営業3年生までのアドバイス~令和の営業スタイル【第91回】

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スタート営業論

いよいよ桜の季節、フレッシュマンが新しい社会へ踏み出す季節です。今年もたくさんの営業1年生が全体研修を受け、秋ごろにはいろいろな部門に販売部門に配属されていくことでしょう。私も当時のことを思い出すと、とにかく先輩のやっていることを見よう見まねして、今思い出すと恥ずかしいようなこともずいぶんしながら、それでも毎日楽しんで営業に出ていたような気がします。まだ時代がゆっくりと育てることを許してくれていた時代で助かりました。最近は、CRMSFAツールの導入も進み、営業のスタイルも変わってきているところですが、そんな時代の営業フレッシュマン向けに、現在の営業環境や心構えをアドバイスにして贈りたいと思います。

SFA(セールスフォースオートメーション)

SFAって何?

令和の時代、営業を取り巻く環境は大いに変わってきています。一人1台のノートPCやスマホなどは当たり前で、今はクラウド型の営業支援ツールが無くてはならないツールになっています。
特にSFA(セールスフォースオートメーション)はここ数年、営業では重要なツールになっており、私もクラウド型の外部SFAを導入する時の責任者だったので、積極的に導入を推進しました。
もともと自社で構築したSFAツールはあったのですが、仕様の変更に限界があり、またシステムの改修にも非常にお金が掛かかるため、ほとんど日々の日報としての機能しか果たしていませんでした。そこでSalesforce社のクラウド型のSFAと出会い、案件管理を軸にした販売活動に特化したシステムにほれ込んだわけです。
新人営業マンのみなさんも恐らく、こういったSFAツールを活用させられることも多いと思いますので、少しSFAツールについて説明をし、どのように使われているのか説明しておきましょう。SFAツールの大きな機能は下記のようなものになります。

①案件管理
SFAツールの機能はとにかく案件(商談)の管理です。現在、自分の案件がGOAL(予算達成)に向けてどれくらい保有しているのかを見える化できることがSFA最大の機能です。

②行動管理
案件の管理だけではEXCELで管理しても同じことが可能です。EXCELではできない機能として自分の営業活動が効率よく行われているのかを見える化する機能が備わっています。活用部門で営業活動のKPIを決め、各営業マンが正しく行動できているのかを確認することです。主に訪問件数有効訪問率などの指標が使われます。
例えば、1日の有効訪問件数(キーマンに設定されている人との面談)を5件と決めたら、それに対して何件になっているのか?こういった指数を案件の確度(私の会社ではフェイズと呼んでいますが)と組み合わせて、案件の見落とし優先順位がしっかり確認できるようなKPIを設定し活用します。
このKPIはSFA上で常に見える化されるので、営業マンは『自分はどの案件を優先的に処理しなければいけないのか』を見極めることに活用できますが、もちろん、本人が気づいてなければ上司にも共有されていますので、上司から行動について指示をすることも可能です。

③日報管理
これは日報(レポート)機能です。訪問の状況を記載することで上長への案件進捗の報告・状況変化の共有が主目的となりますが、重要なのは上長からのフィードバック、つまりコーチングをしっかりとすることです。また、チャッター機能なども活用して営業以外の関係者に対して情報を共有することも可能となります。
これ以外にもCRM(カスタマーリレーションマネジメント)ツールと連携して顧客情報管理や、予算に対してどのくらい進捗しているのかを確認する予実管理などありますが、大きな機能は上記の3つになると思います。

SFAの功罪

SFAは基本、担当営業マンのためのツールです。そのため案件を管理し、案件の受注までをサポートするシステムと考えるべきです。つまり、私のような年配の営業マンが若いころに手帳やEXCELにまとめていた案件情報をシステム上で管理することができるということです。クラウドシステム上に案件が管理されることにより『どこにいても』『だれとでも』『オンタイム』で共有することができるものということを認識することが重要です。
営業マンが毎朝、今日やるべきこと、今週やるべきことをSFAKPIを確認をしながら(むしろSFAからアラートが出るようにすべき)進められるように使われ、時には上長からコーチングをもらいながら成果達成に活用されるようになれば、とてつもなく有効な営業ツールです。
しかし、しばしばSFA上司の部下管理ツールになったり、ただ実績数値を集計することがメインになってしまうケースが散見します。それはあくまでも補足的な機能で、SFA担当営業マンが案件を効率的に管理をしながら目標達成に繋げていくツールにならなければなりません。
また担当営業マンも、SFA日報入力システムと勘違いしているケースが多いです。しつこくなりますが、SFAはその名の通り案件を管理し、受注に結びつけるツールです。日報などは上司が隣に座っていれば口頭でも問題ないわけです。営業マン側の案件管理方法を最初の段階でしっかりと教えて使っていくことがなにより大事なことになります。
また、導入に当たって重要なのは、とにかくカスタマイズを最小限に抑え基本パッケージの状態でどこまで活用するかがポイントです。今までのやり方、今まで通りのフォームにこだわってしまうことで、せっかく合理的に作られているSFAシステムが複雑になってしまいます。多少の不便さや、見え方の違いが目をつぶり、販売するための機能のみ一部カスタマイズをして活用するのが良いでしょう。

