営業マン不要論【第29回】

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説明する営業マン営業論

これからの時代、営業マン不要論がかなり現実味を帯びています。特にコロナ禍の中、対面販売が物理的に不可能になり、各企業は対面しないでも可能な販売スタイルを急ピッチで対応してきました。BtoB系製造メーカーも、ZoomやTeamsなどを活用したリモート営業やメルマガ等を活用したデジタルマーケティングに取り組み始めた1年ではなかったかと思います。その中であえて営業マンの教育をテーマに今回はお話をしたいと思います。

営業マンの向かう方向

営業マンは本当に不要になるのか?

10年ぐらい前に、あるセミナーで『ロボットに取って代わられない職種は何か?』という問いがあり、スポーツ選手や芸術家などと混じって営業という職種も、なかなかロボット化できない職種として認識されていました。
しかし今日現在、AIのディープラーニングは絵画を描いたり、音楽を作曲したりすることができるようになりました。また営業は、営業マンそのものに変わるロボットは出現していませんが、対面販売を必要としない製品の販売スタイルがBtoC系の消費材を扱う企業を中心にハイスピードで拡大してきており、今やBtoB系製造メーカーの製品も、ネットなどでお客様が独自に情報を集め、対面営業までには6割の決定意志を持つと言われています。つまり営業マンが呼ばれた時は、既に6割は何を買うのか決まっているということです。
そのため、各企業もインターネットを使った販促、つまりデジタルマーケティングに力を入れ始め、デジタルマーケティング先進国であるアメリカでは対面販売型の営業マンは徐々に減っていると聞いています。元々アメリカにおける営業マンはコミッションで働く人が多く、営業マン顧客リストとともに企業を転々とする一企業のようなものなので、販売に関わる経費を安く、また伝達を効率良く行えるデジタルマーケティングはむしろ歓迎な土壌があったと考えられます。
日本の、とりわけBtoB系の製造メーカーはCRM(Customer Relationship Management)ツールの導入も遅く、顧客の情報が、相変わらず紙と営業マンの頭にしかないような状況の会社も多いので、デジタルマーケティングを実行する土壌がやや欠けている感じがします。

デジタルマーケティングについては、また近々に記事を書こうと思っていますが、では営業マンは今後不要になっていってしまうのでしょうか?
これは扱う商品の特性(価格、販売数)にいっても変わりますが、営業マンは今後も絶対必要です。ただ、製品特性によってだいぶ役割が変わってくるかもしれません。
安価な製品についてはクロージングだけの役割が強くなってきますし、本当に営業マンが不要な製品も出てきます。実際に家電、日用品、書籍など店舗型のビジネスにおいて販売員はかなり不要になってきています。インターネットからの情報、レビューやSNSからの口コミが販売員以上の販売効果を創り出します。逆に販売数の少ない製品の場合は、営業マン側が顧客課題の洞察や、ターゲットを決めるなどマーケティング的な役割を求められることも考えれます。
このように求められる役割は、よりデジタルマーケティングの方向へシフトしてきますが、求められる資質は変わりません。

営業マンの必要な資質

以前、『営業マンが身につける7つのこと【第13回・14回】』でも説明しましたが、お客様が製品購入の意思決定をする際に、営業マンの対面訪問を必要としている場合、その営業マンに求められることは30年前から、ほとんど変わっていません。また営業マンがお客様とリレーションを構築していくステージも入社の頃に習ったステップとほとんど変わっていない印象があります。今回、復習も含めて営業マン必要な資質、並びにリレーションを構築していくためのステップをまとめてみました。

営業マンの必要資質とリレーションのステップ

営業マンスキルをカテゴライズする時に、私は大きく3つに分けます。

1)営業経験
2)営業資質
3)対人・顧客対応

これらはそれぞれ同時並行的にスキルアップが必要です。(1)営業経験は特に説明の必要はないですね。自社の製品知識やマーケットの情報、顧客の情報(顧客の顧客情報や従業員の相関関係まで)などですね。日本の会社は同族系の会社も多く、私の会社では系図!?まで作っていました。
(2)営業資質については過去投稿の『営業マンが身につける7つのこと【第13回・14回】』に詳しく書いてありますが、まず『スピード』『正確さ』『丁寧さ』を身につけることです。これが習慣化したら、今度は、次に起こることを『予測』をしてその『準備』を的確に行うことです。この5項目(前回記事はこれに『あいさつ』と『責任感』を加えて7つのこととしています)がしっかりと身につくとお客様はその営業マンを高く受け入れる(受容)ようになり、製品提案を受け入れるスペースができあがります。

営業マンが身につける7つのこと(1)【第13回】
最近は社内でもすっかりマーケティング関連の人のように思われてきている管理人(Fujiwebs)です。しかし、職歴的に最も長いのは、なんといっても営業職です。私はお酒も飲めませんし、人付き合いもそれほど上手ではありません。また、営業マン特有...

(3)対人・顧客対応はリレーションを構築していくステップです。まず、営業担当になったのであれば自分の顧客リストをしっかりと把握し、層別することです。これは製品を購入するお客様、購入しないお客様という層別だけではなく、自社の対する協力性業界の影響力など情報の収集、拡散効果も考慮して層別する必要があります。
層別が完了したら、次はお客様に受容されることですね。まさに自分という商品の売り込みを仕掛けます。BtoB系の製造メーカーは製品受注まで時間が掛かることが多く、この受容される部分が販売を大きく左右します。商談が発生していない時こそ、この受容に時間をかけ、ファーストコール企業(なにか顧客課題ができた時に最初に連絡をもらえる)になっておくことが重要です。
ある程度、お客様との受容(リレーション)ができたら、次は提案です。このパートも過去にいろいろな記事にちりばめて説明をしてきたいので詳しい話は過去記事を参照頂きたいのですが、重要なのは顧客課題が起点となっている提案であることです。自社製品からスタートした商談は、必ず競合を呼び、価格による決定に繋がります。提案をする際は、必ず顧客課題が起点である提案に心がけて下さい。そしてこの顧客課題起点の提案ソリューションビジネスです。

ソリューションビジネスは価値の取引【第2回】
さて、前回は自己紹介がてら私の職歴とBtoB系製造業のソリューションビジネスの理解について書かせてもらいました。ソリューションビジネスについて、少しは興味を持って頂けましたでしょうか?さて、今回から2回ぐらいで、まずはソリューションビジネ...

これら3つのカテゴリーに分けた営業マンスキルですが、最後は理論を超越した人間的な魅力ですね。これだけは、なかなかどうにもならないですが、磨き上げていくことは可能です。その磨き上げは営業資質の5項目営業経験を高めていくことです。私も身体的な特徴もなく、人間性も平凡でどちらかというと対人が苦手なタイプでしたので、そのコンプレックスを前述の資質5項目営業経験をひたすら高めていくことで受容される営業マンになろうと努力しました。
魅力的な営業マンなら1回で受容されるものを3回ぐらいかけていたと思いますし、営業効率も当然、悪くなりますが、とにかく昨日より10cmでも前に進む思いでブラッシュアップしていけば、求められる営業マン像に近づいていくでしょう。

最後はやや精神論的な話になってしまいました。今回はいかがでしたでしょうか?
ブログも30個近く投稿すると、週に1個、2個感想や質問が届きます。是非、何かご不明な点、販売関連で悩んでいる事項がございましたら、今後も記事として取り上げていきたいと思いますので、なんなりとお問合せ下さいね。では今回はここまで、ごきげんよう!