マーケティングに影響を与えた著名人(1)【第61回】

レジェンド1マーケティング

ちょっと実務が忙しくブログ更新が疎かになってしまいました。今回は実務をやっている中で、マーケティング基礎部分は本当に変わらないな、と感じています。そこで今回は自分の頭の中を整理する上で、マーケティングで良く出てくる著名人の本の内容も参考にして説明します。
このコーナーは、反響があれば、今後もシリーズとしてご紹介をしていきたいと思います。

フィリップ・コトラー(Philip Kotler)|1937年~

マーケティングの神様

コトラーはマーケティングに携わっている人だけでなく、社会人であれば名前だけは聞いたことがあるのではないかと思いますが、アメリカ出身の経済学者です。
私も『コトラーの戦略的マーケティング(2000年初版・木村達也氏訳)』は愛読書として自己保有していますし、時々開いたりもしています。

コトラーは『マーケティングは環境とともに変化する』とし、1900年代から2000年代の市場の変化に対応するマーケティングを解説し、それぞれの打ち手までひも解いています。そのようなところからマーケティングの神様とも言われています。
私はまだ読んでいないのですが、2020年に『コトラーのリテール4.0(2020年恩蔵直人訳)』新刊を出しています。今も尚、マーケティングで存在感を持っている人物ですね。

□1920年代:製品中心のマーケティング(売り方のマーケティング・マーケティング4P)
 打ち手:マスマーケティングの展開(ラジオ・TV・ダイレクトレスポンス)

□1970年代:顧客中心のマーケティング(差別化、STP理論)
 打ち手:バリュープロポジションの構築(差別化戦略)

□1990年代:価値中心のマーケティング(CSR、ブランドイメージ)
 打ち手:ブランド力の熟成、保有の価値提供

□2010年代:自己実現のマーケティング(顧客拡散、ユーザースコアリング)
 打ち手:ユーザーエクスペアリアンスデジタルマーケティング

この理論は時代で解説されていますが、もちろん製品ライフサイクルで考えた方がピンとくると思います。例えば、現在でも成長市場、製品はあります。そのような市場ではマスマーケティングが有効になります。
コトラーの理論を活用していく中で、今の時代、製品ライフサイクルが短くなり、万人に受ける爆発的なヒット商品は生まれづらくなっています。マスマーケティングと同時に競争に晒され、すぐに差別化戦略(バリュープロポジション)を考えていかなければいけなくなることも、しばしばあります。
マーケティングをしていく中で、自社の製品が製品ライフサイクル上のどの位置にいるのかを考え、適切な打ち手を、4つのマーケティングポジションから考えていくことが重要になると考えます。

ではコトラーの提唱した数多くの理論の中で有名なものをいくつか紹介します。

STP理論

これは過去の投稿(『マーケティングSTP~ターゲティングの方法【第44回】』)で詳しく、わかりやすく説明をしていますので、こちらをご覧頂けたらと思います。

ターゲティングの方法【第44回】
最近、マーケティング関連の投稿が減っているので今回は、久しぶりにおさらいを兼ねて製品販売のターゲティングについて説明したいと思います。マーケティングにおける最重要事項であるSTPは、BtoB系製造メーカーのように成熟した市場の中で製品販売...

STPは製品を企画していく際に、最も活用する理論(フレームワーク)です。
新製品をローンチする際に、競合に対してどうのように勝利するのかを考えていく戦略です。コトラーは、それを3つの切り口で考え、市場のどの位置に投入すれば最も効果的な勝利を得ることができるのかを考えるマーケティングでは最も重要な部分として説明しています。

①セグメンテーション・・・市場のどの部分で戦うのか?
②ターゲティング・・・定めた市場のどの層に売り込むのか?
③ポジショニング・・・競合に対してどの立ち位置で差別化するのか?

これは次に説明するマーケティングミックス(4P)とも重要な関わりがあります。一般的に『STP をしてから4P』がマーケティングの教科書では当たり前のように書いてありますが、特にBtoB系製造業であれば、STP4Pの製品・流通・価格戦略についてはほぼ同時に行われると考えて良いと思います。
それは、製品特性がある程度企画段階で決まっており、また顧客も既存顧客に提供することが多いため、製品軸と市場軸が同時に分析されないとマーケティングが難しいからです。

マーケティングミックス(4P)

こちらも過去の投稿(『マーケティングミックス(1)(2)【第45回・46回】』)で2回に渡って説明していますので詳細はそちらも併せてご確認ください。

マーケティングミックス(1)【第45回】
前回は『ターゲティングの方法』というテーマで、現在マーケティングにとって最も重要なSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)の解説を致しました。今回は、そのターゲットに対して、どのように製品情報を届け(集客し)、売上に繋...

