任せる勇気【第66回】

失敗5私の失敗~失敗から学ぶ営業

かなり久しぶりに私の失敗事例のご紹介です。過去の投稿を見ると第31回目以来なんですね。このところ固い理論的な話が続いてしまったので、コーヒーブレイクとしてもいいかなと思いテーマを考えてみました。今回は『任せる勇気』です。いまだに日々の業務の中でも実践できないことなのですが、特に営業時代はマネージャーになってからも、なかなか人に業務を任せることが苦手でした。そんな時、部下から言われた一言が今回のテーマです。

安請け合いしないススメ【第31回】
久しぶりの私の失敗事例です。毎回人気になりますが、今回は誰もが経験したことがある、安請け合いです。私は若いころ、自分でも嫌になるぐらい、仕事を拾ってきては苦しんでしました。最終的にはこれを処理することで信頼を獲得したのかもしれませんが、や...

任せられない人

所詮、1人の力はひとり分

『いやぁ、なかなか仕事を任せられる人がいなくて』『自分でやった方が早いし』なんて会話は、どの会社でも頻繁に行われている会話ですね。私もいまだにこの傾向が強くて嫌になります。報告書の日付の位置だけでも気に入らないと、全て自分で作成してしまうなど始末に負えない状況です。。。
上記の会話は、ある意味当たり前と言えば当たり前です。マネージャーから見たら部下が自分より仕事ができないのは当然であり、逆に『あいつ、優秀過ぎてなんでも任せられるな』なんて上司はそもそも上司の資格がありません。
実際の発言している方も会社に入った時は何もわからなかったわけですし、大部分の企業は一人で業務をしているわけではないので業務を分担しながら進めることは絶対に必要なわけです。また企業にとっては個人の能力向上より、組織(チーム)力の向上の方が重要なのです。

企業は永続的に収益を上げていく組織です。優秀な人もいつかは定年を迎え、どんなに優秀な人であっても、いなくなって大変な時期は1~2週間程度で、すぐに他の人が引き継いでしまうものです。(そうじゃなきゃ企業も困りますし)

上司が仕事を部下に任せていくことは2つの大きな役割があります。
1)上司の能力を上司にしかできない仕事に注力させること。
2)もう一人の自分を作ること(部下を育てること)。

いくら優秀な人が頑張って仕事をこなしてもせいぜい120%ですね。仮に部下が自分の50%の仕事しかできなかったとしても、4人いれば200%になります。また前述の通り、上司が報告書の体裁を修正している行為は貴重な戦闘力を削減させていることになります。
企業が求めているのは、個人の能力ではなく組織をつくり、組織の能力を高めていくことであることを再認識する必要があります。個人の代わりはいくらでもいますが、強い組織の代わりは簡単には構築できません。所詮一人のパワーはどんなに頑張ってもひとり分です。

部下の分類

とは言うものの、営業のようにお客様に直接接触する業務は、なかなかミスが許されません。ついつい自分が出張ってしまうものです。またこれを読んでいるような方は先輩の部下を持っているような人もたくさんいるでしょう。
そんな時は部下の特性をセグメンテーションしてみましょう。
企業人として評価する特性はいろいろとありますが、私は自分の部下を評価する時に『業務のための能力』『会社方針への協調性』を重要視します。(他にも社交性や明るさ、粘り強さなどもあります)
前者は説明不要でしょう。配属された部門で活用する能力のことです。ちなみに、この能力だけで部下を評価をすると『任せられる部下がいない』となってしまうのです。
もう一つ大事なのは『会社方針への協調性』です。会社や部門の方針を素直に従い目的に向かうことができるのかといった力です。
この2つを軸にとり、部下をプロットしてみましょう。会社方針への協調性が高いメンバーは、残すべき部下です。更に業務のための能力が高いメンバーは、常に高い目標を示してモチベーションを維持するようにしていけば良いし、まだ能力が不足している人には能力を高めるためのコーチングです。

チームメンバーの特性分類

上手な業務の任せ方

モチベーションの確認

まず、業務を任せる時に、本人のモチベーションをしっかりと高めることが必要です。『自分の範疇の仕事でないなぁ』とか『上司の会議報告のためだけなんだよねぇ』と感じて依頼されたら、まずモチベーションが上がるわけがありません。『この仕事を完了することで、あなたにとってこんなに良いことがある』とどれだけ感じさせて依頼できるかが上司側のポイントです。
業務を任せることが上手な方は、このモチベーションアップの依頼が非常に長けているように思えます。

では、どこが長けているのでしょう。人間は自分のために生きています。これは仕事をしていても基本的には一緒です。良く、会社のために、お客様のために、業界のために、地球のために(これはいないかな)と考えて仕事をしている時もありますが、結局本質部分は、自分の評価、地位や報酬のためにモチベーションが動くわけです。
『自分は期待されている、成功したら評価される、評価されれば昇進して給与もあがる』と上手に伝えることです。依頼をされた部下が『メリットがある』と思わせる依頼の仕方がまず第一に重要です。

