営業職の適正【第35回】

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スーツ男性営業論

BtoB系製造メーカーにおいて、以前は新卒で文系採用されると大部分の人は営業部に配属され、また営業職希望者も非常に多かったです。販売推進部商品企画部などは、どちらかというと営業適正がない、とみられた人が回される部門で、営業部は開発部と並んで製造メーカーでは花形職種でした。しかし最近は最初から営業職は嫌だとか、私は営業には向いていない、という新卒も大変増えています。今回は営業マンの適正って何なのかについて説明したいと思います。

営業マンの適正とは

営業職に向き、不向きな資質

営業適正と良くいいますが、多少のことならほとんどの人が、本人の努力でやっていけると思います。明るい人や人当りがいい人だけが営業になるわけではなく、そういった資質は持っていない人よりは有利というだけで、私も営業の資質としては重要だと言われているお酒が全く飲めませんが、20年以上に渡って務まりました。これは、資格などと一緒で営業マンの適正とは関係の無い話です。もちろんゴルフなど趣味についても同じです。
ただ、これらの資質の引き出しは多ければ多いほど営業職には役に立ちます。営業マンの第一段階はお客様に『受容される』ことであり、1つの引き出しより、10個の引き出しがある方がお客様へのアプローチ効果は高いです。これは資質だけでなく身体的な特徴などもそうです。
例えば、すごく背が高いとか、肌が黒いとか、一回見れば『この人だ!』と覚えてもらえるのも大きいですね。これは努力ではどうにもなりませんが、私も、そういった身体的な特徴がなかったので、若手のころは意図的に派手なサスペンダーをつけて、覚えてもらおうとしていました。最近は、さすがに色を地味にしていますが、今でもサスペンダー派で、お客様にもしっかり浸透しています。
いろいろな営業マンが私の下に配属されてきましたが、3年は見ないとわからないです。1年目は全くダメで外した方が良いのでは、と言われた営業マンが何かをきっかけで2年目あたりから急速に力をつけていくことがあります。私は営業だけではないですが、特に営業は3年、しっかりとしたコーチングをしながら様子を見たいですね。
但し、資質の中で早めに判断しなければならないのは ①清潔感がない②挨拶ができない③約束が守れない、この3つの要素がコーチングしても身につかない場合は、お客様にも大きな迷惑をかけますし、早めの配置転換を検討した方が良いと思います。あとはコーチング本人の努力でしっかりとした営業マンになれると思います。

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販売力の高い営業マンの特徴

ここまで営業マンの資質について話をしてきましたが、営業マンの仕事は自社の製品を販売し、収益をもたらすことです。BtoB製造メーカーは成熟したマーケットの中で販売量が大きく落ち込んでいます。製品が大量に入れた時代は、販売力がなくても、ある程度製品が売れましたし、また営業マンも販売していくことで営業力がつきました。
今は商談そのものにたどり着くことが難しく、営業マンの販売力の差が大きく売上に表れます。では、この販売力って具体的に言うとどんな力でしょうか?
200人以上見てきた自社の営業マン、またいろいろな場面で交渉した他の会社の営業マンを見てきた中で売れる営業マンには、だいたい共通の特徴があります。

1)レスポンスが早い(依頼に対しての初動、進捗、報告が早い)
2)ヒアリング力(聞き上手)
3)創造(想像)力が豊富
4)断定表現
5)交渉力(期待値調整能力が高い)

(1)は言うまでもないですね。依頼に対してすぐに対応する能力はなにより重要です。これは初動だけでなく、途中経過の報告、最終の報告も含めたお客様の課題解決までのスピード感の早さです。
(2)も良く言われることです。一般的に営業マン聞き8割話2割と言われています。正直、話す営業は非常に楽ですが、お客様の話を引き出さないと顧客課題は掴めません。沈黙を恐れず、なるべくこちらからの武器を小出しにしながら、お客様の考えていることをたくさん引き出すことができる営業マンは成績が毎年残ります。
(3)はお客様の反応に対して、一瞬にして対応策をいくつも考えられる創造力です。別の投稿『営業マン不要論【第29回】』でも説明した営業マンの5つの資質の予測力ですね。この創造力(創造力)が高いと起こりうる事に対して事前に準備をして臨むことができるようになります。
つまり常に先回りをして対処できるようになるわけです。

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(4)は同行したり、横で電話のやりとりを聞いているとハッキリわかります。販売力の高い営業マン常に断定表現(言い切り)しています。これは押しつけとは違います。依頼の返答に対しても、提案をする時も、もちろんクロージングをする時も、必ず言い切っています。この言い切り(断定表現)はお客様に安心感を与え、またクロージング時の意志決定を促します。
(5)これは前述の(4)と大きく関わっている能力なのですが、最も大事な能力かもしれません。
営業における交渉力とは、お客様との期待値調整が上手いということです。営業は『お客様のためにやってあげたい』という気持ちと『会社のためにやらなければいけない』という気持ちの両面を持ちながらビジネスを進めます。この2つの気持ちは、だいたいが相反する(トレードオフ)状況になっています。売れる営業マンは、このトレードオフをうまく調整できる能力があります。
お客様との交渉の中で、お客様の期待値をうまくキャッチし、自社の希望値になるべく近いところで妥結する交渉ができるようになると安定した数字を残せる営業マンになれると思います。

こちらも以前の投稿『安請け合いしないススメ【第31回】』にも期待値調整について触れていますので是非、併せて読んでみて下さい。

安請け合いしないススメ【第31回】
久しぶりの私の失敗事例です。毎回人気になりますが、今回は誰もが経験したことがある、安請け合いです。私は若いころ、自分でも嫌になるぐらい、仕事を拾ってきては苦しんでしました。最終的にはこれを処理することで信頼を獲得したのかもしれませんが、や...

最近、営業職を敬遠する文系学生も増えているようですが、営業職ほど重要で、また自分自身を成長させてくれる職種は無いと思っています。1,000人以上の大企業の社長でも、1人で経営している社長でも、経営者と直接接触して話が聞けるということは、営業マンと経営者の関係でなければなかなか実現できません。経営者の考えはサラリーマンでは到底考えられない金言が隠されています。
また販売推進や営業企画などで働きたい人も、お客様を知らない人では到底務まりません。それぐらい営業職は『誇り高い職種』です。
是非、このサイトにたどり着いた学生さんがいたら、この誇り高い営業職を希望してみて下さい。では、今回はこれまで、ごきげんよう!

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