ROI(投資対効果)【第38回】

ROIソリューションビジネス

われわれはモノを購入する時に、本当に好きなものでなければ、どれが一番お得なのかを考えますよね。家電などを購入する際も価格とスペックを照らし合わせ、なるべく損をしない買い物に心掛けます。これは簡単な投資対効果(ROI)を考えながら購買しているわけです。
ビジネスにおいてもこれは一緒です。お客様が投資に対してどの製品が一番損をしないのか、もう少ししっかりした言葉を置くとすれば『価値があるのか』を考えながら購入しています。今回は、このROIの考え方と、それでも製品販売が軌道に乗らない理由などについてお話をしたいと思います。

ROI(投資対効果)とは

ROI(投資対効果)は表現できている?

モノを買う時は、基本的に損はしたくないですよね。これが高額な製品であればあるほど、厳しい眼でみられることになります。販売とは、お客様と購買条件を合意することであり、お客様の欲しい条件と販売側が提示する条件を合わせなければなりません。
これは私のブログの中でも、しつこいほど説明している『顧客価値』『対価』の関係です。だいぶ以前の投稿になりますが、『顧客価値』『対価』の関係をわかりやすく説明しているので、下のリンクから併せて見て頂けたらと思います。

私の母の価値感【第3回】
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この顧客価値対価を説明するのにROI(投資対効果)は非常に有効な手段です。
一般的に社内で設備投資をする場合などに活用する時は下記の計算式を活用し、数値が大きいほど費用対効果が高いことになります。

ROI(投資収益率)=(売上額ー売上原価ー投資額)÷ 投資額×100(%)

私のブログはあくまでもマーケティングを中心とした対顧客対応のブログなので、M&Aや設備投資のような社内向け投資に対するROIの説明は置いておきます。
BtoB系製造メーカーは、自社製品の品質の高さを最大の強みにして製品販売をしていく傾向が強いです。『製品が良ければ売れる』の発想は残念ながら終わりを迎えています。今日の成熟した市場では、モノが余り、お客様は『できればお金を使いたいくない』という状態にあります。
この状況をこじ開けるのがROI理論の活用です。
では、このROI理論をどのように活用してどのようにお客様に訴求をしていくのかを説明します。

BtoB系製造メーカーが顧客課題を解決(ソリューションビジネス)するための提案をする時は、必ず経済性で訴えなければなりません。BtoBのビジネスにおいても若干の嗜好性(好き嫌い)はありますが基本的には具体的な数値で比較されます。下記の表はROI理論をどのように活用するのかをまとめたものです。

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製造業のROI理論の活用方法

ROI提案書を作成する際に重要なことは自社製品の立ち位置です。高くて良い製品なのか?逆に安さを売りにしている製品なのかで、ROIの訴求ポイントは大きく変わってきます。実際はこの表に書かれているいろいろな比較項目を利用して、最も効果が出るROIを見つけ、提案書に盛り込んでいきます。

それでも価格設定は大事

『この製品を導入すれば今より年間500万円以上儲かる』といったROI提案書が作成できれば、収益をお客様とシェアすることを考えても250万円以上の価格をつけたいところですが、に
たとえば競合の類似製品が30万円ぐらいで販売しているところに500万円儲かると言って250万円というプライシングをしても、なかなか販売に繋がりません。
年間の販売台数などを分析して、どの価格でどれくらいの量を販売するのが最も収益が高くなるのかをしっかりと考えて進める必要があります。シンプルに考えると、ものすごく儲かる製品を購入してくれるお客様が数社あれば、販売量が少なくても大きな収益をあげることができますし、手間もかかりません。車で言うとフェラーリの販売みたいなものですね。

【原価50万円だった場合】
□250万円で販売:利益200万円を年間5個売れるなら
□80万円で販売:利益30万円を最低34個以上売れなけばならない

これに対して、じゃあ100万円なら、60万円ならといろいろな価格帯を検討してみる必要がありますが、価格は麻薬です。価格を下げる時は、上の事例も考慮して、考えた抜いた上で実行することが必要です。

新規製品がなかなか軌道にのらない

ターゲットリストの精度

さて、ROI提案もしっかりしたものができたにも関わらず、販売がなかなか軌道に乗ってこないことがあります。ほとんどの場合、営業マン製品に興味を持たないことが原因です。
私がマーケティングにいた時に『営業マンを騙せなければお客様は騙せない』というのが結構口癖でした。まさに営業マン自身がその製品、そのROI提案を理解しなければ絶対に売ろうとしません

それを解消するためにはまず、ターゲットを明確にすることです。
顧客価値は、お客様によってマチマチです。ある製品に対して10万円の価値があるという人がいれば、こんなもの5千円の価値もない、ということもあります。
5千円の価値もない、と思っているユーザーにいくらROIで儲かるからといって10万円で販売しにいっても全体に購入されることはないでしょう。10万円で販売するのであれば、10万円で購入するお客様はどんなお客様なのかセグメンテーションすることが必要です。
絶対に提案が響くリストがあれば、営業マンは黙っていてもどんどん提案をして歩きます。

モデルユーザーの構築

特に、新製品をローンチする時に重要なのが初期導入ユーザーです。私もさまざまな新製品をお客様に導入してきましたが、初期導入ユーザーでその製品の販売量が大きく変わります。

実際にその製品を使っているユーザーは、最大の販促物です。どれだけ、ROI提案で説得しても、実際に活用している事実を見せる効果には勝てません。この初期導入ユーザー、あえてモデルユーザー呼びますが、このモデルユーザー

1)本格販売前に導入すべし
2)その製品のターゲット先であるべし
3)販売に協力的なお客様を選ぶべし

の観点で、できる限り迅速にたくさん作っていくことが製品販売のポイントです。
また、BtoC企業では、結構メジャーな手段ですが、BtoB系製造メーカーでも、価格の安い製品であればモニターとして10社程度、無料で製品を設置してしまうのも効果的です。
その製品のターゲット(セグメンテーション)が定まらない時でも、10社程度設置すれば、効果的に製品を使用するお客様が数社出てきます。そのようなお客様をターゲットにして販促展開するのも初期投資が必要ですが、マーケティングや広告費と考えればすぐに元が取れます。

お断りの理由をヒアリング(PDCAを回す)

最後に重要なのは新製品のマーケティング活動のPDCAをしっかりと回すことです。意外と製造業の営業マンが実行しないのが、断られた時の理由を聞くことです。
お客様の断り、つまり『競合に決める』、『購買の意志をやめる』などといった場面に出会った際、なぜ自社の製品がダメだったのか、なにがあれば決めてもらえるのかを、しっかりとヒアリングし、それを次の販売活動に活かしていくことが重要です。
販促計画を立てる(Plan)実行する(Do)効果を確認し(Check)修正する(Action)というPDCAをしっかりと回しながら進めていかなければなりません。
断る時は、お客様もやや申し訳ない気持ちがあるので、比較的お話をもらえることが多いです。その時に可能であれば3つぐらい理由を聞いてください。一般的に1つめ、2つめは建前のことが多いです。3つ目に本音が隠されていることが多いので、是非3つまで聞き出せるようにしてみて下さい。

いかがでしたでしょうか?今回は、かなり実践的なお話になったのではないかと思います。前半はソリューションビジネスで製品販売をしていく上でROIを使った提案手法は非常に重要であること、そして後半は製品販売(マーケティング)活動がうまくいかない時の修正ポイントについて説明させて頂きました。まぁ、私も日々奮闘中なのですが。。。では今回はこれまで、ごきげんよう!

取扱い製品の拡大方法(1)【第9回】
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