スピード感のある対応【第23回】

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miss私の失敗~失敗から学ぶ営業

こんにちは、久しぶりに私の失敗例シリーズです。今回は、やや軽めです。営業にとってスピードというのはなによりも重要なことですね。過去の投稿『営業マンが身につける7つのこと』でもあいさつの次に重要なことと説明させて頂きました。依頼したことに迅速に対応することは、心掛けだけですぐに実行することができ、お客様にも好印象を与えることができます。今回はそのスピードに関するお話とお客様の価値とズレてしまった経験について投稿致します。

スピード対応は初動と頻繁な確認

初動も大事だが。。

営業にとってスピードある対応は絶対です。依頼事項、たとえば商談やクレームに対して初動の速さはお客様の印象を良くします。良くある失敗例は些細な依頼事項への対応です。
『まぁ、わかったら教えて』とか『すぐじゃなくていいよ、暇な時で』という比較的重要性がない依頼事項の処理が営業マンの出来栄えを大きく変えてしまいます。このように依頼されると営業マンも自分の中の優先順位が下がり、いつしかその依頼事項を忘れてしまうなんてことも考えられます。2か月後ぐらいに依頼されたお客様に会って、すっかり忘れていたことに気がついてバツの悪い雰囲気になったこともありますね。
実はこれ非常に大事です。ちょっとお願いされたことを迅速にやることで『この人はこんなつまらないこともすぐにやってくれるのであれば、大事なことはもっと早くやってくれるだろう』という評価に繋がります。お客様の中のスコアリングが爆上がりですね。

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これは社内や関連の業者さんにも言えることで、ちょっとお願いされたことを特に急いで返答することで、以降、その人は逆に私からお願いした時に非常に迅速に対応してくれます。これは『この人はちょっとしたことも真剣に対処する人なので自分の対応も注意しなければ』という心理が働いています。もちろん、些細な仕事ばかりに夢中になって大事な依頼を後回しにするようではどうにもならないので、その辺の強弱はしっかりとつけてやる必要があります。

さて、初動のスピードの重要性は書いてきましたが初動で解決できなかった場合の次の対応が抜け落ちる営業マンも非常に多く、また大きな問題につながることも多いです。例えば、お客様から製品に対してクレームの電話があった際、迅速に内容を確認し、アフターサービス部門へ伝達、これで安心していたら、実はアフターサービス部門が電話をし忘れていたり(これは論外ですが。。。)、出張できる技術者が出払っており、お客様に対応できていなかったなんてことになっており、夕方、再び強いクレームの連絡をもらうなんてことになります。
BtoB系製造メーカーの製品はお客様の生産を担うものが多く、営業マンは販売だけでなく、納入後の状況などを確認する役割も持っているケースがあります。初動のスピードだけではなく、その後の頻繁な確認が本当の意味でのスピード感のある対応です。上記の場合、初動は非常に迅速でしたが、アフターサービス部門へどう対処されたのか、また、進捗状況をお客様に連絡することを怠った結果起こった問題です。

これは営業マンだけではないですね。技術部門でもアフターサービス部門でも、また社内でも業者間でも、とかく最終結論(回答)がでるまで報告をしない傾向があります。クレームなど生産する機械が止まっている時などは、お客様は次にどうすれば良いのかいろいろな選択肢の中で電話をしてきています。何時に来れるのか、何時間ぐらいで復旧できるのか、このような情報で次の策が打てる訳です。頻繁な途中経過の報告スピード対応の核ですね。

いつ持ってくるの?

さて、私の失敗事例ですが、まさにこの途中経過をしなかったことで失敗した事例です。あるお客様は創業以来、競合メーカーの製品を使用している社内でも難攻不落と言われていたアウトサイドユーザーです。
ある業界のパーティーでこのお客様の社長のご子息とお話をすることがありジョギングといった共通のテーマもあり、かなり親しくなりました。ご子息も営業ということもあり設備メーカーに対して警戒感もなく、むしろ同じ営業という立場でどんどんリレーションが深まりました。そしてある日、子会社の社長となり、そこに2台の機械を設備することになりました。

もちろん、競合となりましたがご子息からは『今回はフラットに考えるから、良い提案資料を持ってきてね』と言われアドレナリンが吹き出ました。『万難排してすぐ対応します!』と言った記憶も鮮明に覚えています。
間違いなくその日の午後から資料作成に取り掛かり、その日のうちに概ね骨格部分は完成しました。ところがスペックに一部に開発部に確認しないと不明な点があり、そこだけはメールで問合せをしました。翌日、開発の担当者に連絡すると『今日は有給で休んでいる』とのことで、本来であれば夕方にでも提案資料を持って行きたかったのですが『有給じゃしかたがない』ということと『まぁ、昨日頼まれたことだし明日持って行けば』と、やや甘くみて諦めてしまいました。
翌日、開発部からの返答がきたのですが、今度は私の方が別のお客様からの大変大きなクレームが朝から入り、その対応でどんどん時間が過ぎていきました。最終的には都心郊外にあるクレームのお客様へお詫びに行かなければならない状況になり、結局この日も提案資料は持参できませんでした。
夜に開発から届いた不明点を資料に落とし込み、翌朝アポイントの連絡を入れると、ご子息は朝から大阪へ出張とのことで、アポイントも伝言も頼まず電話を切ってしまいました。(このころ携帯がもう少し普及していれば。。。)

そしてその日の夕方、会社に戻って事務処理をしていると、ご子息から会社に電話が。その時のセリフがこのタイトルです。

『提案資料、いつ持ってくるの?』

こうなると、何を言っても後の祭り、言い訳だけになってしまいます。依頼を受けた日からすでに4日経過している訳ですから。
この時はその電話で翌日のアポイントを頂き、無事プレゼンテーションは果たせたのですが、明らかに信頼を置いてくれた人の期待を裏切ってしまった気がしました。
このケースでも、初動はしっかりとできていました。ところが開発部の担当者の有給、自分自身の突発的な問題、お客様の都合などが重なり、せっかく初動が早かったにも関わらず台無しにしてしまった事例です。それぞれの問題発生点で、いやどこか1か所でも途中経過を入れていれば、このようなことにはならなかったと思います。私はこの事例以降、とにかく途中経過報告最終確認を徹底しました。営業マンは日々、いろいろな業務をしている中で、これを実践するのは非常に大変ですが、営業の仕事というのは他部門に比べると聖域です。そのほとんどの行動が自分の裁量に任されています。前述の通り、これら様々な案件に対し優先順位をつけて進める能力が必要な誇り高い部門なのです。

今回はスピード感のある対応についての失敗例を話させて頂きました。
さて、このお客様どうなったのでしょう?
この後、プレゼン以降はスピード対応に一層心掛け、見事子会社に初めての製品を2台導入頂きました。またのちに親会社の社長になったご子息は、次々と競合メーカーの機械を弊社の機械に入替をして頂き、今では私の会社有数のモデルユーザーとなっています。もちろんご子息とも良好な関係を築いますし、今度はご子息のご子息が入社されたので、新しいリレーションを新しいメンバーで構築しています。
今回はハッピーエンドでした。では次回まで、ごきげんよう!