営業は後ろを向いて仕事をしてはいけない【第16回】

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miss私の失敗~失敗から学ぶ営業

以前から書いてみたいな、と思っていたのが25年の営業時代の失敗(だけでないですが)事例です。失敗事例は当然、会社にとっては良いことではないのですが、自分にとっては経験値を増やし、それを社内で共有できれば大きな財産になります。営業マンは何百人という経営者から、いろいろな話を聞けるという点でも、実に自己成長に繋がる良い職種だと思っています。

営業は後ろ(組織)を向いて仕事をしてはいけない

お客様と社内の板挟み

入社10年、だいぶ営業にも慣れ、お客様とのリレーションもしっかりとできてくると、その慣れとお客様に対する甘えから失敗することが多いです。30歳を過ぎると会社の経営的な目線での判断をもらうことも多く、お客様の満足と自社の利益の板挟みになるケースが増えてきます。
これには正解はなく、このバランスをどのように取って処理をしていくのかが営業の職務の醍醐味ですが、このバランスが狂った時にお客様の信頼を失うことがあります。BtoB系の製造メーカーは対面型の営業スタイルがまだ多く、その中で信頼を失うことは営業マンには致命的になります。

あるお客様から修理内容について報告書の提示を求められたことがありました。故障の原因が明確でなかったので、本当に完治しているのかを気にされての問合せで、結構急ぎの要求でした。早速、アフターサービス部門へ連絡をして報告書の作成をお願いしたのですが、この日は3月15日の人事異動の日で、アフターサービス部内もかなりバタバタしており『今、到底作成できない』との返答でした。お客様も今日中の返答を希望していましたし、ちょうど金曜日で、土日が挟まるとだいぶ放置した感じになってしまうので、ちょっと困ってしまいました。
今なら、理由をしっかりと説明し、待ってもらう選択肢を取ったと思うのですが、その当時はお客様の期待に早く応えたいという気持ちと、週内に問題を解決してスッキリ週末を迎えたい、という感情から修理の報告書を自分で作成して提出しようと考えてしまいました。

これFujiwebs君が作ったの?

お客様との親しさの中での甘えもかなりあったかもしれません。とりあえず希望に近いものを作成して持参すればいいとタカをくくり、修理の内容や想像できる原因を修理担当者に確認をして、報告書そのものは自分で作成し、作成者のところだけもっともらしくアフターサービス部門名を入れ、その日の夕方にお客様を伺いました。
自前の報告書で説明し、報告が終わった時、その社長から『これFujiwebs君が作ったんじゃないの?』って聞かれました。こう切り出されると特に嘘をつくこともないので、自分で作成した旨を伝えると、かなり強く苦言を呈されました

私はFujiwebs君の見解が聞きたいんじゃないよ、〇〇社(弊社の会社名)としての公式な見解を求めているんだよ。

そのお客様の真意は報告の内容云々ではなく、私が会社の方を見て、お客様側をないがしろにした仕事をしたことが気になり、それに対し苦言を呈し、正してくれた訳です。この時お客様が私にくれた言葉がタイトルの『営業は後ろを向いて仕事をしたらダメだよ』です。
実はこのお客様は私が営業に配属されて1台目の製品を購入してくれたお客様です。担当が代わってから、今でも30年来のおつきあいをさせて頂いている大事なお客様です。
この経験以降、営業は常にお客様側を向いていなければならないと肝に銘じ、この経験のお陰で営業センスのない私が25年営業の世界でやれたのではないかと思っています。そのぐらい私の営業人生の中では記憶に残っている事柄の一つですね。

お客様の満足と自社の利益はトレードオフになることが多いです。ただ、会社同士の場合であれば、交渉の中で両者のバランスを取って進めれば良いのですが、個人的な判断が介入し、お客様をないがしろにするようなことがあっては絶対いけません。『この間も設計に無理なお願いしたので頼みづらいな、お客様に話をして少し待ってもらおう』とか『上司に相談すると怒られそうだから、先に自分で断わっちゃおう』なんて仕事をしていると、どこかでつじつまが合わなくなってきますよ。

お客様は会社同士のおつきあいをしている訳ですから、個人の損得をお客様の前に出すのはご法度と思わなければなりません。
最後に、個人の損得を押しつける、最も営業マンが発してはいけない言葉って何だと思いますか?

〇〇してくれないとクビになっちゃんですよ』ですね。。。。
珍しくちょうど良い文字数で終われました。今後もこの営業マン失敗シリーズは定期的に出していきたいと思います。では次回まで、ごきげんよう!