マーケティングミックス(2)【第46回】

スポンサーリンク
マーケティングミックス1マーケティング

前回は『マーケティングミックスとは(1)【第45回】』ということで、マーケティングの4Pの教科書的なこと、またマーケティングミックス(4P)の中で製品(Product)戦略価格(Price)戦略について、いくつか具体事例も挙げて説明をさせて頂きました。今回はマーケティングミックス(4P)の残りの2つ、流通(Place)プロモーション(Promotion)について説明させて頂きます。前回の記事をまだ読まれていない人は是非、前記事から読んでみて下さい。

マーケティングミックス(1)【第45回】
前回は『ターゲティングの方法』というテーマで、現在マーケティングにとって最も重要なSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)の解説を致しました。今回は、そのターゲットに対して、どのように製品情報を届け(集客し)、売上に繋...

マーケティングミックスとは~後編

マーケティングミックス(4Pと4C)

チャネル【流通】(Place)戦略

さて、マーケティングミックスの3つ目の流通戦略です。一般的にはチャネル戦略と呼びますね。BtoB系製造メーカーならば、自社製品を利用者に販売するための販売ルートや、販売組織をどう管理、運営していくのかを進めていく戦略がチャネル戦略になります。

チャネル戦略顧客目線で検討していかなければなりません。マーケティングの4Cでいくところの『利便性(Convenience)』ですね。
有名な事例になりますが、スポーツドリンクの販売チャネルとしてスーパー、コンビニ、自販機の3つを考えた時に、お客様の課題を購入価格だけで考えてしまうと、スーパー一択になってしまいます。
しかし、スポーツ飲料を本当に必要としている購買者は、当然、運動している人が多いわけです。そのような購買者は競技場やスポーツジムで運動した後『すぐに飲みたい!』という欲求がありますから多少高くてもすぐに手に入る自動販売機が有力な販売チャネルになる可能性もあるわけです。
このように、顧客の利便性を考慮に入れて販売チャネルを構築していくことが重要です。
尚、チャネル戦略と言うと、製品をどうやって届けるのか?という物理的なイメージが強くなりますが、大きく分けて3つの柱(検討項目)があります。

チャネル戦略の3つの柱

1つめは情報のチャネルです。これは次章のプロモーションとかなり重なるところもあるので、そちらで詳しく説明します。チャネル戦略では、『だれがどの経路を使っで購買者に製品の情報を伝えていくのか』といった物理的なことが主眼が置かれています。

2つめは販売のチャネルです。購買者がどこで製品を入手するのかといった製品と購買者の接点です。
BtoC系企業であれば、さまざまなチャネルが考えられますが、当サイトのメインであるBtoB系製造メーカーだと、概ね、対人による直接販売になるので直販(生産者またはその会社の営業マンが購買者に直接販売)か、代理店販売(生産者と契約を結んだ代理店が製品を仕入れて購買者に販売する)かになります。この両方のチャネルを併用しながら販売しているところが多いですね。
また最近ではBtoB系製造メーカーでもパーツ消耗品などはネット(オンライン)を活用して販売活動をしているところも増えています。

3つめは流通のチャネルです。これは物理的な製品の流れです。生産者から購買者までどういった経路で製品が渡っていくのかを検討していくのがこのチャネルです。大量に販売するコモデティ商品ほど、たくさんの流通業者を経由して購買者に届く傾向がありますが、昨今のデフレの状況や、新しい販売チャネル(デジタルマーケティング)などが出てきたことにより、徐々に中間流通チャネルは減っていっています。

プロモーション(Promotion)戦略

プロモーションは最もマーケティングらしい馴染みのあるマーケティング戦略です。

プロモーション手法とメリット・デメリット

BtoB系製造メーカーだと、このプロモーションの部署がひとまとめになっていて、機能的にできていないケースが多いです。特に最近ではデジタルを活用したプロモーション、例えばYoutubeサイトを開設したり、TwitterやInstagramなどを商品ブランドごとにアカウントを作成し、よりその商品に興味のあるお客様を集客したりするケースも増えてきているので、それぞれの役割をしっかりと知っておく必要があります。

