ソリューションビジネスって何だ?【第1回】

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スーツ男性ソリューションビジネス

バブルも終わりかけた1991年の入社以来20年ちょっと、ずっと営業一筋で勤務していました。自分の将来について強いビジョンがあった訳ではないのですが、それなりにお客様とのリレーションも築けていましたし、営業成績も残せていたので、恐らくこのまま営業マンとして定年を迎えると思っていました。
そんな、人事異動もあまり関係のない秋口に当時の上司に呼ばれると、なんと、、、新設される『ソリューションビジネス推進部』の責任者として異動が命じられたのです。果たしてソリューションビジネスとは、いったい。なんだそれは?

ソリューションビジネスとは?

BtoB企業のソリューションビジネスの誤解

営業職(販売)は一般的に敬遠されがちな職種です。特にB toB系製造業では『営業はお客様の苦情受付係』的なイメージが強く、営業に配属されると落ち込んでしまう人も少なくなかったです。しかし、企業が事業を展開する中で、製品を作る人と並んで、それを販売する人はもう一つの柱であり、この2つの機能が企業の骨格といっても言い過ぎではありません。私的には長年営業マンだったこともあり、営業職を極めて『誇り高い仕事』だと思っています。確かに、お客様のクレームやノルマなどプレッシャーも大きいのですが、お客様と対等な立場で話ができるのは会社の中で唯一営業マンしかいないからなのです。
そんな中、言い渡された『ソリューションビジネス推進部』とは、正直ノルマの達成だけを生きがいに仕事をしてきた私にとって、何をすれば良いのか、途方にくれました。
当時、会社の中では『われわれのようなBtoB系製造業提案型営業が重要だ!』なんて話がチラホラ出てきている時でしたし、実際にソリューションプロジェクトなるものに参加させられたこともありました。会社もそういうことをはじめなければ生き残ることができないと考えていたのかもしれません。しかし、当時(2013年頃)、私たちの会社の製品は、まだ若干マーケットシェアを伸ばしていた段階でもあり、営業も気合笑顔ひらめ筋!?で注文が取れていました。
実際、この時期あたりから、マーケットは明らかにシュリンクしていたのですが、リーマンショック以降、中国を軸に売上も回復傾向だったので、ちょっと販売に関する組織改革は遅れてしまったのかもしれません。

このソリューションという言葉、今ではかなり古臭く感じるぐらい、世間一般に浸透してきていますが、当時、私の会社ではイメージだけが先行しており『うちの会社が提供するソリューションビジネスは何になるのか』などが会議の議題となると、必ずと言っていいほどパワーポイントを使った製品説明資料だったり、単体商品商品を販売するのではなく関係する製品やソフトウェアをセットにして販売することだったり、また、ちょっと進めてお客様の修理代や機械の稼働状態を分析して、改善のレポートを提出することなどが題材となりました。実行することは完全な間違いではないのですが、ソリューションの本質がほとんど見えていなかった時期ですね。
今考えるとソリューションビジネス(のような)活動になっていたのかもしれません。これについては私も、一番試行錯誤を繰り返した部分で、もし『ソリューションビジネスってパワポ?』と思っている人がいましたら、次回からの投稿で、なるべくわかりやすく解説していきたいと思います。
ここでソリューションビジネスとかマーケティングの雰囲気を感覚的に捉えやすくなる書籍を1冊紹介させて頂きます。
『ドリルを売るには穴を売れ』(著 佐藤義典氏)は非常に有名な本ですね、私もソリューションビジネス推進部に異動してかなり最初の時期に読まされました。ソリューションビジネスマーケティングとはいったい何なのか?と悩んだら是非、読んでみて下さい。

ソリューションビジネスの本質を理解しよう

さて『ソリューションビジネスはパワポ?』は私の中で最も重要なキーワードです。
BtoB系製造業は、そもそも組織の中に販売企画部のような販売支援機能がない会社が多いのです。つまり設計/製造したら、次は販売するという2つのプロセスしかないのです。一番冒頭にお話をした『モノを作る人』と『モノを売る人』です。
ところが、製品が何かしらの理由で売れなくなってくると、この2つのプロセスだけでは売れない課題を解決することができません。この2つのプロセスの間にさまざまな組織機能が必要になってくるのです。売れなくなった理由が、競合の進出であれば、競合に打ち勝つ戦略を立案することだったり、お客様に情報が伝わらないのであれば、効果的な販促方法を考えることといった企画系組織です。
具体的な部署名で言うと、商品企画課販売企画課営業企画課販売促進課販売推進課などと呼ばれる部門で、会社によって役割や部門名はまちまちですが、これらの企画部門作った製品が順調に売れている時には必要が無い部門なのです。『今年100個作ります。100個売りたい金額で売れました。』という会社の場合、企画部門はむしろない方がいいのです。企画部門の活動はあくまでもコストだからです。
ソリューションビジネスの本質は、この企画部門が主軸になって販売することです。もちろん、そこには営業部門(販売代理店なども含む)や開発/製造部門が一体となったマーケティング活動が柱になって進められると、現状はご理解頂きたいと思います。

実は、私が異動した『ソリューションビジネス推進部』は年々組織が肥大し、最大時は70名に迫る陣容となりました。しかしこれらの企画部門はあくまでも販売の支援・推進役です。
人的リソースは実際に製品を販売する営業マンに投入すべきで、私が理想と考える企画部門少数精鋭が基本です。
迅速に商品を企画し、市場への投入方法を考えモデルユーザーを構築し、販売側に技術移転(インサイドセールス)をしたら、すぐ次のビジネス、というのが企画部門の理想形だと思います。

私自身も、この10年弱の間にソリューションビジネスの社内展開、アカウントマネジメント活動の推進、商品拡大に伴う企業連携M&A、営業活動合理化のためのクラウドCRM/SFAの導入、自社製品のIoTクラウドの立上げ、デジタルマーケティングの展開、アフターセールスの拡大策立案など、様々な馴染みのない業務に携わってきました。
都度上司の指導を仰ぎ、本を読み、WEBを巡回し、セミナーに参加し、まさにトライアンドエラーを繰り返して作ったパワポは3,000枚以上。。。かなり遠回りはしましたが、その分、知らない人には、よりわかりやすく体系化できる気がしています。
もちろん、これらの用語は解釈する人によって変わってくるので、何が正解というものはないのですが、理論だけではなく自分で実際にやってきた経験から、BtoB系製造業がどのようにして事業変革をしていくのか?をコラム的にランダムにご紹介したいと考え、ブログ発信を決めました。

サラリーマン人生30年、そろそろサラリーマンとしては終活時期に入っています。
半分は自分自身が仕事をしてきた足跡(備忘録)と思っているので、参考にならない記事もあるかもしれませんが、日本の力はやはり製造業です。最近、苦戦している日本の製造業の復活を祈って、情報を共有・交換できたらなぁと思っています。
それでは、次回から、過去に作成したパワーポイントを眺めつつ、ランダムにBtoB系製造業ソリューションビジネス、並びに事業変革のヒントについて投稿していきたいと思います。
是非、ご期待下さい。ごきげんよう!

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