ロジカルシンキング【第24回】

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ロジカルシンキングプレゼンテーション

仕事を進めていく中で自分の考えを人に伝えていく場面は毎日のように出てきます。会議の発表などでも、非常に理解しやすい人の発表と、なんだかさっぱりわからない人の発表などが浮き彫りになります。これはなにが違うのでしょうか?
もちろん、発表に使用している資料というのも、それなりに大きな要素はありますが、Wordの書類1枚でも、非常にわかりやすく説得力がある説明をされる方もいます。これがロジカルシンキングの構成力の違いです。

ロジカルな考え方、ロジカルな伝え方とは

ロジカルシンキングがなぜ重要なのか?

ロジカルシンキングについても学問的にまとめている書籍がたくさん出ているので、より実践に役立つ項目を抽出してお伝えします。原点本としては『ロジカル・シンキング 論理的な思考と構成のスキル』岡田恵子氏、照屋華子氏が有名のようですが、私はビジネススクールで下記しか読んだことが無いのでご推薦しておきます。非常に事例も多く理解しやすいと思います。

この表紙、ビジネススクール時代を思い出します。ファイナンス教室もやったなぁ。

実況ロジカルシンキング教室 グロービスMBA集中講義 / グロービス 【本】

さて、ロジカルシンキングは前述の通り仕事を進めていく上で欠かせないものです。現在は以前より、よりロジカルに事業を進めないと方向を見誤り、企業存続の問題につながることもあります。しかし、だいたいの企業は、声の大きい人の『勘と経験』が重視され、その真偽を検証もせずに実務を進めていく会社が多いのではないでしょうか?
私はこの『経験と勘』というものは悪いものだとは全く思っていません。これがないと仮説が設置できず、検証に入れないからです。ポイントは『経験と勘』だけで突き進まないことです。この『経験と勘』を検証によって裏付けていくのがロジカルシンキングの考え方です。

【ロジカルシンキングの習得は】
1)自分の考え方を見える化できる
2)問題の把握・解決力が向上し、業務の精度とスピードが上がる
3)ビジネスコミュニケーションの質の向上

※Dグラント・コンサルティング(椙山智先生)より

仮説思考

ロジカルシンキングを展開する時に最も重要なのが仮説思考です。現在の状況から達成したい目的(GOAL)を設定し、その間のGAPが、つまり目標になります。この目標に向かって何が問題(課題)なのか全体像を把握し、その原因は何なのか因果関係を仮説します。最後にその仮説について解決策を検討することで問題を解決していく思考方法です。文章で書くと結構難しそうですが、日々レベルでは誰しもがやっている思考です。

問題解決の思考

前述したとおり、この仮説を置く時に『経験と勘』は非常に重要な要素になります。そのため、この仮説が本当に正しいのかを検証していくのにロジカルシンキングが役立ちます。
まず、目標(GAP)達成のために何が問題なのかを掲げます。今、60億円の売上のものを100億円に目標を置いたのであれば『あと40億足りない、あと40億どうするか?』ということが問題になりますし、新しい製品を販売する場合も〇〇市場において初年度〇〇億円、3年後〇〇億円という目標を定めた時、『〇〇市場に食い込むためには、初年度〇〇億達成するためには』といった問題が発生します。
最初に目標に対する問題の全体像を把握することです。

問題の全体像をチームで共有したら、次がその問題に対する原因(解決方法)が何かを仮説します。この原因(解決方法)ロジカルシンキングが活用されます。
上記の表でいえば、40億の売上を上げるためには『〇〇市場を新しく開拓すれば達成できるだろう』とか『こういった新しいオプションを装着したらいけるだろう』といったものです。ここに『経験と勘』が大いに利用されるのですが、経験と勘で打ち出された仮説をロジカルに検証し、根拠があるものにしていくことがロジカルシンキング(仮説思考)です。この根拠は、もちろん定量的(数字で裏付けされたもの)が最も良いですが、状況によっては定性的なものになったりします。フェルミ推定(これ、結構好きです)は良く『東京都内のマンホールの数はいくつ?』なんて課題で、ロジカル力を試すのに使われる根拠推定方法ですが、途方もなく大きなマーケット対象に対してユーザーを推測するのに使われたりします。