1)広報(Public Relation)活動
広義で捉えると社内外全てのステイクホルダーに情報を発信することですが、マーケティングにおけるプロモーションでは、製品のニュースリリース新聞、雑誌への取材対応記事の寄稿などになります。また製品とは直接関係しませんが、最近ではSDG’s環境報告などもブランド力を高めるという意味ではマーケティングプロモーションに関わってくるところかと思います。
また前述した通り、Twitter Line、FacebookなどSNSを活用した情報発信は、最近では一部上場企業でも当たり前になってきており、製品情報の拡散と集客に大きな力となっています。
BtoC系では製品のブランドごとにアカウントを作成しており、その企業のTwitterとは知らずにフォローし『〇〇社のブランドアカウントだったの?』なんて、後からわかることもあります。
SNSは費用も大きく掛かるわけではないので、BtoB系製造メーカーも今後、積極的に活用すべき広報アイテムだと思います。

2)宣伝活動
これは最も有名なマーケティングプロモーションです。広告代理店に一定量の費用を支払い、TVCM雑誌新聞広告などを出して広く製品を宣伝することが目的です。主にTV、ラジオ、新聞、雑誌をマスメディアと呼んでいますが、最近はこちらもインターネットを活用した広告が増えています。
SNSでおなじみのYotubeもFacebookも広告媒体としての活用がメインになっており、またAmazonやGoogleなど巨大プラットフォーム企業もアフィリエイトを中心とした広告事業を伸ばしています。
今はどちらかというと小規模な企業の活用が活発ですが、今後はBtoB系製造メーカーインターネット広告を選択肢に入れる必要があると考えます。

3)SP(Sales Promotion)活動
セールスプロモーション製品販売に必要なツールや手法を準備することです。これはお客様向け販売員向けに分けて企画、作成していくことが必要です。
お客様向けだと製品のディスプレー(展示会出展なども含め)やデモストレーションサンプル品配布キャンペーン企画の立案カタログ・パンフレットの作成などがメジャーです。
また販売員向けだと製品説明資料(最近は動画)や販売インセンティブ企画立案販売店向けの教育・指導、実演などの準備となります。
セールスプロモーションは、その性格上単独で行われることは少ないです。だいたい他のマーケティングと連携して行われることが多い活動となります。

4)セールス活動(対人販売)
これはFace to Face(一対一)の販売活動です。いわゆる営業マンがお客様を訪問し製品説明したり、見積書を提出したりして商談をネゴシエーション・クロージングしていく活動です。最近は、これもデジタルマーケティングを活用し、直接面会しない形や訪問数を減らす流れも出てきています。
メールマガジンなどでホットリードを発見し、そこからテレマーケティングで製品をプッシュするとか、製品によってはネットの中でクロージングまでしてしまうものもあり、さすがにBtoB系製造メーカーの取扱い商品では難しいと思いますが、デジタルマーケティング情報提供量が無限であり、時間軸もクリック1つで一億人に到達させることも可能です。訪問販売の手間を減らす手法として、訪問販売と併用していくことも重要な施策になると考えます。

ダイレクトレスポンスマーケティング【第36回】
お客様の総数が比較的限られているBtoB系製造メーカーではDRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)をマーケティングに活用することは稀でした。もちろん、定期的に販促冊子を送付したり、展示会前に案内状をDMで送付したりしていましたが、告知...

さて、2回に渡ってマーケティングミックスマーケティングの4Pについて説明をしてきました。製品戦略価格戦略チャネル(流通)戦略プロモーション戦略を連携し、どの組合せでどのように販売することが『収益最大化』に繋がるのかを検討するのがマーケティングミックスです。
あまり、フレームワークにこだわらず、収益(売上)を最大にするためにどうすれば良いかという視点から組み立てていくように考えると、実効性の高いマーケティング計画が作れると思います。また、何度も言う通り、販売は顧客課題の解決です。必ず、顧客の問題解決を起点として製品販売を考えるクセをつけるようにしましょう。では、また次回、ごきげんよう!

コメント