製造メーカーがソリューションを実行するための組織【第17回】

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ソリューションソリューションビジネス

さてソリューションビジネスについては、これまでに何回かとり上げ、ソリューションビジネスの本質や、具体的なソリューションビジネスの事例、また販売部門の立場からソリューション営業とは何なのか?などについて解説してきました。ではソリューションビジネスを進めていく上で、実際に推進していく側はどのような組織と役割が必要なのでしょうか?また推進部門側と販売部門側との連携が、大きな課題となることが多いです。今回はこの辺の内容について書いてみたいと思います。

ソリューションビジネスの推進役

販売推進部の業務

この推進部門というのは会社によって本当にまちまちで、事業推進本部などというと、ある事業全体を調整していくような大きな役割に担ったりします。かなり広範囲で使われている部署名なので、私のブログはBtoB系製造メーカーの販売拡大を目的に投稿しているので、今回はソリューションビジネスを進めていく時に販売部門と密接な関係がある販売推進部門を前提に話を進めさせて頂きます。この販売推進部門の業務は『販売部門が販売に注力するためにあらゆるサポートを担う』と捉えるとわかりやすいと思います。最近ではWEBマーケティングインサイドセールスなども主流になってきており、営業活動に近いところまで携わる業務も増えています。
少々強引ですが、主な業務内容は下記3つです。

1)商品企画・開発のための情報収集
2)販売促進活動(イベント、広告、DM、メルマガなど)
3)インナープロモーション(営業マン教育、販促資料の作成など)

立ち位置としては販売部門(営業部)の後ろにいて、販売部隊へ作戦の指示や戦場に合わせて的確な武器を供給していく役割を果たします。軍隊でいえば参謀本部のようなイメージであり、極めて重要なポジションとなります。ではなぜ、この販売推進部門が重要になってきているのでしょうか?
これは製品が売れなくなり、お客様の課題も多岐に渡るようになったことで、品質と価格(プロダクトアウト)では戦えなくなったことを意味します。すると商品やお客様のセグメントなどいろいろな条件によって販売方法を工夫していかなければならなく、到底営業マンだけでは対応できなくなりました。その結果、その役割を担う部署として販売推進部とか営業企画部のような部署ができ、今、重要性が高まっているのです。まさにソリューションビジネスへの変換が推進部門の重要性を高めていると言っても過言ではありません。

販売推進部門と営業部門

ところがBtoB系の製造メーカーでは、往々にして、販売部隊と衝突し、本来の機能が果たせない場合が多いのです。
製造メーカーの販促活動は、展示会やカタログ、業界紙広告など極めて限定的で、製造⇒販売の単純な組織構造の会社が多かったので、この推進部門という営業もどき(失礼!)の部門の役割が明確にできないことに起因しています。

以前、従来の営業とソリューション営業の違いについて投稿していますが、ソリューション営業は、お客様に対して面で接触し、お客様の課題を発見し、チームで提案(情報の共有と流用)することだと説明致しました。では推進部部門の役割はどうなるのでしょう。

従来の営業とソリューション営業も良かったら振り返ってみて下さい

従来の営業とソリューション営業【第7回】
さて、今日は販売(営業)部に対してソリューション営業を展開した時の話をします。営業という職種、特にBtoB企業(法人営業)の営業マンは個人商店化することが多く、なかなか情報共有が難しい部門です。まぁ、当然ながら私も営業時代は、営業車の中が...
ソリューションビジネスにおける販売側、推進側の役割

まず、(1)商品企画・開発のための情報収集から考えると、これはまさに市場調査です。既存の製品なら、どういったユーザーにどのように販売すれば最も販売効果が上がるのかを調べ、営業マン販売機会を増やす役割を果たします。また、新しい製品を生みだすのであれば、どんな特性の製品を投入すれば大きな売上に繋がるかを、既存の自社製品とのシナジー効果などいろいろな角度から捉えて調査し、販売商品数を拡大する役割を果たします。マーケティング用語でいえば製品別にSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)を設定していく業務ということになります。
(2)販売促進活動は文字通り、営業マン販売活動を支援する全てのイベントや行動のことで、展示会への出展、内覧会やユーザー見学会など集客するもの、広告や販促媒体を利用した製品PR、カタログやプレゼン資料、最近では動画コンテンツといった販促物の作成、それにともなったキャンペーンや販売へのインセンティブ政策、時には製品のプライシングなどにも関与する時があります。
(3)インナープロモーション営業マンに(2)で定義したターゲットに対し、どのような販促方法で販売活動を進めるのかなど具体的な活用方法を指示したり、製品特性や商談時のお客様のFAQなどを販売部門へ教育していく役割になります。時には営業マンと同行してOJTで教育をしたり、教育動画を制作し、それを活用して地方の営業マンへ教育をするなどの業務もあります。

最近ではBtoB企業WEBマーケティング(インサイドセールス)に取り組んでいる会社が増えています。メールマガジンや製品のランディングページをフルに活用し、リード(見込み客)を見つけ出し、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用し、リードスコアリングすることで、本来であれば営業マンが実施していた商談を育てていく仕事をデジタルツールをフルに活用して進めてしまうビジネスです。スコアが一定を超えたお客様(ホットリード)のリストを、販売側に渡すことで効率の良い営業活動が可能となります。ここまでいくとかなり販売的な要素も必要になってきますね。

WEBマーケティングについては、今、私の業務の中でリアルタイムに進めているので、どこかでまとめてお話しますね。さて、今回は営業と密接な関係がある販売推進部門の役割について説明をさせて頂きました。ソリューションビジネスを進めていく中では非常に重要な部門ということがわかって頂けたでしょうか?今回はここまでです。また次回、ごきげんよう!