よくロジカルシンキングを体系化する時にゼロベース思考(まず固有観念を消す)とか因果関係(原因と結果が矛盾していない)とかMECE(ダブリなくヌケモレ無し)が仮説思考と横並びで語られるのですが、私的には仮説思考の根拠の確からしさのための、そのような考え方が使われると認識しています。

ロジカルシンキングの思考法

因果関係

本来であればロジカルシンキングの思考法とした場合、帰納法演繹法なんでしょうが、あえて他のサイトにパスします。気がつくと本能的に活用していますし、ここでソクラテスの話を書くのもなんとなく敬遠したくなったので(笑)。。。
自分の立てた仮説をいかに根拠を持って伝えていくのかといった思考法は学問的にはたくさん考えられています。前述の帰納法演繹法もその一つですし、そんな中で私が多用するのが因果関係です。

例えば、日本のお客様は『工場が狭いので小型な機械が売れる』という仮説を立てた時、3つの条件で根拠が正しいのかを検証します。

【因果関係成立の3条件】
1)時間的な順序が正しいこと・・・同じ時間軸上にまず『原因』がありその後『結果』があること
2)相関関係が成り立つこと・・・一方の変数が変われば他方の変数も変わること
3)第3の因子(ファクター)が存在しないこと・・・2つの事象以外の原因となっているものが存在しないこと
※Dグラント・コンサルティング(椙山智先生)より

まず時間的な順序は問題ないですかね?工場が狭い(A)から⇒小さな機械を選ぶ(B)は大丈夫そうですね。逆に小さな機械(B)があるから⇒狭い工場(A)を立てるはややおかしそうです。時間軸は合っています
相関関係は問題ないですね。工場が狭い(A)から小さい機械を選ぶ(B)というのはしっかりとした相関関係が成立しています。
最後に第3の因子がないのか、ということですね。例えば、その製品で製造する仕事は小さなものが多い(C)という要因があった場合、上記の因果関係は成立しません。つまり、工場が狭い(A)から小さな機械を選ぶ(B)だけでなく、製造物が小さい(C)から小さな機械を選ぶ(B)という第3の要因(ファクター)が存在してしまうことになります。
このように相関からの因果関係は非常に説得力がありますが、この第3の要因がないか、また合った場合、再度因果関係をしっかりと考え直すことで、仮説に対する根拠がより強固になっていきます。

MECE(ミーシー/ミッシー)

これ読み方がなかなか覚えられなくて、うさぎのミッフィーから覚えたんですよね。恥ずかしい。
MECEはMutually Exclusive/Collective Exhaustiveの略で日本語にすると相互排他的で全体補完的、つまり『ダブリなく、ヌケモレ無し』です。これはロジカルシンキングでは極めて重要です。特に商品企画やマーケティングの分析などをしている時に『なんか聞いてて違和感あるな』と思う場合はこのMECEができていないのに気がつくからです。
いつもの通りBtoB系製造メーカーの目線で考えると、ある製品の販売不振を討議している時に、デザイン、スペック、性能、価格などと上げていく訳です。するとスペックと性能でほぼ一緒、少なくてもかなり重なりますね。これがダブリです。
また、メールマガジンから販売獲得を狙っているのだが、イマイチ販売が伸びないという時に、コンバージョン率、流入数、いやメルマガのライティングが悪いなんて会議をしていたら、まとまらないですし、確実にヌケモレを出してしまいます。そんな時このMECEを活用し、ロジックツリーを書いていきます。

MECEを意識したロジカルツリー事例

実はブログを書く時もこれ重要ですね。なんか目次を見ても体系化ができていないというか。私も書き始めてからタイトルを変更する時などしょっちゅうあります。マインドマップツールでyoutubeで説明している人を見ると羨ましくなりますね。

尚、今回文章や添付資料のいろいろなところに『Dグラントコンサルティング 杉山 智先生』のクレジットを入れていますが、私のビジネススクールの先生で、今回の記事はその当時のスクーリングのノートから思い出しながら書いています。ノートの日付をみると2011年2月25日、もう10年以上前なんですね。当時、眠気から脱出!?するためにスライドの内容をとにかくノートに書きまくっていたのですが、そのノートが実に4冊。今では結構な財産です。あのころもう少し知識があって学んでいたらと悔やまれます。では次回まで、ごきげんよう!