プロセスの共同作業

依頼した業務の進め方について指示をするのですが、ダメなパターンが2種類あります。
1つは1から10まで指示をしてしまうパターン、そしてもう1つはイメージだけ伝えて全てメンバーに委ねてしまうパターンです。私は前者だったですね。(過去形じゃないかも。。。)
雰囲気を伝えればなんでもやってくれるような、つまり『1を聞いて10を知る』ような優秀な部下であれば任せる方も楽でしょうが、なかなかそうはいきません。
大事なのは、どういうプロセスで進めるのかを一緒に考えることです。できれば部下に考えさせたものと自分の考えたものをお互いに説明し合うのが効果的です。
自分の考え方を体系的にまとめていくことをマインドマップと呼びます。
最近では無料のマインドマップアプリがたくさん出ているので、上司と部下で、今回の業務(課題)のマインドマップを作成し、発表しあったりすることで、部下に新しい発想を気づかさせたり、逆に部下から新しい発想をもらったりできます。

マインドマップアプリ『マインドマイスター』のリンク先をご紹介しておきます。

MindMeister: オンラインマインドマッピング&ブレインストーミング
MindMeisterが提供する業界一のマインドマッピング・ソフトウェアは、マインドマップ上で作成・共有・コラボが可能です。iPhone・iPad・Androidにも対応しています。

ちなみに、煮詰まった時に突然、マインドマップが降り注いでくる時があります。私はこれを『神が降臨した』と呼んでいます(笑)。

ショートPDCA

上記の共同作業でプロセスができたら、いよいよ部下に業務を任せます。ここで大事なのは依頼した業務をショートスパンで見直しをかけていくことです。これは作業の納期プロセスに合わせていくつか設定することを意味します。
例えば1週間後までに仕上げる業務を依頼したら、最初の納期依頼した日の夕方に設定します。この時の作業評価は完成度よりも方向性です。
完成度は20%でも構わないので、①思考が止まっていないか(進め方がわからない)②方向性が間違っていないか(暴走してないか)を早い段階でチェックし、修正するプロセスをしなければなりません。
我々でも、依頼されてすぐ、イメージが湧くものは短時間で業務を完成できますが、依頼されて1時間たっても進め方のイメージが湧かないものは、1週間たってもあまり進んでいないことが多いです。
この最初の1日目のモディファイは絶対に欠かしてはいけません効率を上げるためにも、メンバーのスキルを上げていくためにも、とても大事な活動となります。
一般的に1週間ぐらいで仕上げるものであれば、1日目、3日目、6日目(レビュー)ぐらいでPDCAを回していくのが最適だと思います。

最後に仕事を任せる時の重要事項は、部下の成果物に対する評価です。うまくできあがった時は必ず褒める、今一つだった場合は的確にアドバイスをする。これを欠いてはいけません。
意外と、依頼を受け取ると、たんぱくな上司が多いのです。ほめるのが照れ臭いとか、甘やかしているようで、などと言うことは考える必要はありません。
この褒め行為がなければ、『結局、上司のためにやらされているんだな』と冒頭のモチベーションが次回から上がらなくなります。良く『ほめ上手』という言葉がありますが、優秀な上司は『ほめ上手』な人が多いですね。

操り人形ですから。。

さて、今回の失敗は自分の部下から言われた言葉です。
ちょうど営業課長になった時に、最初に受け持ったチームメンバーは、一人はその年に代理店から転職してきた年上社員、もう一人は工場から来た営業初心者、更にもう一人は昨年入った新入社員でした。とにかく結果を出さそうと、徹底的にOJTを行い、見積書からプレゼン資料の作成、訪問の管理からユーザーのアポイントまで徹底的にフォローしました。労働時間だけであれば、人生最大、大きな声では言えませんが時間外150Hはザラでした。
その甲斐もあって、その年、うちの課はNo.1になり、工場から来た営業初心者が全国No.1になりました。当然、私のフォローも大きかったのですが本人も私の指示をしっかりとこなし、よく頑張ったなぁと考えていました。
しかし、その彼が表彰された時の挨拶で

『私はしょせん、Fujiwebs課長の操り人形だったので。。。』

と挨拶をしました。謙遜とか冗談っぽくではなく、かなり自虐的に。
良かれと思って手を出していましたが、どこか『僕の言うとおりにやっていれば大丈夫だから』といった気持ちもありました。
ちょっと気になったので、後から本人と話をしたのですが、なにより『自分の販売したお客様から自分あてに電話が来ない』ことが一番せつなかったようです。
彼は今では立派な営業課長になっています。

さて、今回は部下を持った時に、非常に重要な業務の任せ方について、やや持論を中心にまとめさせて頂きました。一般的に能力の高い人几帳面な人ほど、陥りやすい落とし穴なので、本質に立ち返って、自社にとって最も最善なのは優秀な人材、優れた組織をたくさん構築することなのだと考え、部下をしっかりと育成、活人していけるようになりましょう。
絶対に、部下を『操りに人形』にしてはいけません。では今回はここまで。ごきげんよう!

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