このマーケティングミックス(4P)はコトラーの考えた理論では無い(アメリカのマーケティング学者 エドモント・J・マッカーシーが元祖)のですが、STPとセットで出てくることが多いので一緒に括っておきましょう。
ちなみにコトラーは通常の4Pに世論(Public Opinion)、政治力(Politic Power)を加えたマーケティングの6P理論なども提唱しています。
マーケティングミックス(4P以下の通りです。すべて最適になるように考え抜くことが必要だとコトラーが説明しています。

①製品戦略(Products)・・・どんな製品特性(差別化)を加えたら販売に最適か?
②流通戦略(Place)・・・どういう販路で製品を届けるのが最適か?
③価格戦略(Price)・・・いくらで販売するのが、収益にとって最適か?
④プロモーション(Promotion)・・・製品情報をどうやって顧客に伝えるのが最適か?

よく、STPは戦略でそれを行う4Pは戦術と書かれているものも多いですが、先ほどSTP部分でお話をした通り、BtoB系製造業では市場軸を分析する必要がやや薄いので、製品や流通について考えることが戦略そのものとなり、それに実現するための市場(STP)はどこなのか、といった分析も良く行われます。
この辺については理論は理論として学び、実践では『競合に対してどうのように勝利するか』を意識してマーケティングを進めることが、最も効果的になると思います。

競争戦略

コトラーは市場競争で、競争の仕方について4つの競争地位戦略があると説明してます。

コトラーの4つの競争地位

マイケル・ポーター(Michael Porter)|1947年~

ポーターもマーケティングに携わっている人は必ず知っていなければならない人物です。ポーターはアメリカ出身の経済学者です。
こちらも『競争戦略論Ⅰ・Ⅱ(1999年初版・竹内弘高氏訳)』は自己保有しています。特にⅠについては読み返すことも多く、机の前に置いてあるぐらいです。また代表作である『競争の戦略(1985年初版・土岐坤・中辻萬治・服部照夫訳)』は経営学のバイブルとなっています。
ポーターは『自社の置かれた環境を分析し、勝てるポジションを見つけ実行する』とし、経営における勝利は『収益』としています。
前述のコトラー同様、経済学を経営学に応用したことでマーケティングの一人者と言われています。

コストリーダーシップ戦略と差別化戦略

ポーターが提唱した戦略の中でもよく知られているのがコストリーダーシップ戦略差別化戦略です。良く、ポーターの3つの基本戦略などと言われているものですが、3つ目の集中戦略は、コストリーダーシップ戦略でもあり、差別化戦略でもあるので、2つだけを説明します。既に言葉でどういう戦略かは理解できますね。

①コストリーダーシップ戦略
競合他社よりも安価な商品・サービスを提供することで、競争優位を確立していく戦略
一般的にシェアの高い企業が大量生産や、仕入れから流通(バリューチェーン)までの一貫製造をし、商品を安価に製造することで競争優位に立つ戦略。または小さな企業が安価な固定費を活かし、ある特定の狭い市場において大手企業よりも安い製品を提供する戦略(これが集中戦略とも呼ばれる)

②差別化戦略
自社の商品やサービスの差別化要素を強調して、業界内で独自のポジショニングを築いていく戦略
主にシェア3番手以降の企業が自社製品の独自性を活かし、そこを強調することで競争優位に立ち、市場のあるポジションにおいて競合他社よりも高い収益力を上げる製品を提供する戦略

5 Forces

5Forces分析(ファイブフォーセズ)は、外部環境分析においてPEST分析と並んで良く活用されるフレームワークです。PEST分析よりも自社に対して具体的なので、経営不振から脱却する時など自社の外部環境のどこに対して課題があるのかを分析し、打開策を見つけるに役立ちます。ポーターは、この打開策を検証する時も、重要なことは収益(利益圧迫要因)とし、『収益』にこだわっています。

ポーターの5フォース分析

5 Forces分析は、PESTなどでマクロ環境分析をした後に、業界環境を分析するフレームワークとして使われることが多いと思います。
縦の①、②、⑤は市場の取合いを分析しています。例えば今、販売量に苦しんでいるのであれば、競合からの競争が影響しているのか?それとも新規参入者に苦しめられているのか?はたまた、新しい技術(代替品)によって苦しめられているのか?を縦の3つを分析し、最も重要な項目に対して競争優位(収益最大化)を獲得するためにはどうすれば良いのかを検討していきます。
横の③、④はバリューチェーンにおける価値の取合いを分析しています。サプライヤー(売り手)から原材料を仕入れをして自社で製造して、購買者(買い手)に買ってもらうのが商取引です。サプライヤーから安く原材料を仕入れることができれば自社の収益は高まります。また購買者に高く販売することができても自社の収益が高まります。これの逆になると自社の収益が低くなるわけです。
つまり、サプライヤー購買者価値(収益)を交渉することで自社の価値(収益)が最大化するように検討していきます。この辺は議題として、おもしろいところなので、また別途、投稿していきたいと思います。

さて、今回はマーケティングの2大著名人であるフィリップ・コトラーとマイケル・ポーターについてキーワードになるフレームワーク理論を紹介させて頂きました。冒頭にも話をしましたが、製品の販売が直接販売からネット販売に変わっても基本的なマーケティング理論は大きく変わっていません。一度、原点に帰ってバイブル的な本を読んでみるのも良いのではないかと思います。
では、今回はこれまでです。また次回、ごきげんよう!

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