アカウンティング基礎の基礎【第39回】

家計簿アカウンティング

最近、だいぶビジネス関連の方の閲覧が増えているようで、一層プレッシャーがかかります。今回は、意外とリクエストの多かった会計(アカウンティング)関連についてビジネススクール時代のノートをひっくり返して、なるべくわかりやすく説明したいと思います。正直、アカウンティングの授業は、基礎的な知識の無かった私にはつらかったですね。ただ、経営者だけでなく、一つの事業を管理するようになれば最低限の会計知識が必要です。1回では難しいと思うので何回かにわけて基礎の基礎を投稿させて頂きます。

利益とは何か?

売上と費用と利益

ソリューションビジネスの時もお客様へ課題解決の提案は『経済性に置き換えて』との説明をしましたが、社内においてもアカウンティング(会計)での報告を心がけなければいけません。それは会社は原則、財務諸表によって運営され、評価されるからです。
もちろん意思決定の全てをアカウンティング(会計)によって決めていくわけではなく、数値に置き換えると背景にある事業活動を想像、判断する重要な手段になります。

さて利益とはなんでしょうか?
利益売上から費用を引いて出てきたものが利益です。例が適切かわかりませんが、メルカリでジャケットを販売した時に売れた金額が売上、梱包や郵送代などが費用(あくまでもジャケット価値は0で考えています)ですね。もし、出展ためにジャケットをクリーニングに出したり、写真をきれいに撮るために何かお金をかけていればそれも費用に入ります。そのような費用を全てを引いて残ったものが利益になります。

利益とは

利益=売上-費用

個人であれば入ってきたお金(売上)、使ったお金(費用)は非常にわかりやすいですが、企業の場合はこれが日々、相当の数がいろいろな部署で行われています。そのために必要なことが、今回のテーマであるアカウンティング(会計)なのです。

売上計上

企業の場合は、ある一定の期間の売上費用利益をルールに従って財務諸表に記載作成しなければなりません。この企業会計原則(7原則)については、詳しく書かれている学術的なサイトがあるので、そちらに譲ります。

では売上とはなんでしょうか。BtoB系製造メーカーだと売上の基準がいろいろと考えられます。商品が工場を出た時や、お客様に納品した時など、いろいろな場面が考えられます。これは自社の製品特性から、大きなズレを起こさない確実に売上が見込めるタイミングを商品ごとに自社で定義する必要があります。

実現主義

実現主義とは、売上高は、販売の実現をもって計上するという原則。売上高の計上基準は、保守主義の原則に基づいて、費用計上(発生主義に基づく)よりも厳しく定められており、販売の実現(実際の役務提供と対価の取得)をもって計上するものとされる。(グロービス経営大学院サイトより引用)

1)着荷基準(出荷基準)・・・お客様に製品が届く、または工場を出荷した時点
2)完成基準(検収基準)・・・完成し、お客様から受け取りの意思表示があった時点
これ以外に、建築期間、や製造期間が長期間に渡る製品(商品)の時、その進行具合に合わせて月次や年次で一定の割合を売上計上する進行基準などもあります。

これらについては会社内で独自に定義を決められますが、一度決めたら簡単に変更できません。BtoB系の製造メーカーだとパーツなどは着荷基準製品完成基準のところが多いのではないでしょうか?
これ以外に海外へ出荷している製品の売上計上などもルールを明確にする必要があります。

費用計上

費用は更に複雑です。製造メーカーは、ある程度の在庫や仕掛を持ちながら製品を製造しています。当然、事前にいろいろなものを仕入れしなくてはなりません。

費用収益対応の原則

期間利益額を算出する際に期間収益と期間費用の金額的な対応関係が成立するように、当期の発生費用額を当期の収益額に対応する部分と次期以降の収益額に対応する部分とに区分することを要請する原則(グロービス経営大学院サイトより引用)

費用収益対応の原則

上記に事例を作成しました。6月に新製品として¥50,000で100個(¥5,000,000)仕入れをしました。この製品を¥100,000で販売したところ、翌月から毎月20個ずつ販売するヒット商品になりました。11月に在庫がなくなってきたので、また50個仕入れましたが、発注数が少なかったので仕入金額が¥10,000ほど高くなり ¥60,000で仕入れることになりました。このような状況で、この年の製品Aの費用はいくらになるでしょうか?

売上着荷基準で考えて¥100,000×120個売れているので¥12,000,000。これはいいですよね。
問題は費用をどのように計上するかですね。①~④のどれだと思いますか?

① ¥8,000,000(年内に購入した総仕入れ)
¥50,000×100個+¥60,000×50個=¥8,000,000
② ¥6,200,000(仕入れ順で販売したいった)
¥50,000×100個+¥60,000×20個=¥6,200,000
③ ¥6,400,000(購入金額の平均値を算出)
(¥50,000×100個+¥60,000×50個)÷150=¥53,333×120個=¥6,400,000
④ ¥6,500,000(直近で仕入れたものから販売)
¥50,000×70個+¥60,000×50個=¥6,500,000

①以外は正解です。①は会計ルールの発生主義の原則に元づいていません。会計数字は売上や費用が成立したタイミングで計上されるルールがあります。①はこれに準じていません。

発生主義の原則

発生主義とは、商品などの提供の事実によって費用を認識する会計処理の原則。
費用を認識する時点としては、「その商品・製品が使われたり、サービスが提供されたりした時点」(グロービス経営大学院サイトより引用)

②~④は可能性としては考えられます。一番腑に落ちるのが②ですね。私の会社も基本、このルールで費用計上しています。これを在庫払い出しルール先入れ先出しとも言います。

在庫払い出しのルール

①先入れ先出し
②後入れ先出し
③平均原価

原価償却

最後に費用の中で特にわかりづらいものが減価償却です。例えばある製品を製造するために \1,000万円の設備導入した時に、これを一気に費用として組み込むと、小さな会社であれば大きく財務状況が変わってしまいます。
設備は導入から数年、場合によっては10年以上に渡って使用されるので、前述の費用収益対応の原則から、定められた一定期間に渡って分割して計上されます。理屈でいうと機械が存在する限り、生産に寄与するので、存在する限り減価償却は必要ですが、償却する期間については国税庁によって耐用年数としてそれぞれの機械、装置に定められています。
よく中小企業の社長さんが『償却も終わったんでいよいよ稼げるよ』なんて話も聞くと思いますが、これは減価償却という費用計上がなくなるので利益が残る、ということです。何千万もするような設備機械では、確かに減価償却費も相当大きなものになるので良くある話です。
しかし実際、減価償却費というのは直接現金が出ていっているわけではありません。逆に利益が出ているのであれば減価償却費を費用計上することで利益を下げ、節税する効果もあります。アカウンティングの知識があれば、中小企業の社長さんの一言に、提案を含んだ返答がすぐできるようになります。

今回は、まずは基礎中の基礎、売上費用利益の定義について、BtoB系製造メーカー的な目線で説明をさせて頂きました。記事の構成は考えていたのですが、やはり理論的な内容なので間違ってはいけないと、結構な時間が掛かってしまいました。次回は損益計算書(P/L)を使って、売上費用についてもう少し細かく説明していきたいと思います。では、また次回、ごきげんよう!

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