時代前までの独断即決カリスマ的リーダーとは若干イメージが違いますが、VUCAの時代はより広いコネクションでビジネスを展開する必要があります。このEQスキルは確実に、このコネクション、つまり『良い仲間が集まりやすい』ということです。これは現在のビジネスはには重要なことですね。

今回は自分の意見と言うより、株式会社 EQ高山 直 氏の講義を聞いて、感じたことや今後のビジネスリーダーのあり方などについて雑感を投稿してみました。しかし、いろいろなものがAIに置き換えられていく中、私たちの未来、ビジネスシーンはどのように変わっていくのでしょうか?それを考えると、このEQにすがりたいという気持ちがついつい強くなってしまいます。本当に次世代に文化を繋いでいけるのか、繋いで良いのか、考えさえてくれたEQ講義でした。実はまだ終わりではなく、あと1回講義があります。またEQ診断テストも受けたので、その結果も何かの折にご報告していきます。
では、今回はこれまでです。また次回、ごきげんよう!

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