営業フレッシュマンに送るアドバイス

令和の営業環境

私が入社した平成初頭と令和の今とでは営業の環境も大きく変わっています。なにせ、私が営業部に配属された時はスマホはおろか、PCですらフロアに1台か2台しかなかったですから。
しかし不便を知っているからこそ、今の便利さが有効に使えるということも考えられます。顧客データベースも満足になかった当時は、お客様に訪問しなければ自社の製品が設置されているかどうかわからないこともあり、担当エリアをもったら、最初の1か月はひたすら情報収集でした。
ここに顧客データベース(CRMツール)があると、その会社の住所や売上高などだけでなく、購入履歴だったり、人物情報がクリック1つで獲得できます。これが前述したSFAツールと連携していると、訪問時の過去の日報案件の情報提案資料などもリンクし、クラウドの特徴を活かして、客先の駐車場についてからでも調べることができます。
営業マンの仕事は『自社の製品を販売すること』です。販売すること以外のことに時間を割かれてはいけません。これらの営業支援ツールを積極的に活用し、販売する時間を最大限獲得できるように使うことが求められるのであり、決してツールに使われてはいけないのです。
時々、見かけてしまうのですが、SFA日報入力に1時間もかけていたりしているのは、本当に本末転倒な話なのです。
以前の投稿にCRMSFAについて説明した回がありますのでリンクを貼っておきます。こちらも参考にしてみて下さい。(『CRMとSFA【第33回】

CRMとSFA【第33回】
顧客情報(リスト)無しで販売活動をするということは地図を持たずに知らない土地を旅するようなものです。私が入社したころは、まだPC(オフコンと呼んでいましたが)もフロアに1~2台しかなく、ユーザー管理も納品台帳からドットプリンタで印字したも...

新人営業マンにとって最も大切なこと

私の世代の営業マンは新しい営業ツールに懐疑的で、導入には結構、抵抗されます。『営業はとにかく回れ、体力勝負なんだよ!』という感じですね。使える支援ツールは可能な限り使って効率を上げていくべきなのですが、実は、この先輩の発言も決して間違いではないのです。

新人営業マンに『営業にとって大切なことは何ですか?』と聞かれたら、私は『活動量』と答えています。新人営業マンには話術、クロージングのテクニック、お客様とのリレーション、何もありません。その時に大事なのは、『どれだけお客様と接触機会を持てるかどうか』だと思います。

新人営業マンの最も重要なことはお客様への活動量である。

まず、たくさん訪問すれば、確率論的に案件にぶつかる可能性が増えます。そしてさまざまなお客様と面会し話をすることで業界やその地域特有の情報を自然と身に着けることができます。競合の情報も手に入れられますし、自社がどのように業界でみられているかなども、多くのお客様に面会しなければ得れないものです。
そして、この『活動量』自分の努力次第で、すぐに達成できることなのです。BtoB系、つまり法人営業だと、最初はなかなか良いお客様を持たせてもらえません。ここで結果が出ず、腐って、春には異動の希望を出すようなことを考えず、まずはひたむきに結果が出なくても『活動量』を増やしていくことが次に繋がります。
とはいうものの、やみくもに回っていればよかったのは、私の時代までです。今はCRMSFAなど、いろいろな営業支援ツールがあります。これらを使いこなすのはベテラン営業マンより、若い営業マンの方が得意分野です。情報を事前に分析し、無駄な『活動量』にならないように進めることも併せて実行してみて下さい。このハイブリットが営業1年生の重要な基礎づくりになります。

ドラッカーの言葉を借りれば『成果は市場(お客様)にしかありません社内の業務にあるのはコストだけです』ということです。営業マンは成果を求める仕事です。となると必然的に、そのための手段はお客様に行くことになるのです。
可能な限り、働いている時間の大部分をお客様との接触に充てることを習慣にしていると、半年もすれば確実に差が出てきます
で、最後に会社に入ると、いろいろ理不尽なこと理想とかけ離れたことに直面します。事前にお断りをしておきますが、これは私見で決して強要するものではありません。
ただ、雇った側には雇われた人に対して、責任と義務があるのと同時に、雇われた側にも同じように責任と義務があると考えています。『雇われたら、その責任として3年間は一生懸命働く』という意識も大事なのではないでしょうか?
最近は早い段階で転職するフレッシュマンも多いです。しかしあなたを採用したために一人の希望者が不採用になっています。3年働くといろいろなものの見方ができるようになってきます。まずは3年頑張てみるのもいいのではないでしょうか?
これも以前の投稿で似たようなテーマを扱っていましたのでリンクを貼っておきます。(『新人営業マンがやるべきこと【第59回】』)

新人営業マンがやるべきこと【第59回】
新しいシーズンがまた始まりました。私の会社でもフレッシュな新入生が入ってきました。先日も新入社員講和ということで少しお話をさせてもらったのですが、みんな表情にやる気がみなぎっており、楽しみです。恐らく、その中には営業マンとして頑張っていく...

ということで、新年度らしく営業マンフレッシュマンに贈るアドバイスを令和の営業ツールであるSFA(セールスフォースオートメーション)の説明も含めて投稿させて頂きました。SFAはうまく使うと営業の効率を非常に高めることができます。
以前、私の会社でも営業会議の前日は課長が一日中、オフィスに残って発表資料を作ったり、資料作成後、変更があったりすると、口頭で修正しながらわかりづらい説明を余儀なくされていましたが、SFAが導入されてからは、ツールだけを使用し、最新の情報を使って説明できるので資料作成に時間が割かれるようなことはなくなりました。その特性から会議の発表の寸前まで内容を更新することができるので、後ろから見てると後半の発表者はしきりにSFAを更新していましたね。
営業は、非常に誇りの高い職種です。特にBtoB系製造業の営業マンはより重要性が高まってくると思います。
是非、最高のツールを有効に使って営業スキルを高め、お客様との関係をしっかり構築できるトップ営業マンを目指してみて下さい。今回は、これまでです。また次回、ごきげんよう!

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