前回は営業マン不要論という衝撃的なテーマで投稿しましたが、対面販売の活動を脅かすものとしてデジタルマーケティング、またはダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)について今回は説明します。BtoB系製造メーカーはこの分野についてはかなり遅れていると思っています。もちろん扱い製品の特性で取組みが難しいものもありますが、対面ではどんなに頑張っても、1日10件の売り込みが限界です。ところがメールマガジンを使用すれば1秒で10万お客様に製品の提案をすることが可能です。
デジタルマーケティング
製造業のデジタルマーケティングとは?
デジタルマーケティングというと、従来のマーケティングと対局を成すような新しいマーケティングなのか、と思いがちですが、あくまでもマーケティングの中の新しい手法と捉えてもらった方が理解しやすいと思います。BtoB系製造メーカーにとっては、基本的にはリサーチ、ターゲティングまでは一緒です。重要なのは、その製品のマーケティングが対面販売に合っているのか、デジタルツールの方が良いのか、というところです。具体的に説明すると、営業マンがカタログを持って販売したり、展示会で製品をデモストレーションをしながら製品説明をしたりするのが対面型販売で、メールマガジンを送信してお客様がそのコンテンツをランディングページで見ることによって情報を提供していくのがデジタルマーケティングです。
1)製品価格
高い製品をデジタルツールで販売している会社はたくさんありますが、一般的に高い製品や嗜好性が高くない耐久生産財などは対面販売の方が向いていると考えられます。1,000万以上のものをデジタルツールだけで決定するにはやや、感情的な盛り上がりに不足しているイメージがあり、またスペックや品質が選択の重要項目になっている耐久生産財については決定するための情報が不足しているので、これらの製品については初期段階のみデジタルツールを活用し、つかんだリード情報を迅速に販売側に伝える方が良いと思います。
2)製品の認知度
何か新製品を発表した時や今までと全く違うコンセプトの製品を販売する時などはデジタルツールは極めて有効です。新聞、雑誌広告やHPへのニュースリリースでは時間軸も遅くなりますし、伝達できるお客様も限定的になります。になってしまうかもしれませんが。
デジタルマーケティングのメリット
BtoB系の製造メーカーがデジタルマーケティングを進めるメリットは、もちろん販売員(営業マン)のコストがかからないことです。
私の会社には営業マンが70人程度しかいないので、新潟県の担当者は本社から出ていってます。この営業マンが新潟県に行くだけで宿泊費や交通費、ガソリン代などだけでも、1週間に10万円近い経費が掛かっています。これ以外にこの営業マンの賃金が支払われているのですから、結構な経費を払っています。これがデジタルマーケティングであれば、ほとんど経費をかけずに、この営業マンが1週間に訪問できるお客様の数十倍、いやお客様の数さえあれば無限大に情報を伝えることができることです。
また、デジタルマーケティングはあくまでも顧客が起点で商談が進むことです。なので警戒感が薄れることと、自分からアクセスしたという罪悪感(責任感)から対等な形で商談が進む傾向があります。
製造業、中でも耐久生産財を販売しているような会社は、さすがにクロージングまでデジタルマーケティングですることは難しいでしょうが、ギリギリまでデジタルツールを使用し、お客様主導で商談を進めることを考えるべきです。
製造業のデジタルマーケティングの注意点
ではデジタルマーケティングを販売政策に取り入れていこうとした場合の注意点はなんでしょう?
デジタルマーケティングを行う注意点
1)レスポンス
2)コンテンツ
3)タイミング
BtoB系製造メーカーの場合、新しいリードを掴む活動はほとんど意識しなくて良い訳ですが、逆に言うといつも同じ人にプッシュ(メルマガ)・プル(ランディングサイト)していくことになります。またその数も5,000人から多くて20,000人といったところです。
そうなると、MAツールを使ってスコアリングをするというよりは、デジタルツールを活用して、どこまで対面営業と同じようなことを進めることができるかに注力することが大事な役割です。
まずはレスポンスを良くすることですね。具体的に言うとクリックしたお客様に対するサンクスメールやステップメールの送信を迅速に、効果的にすることです。
次に、お客様がクリックしてたどり着いたコンテンツが常に更新されて充実していることです。製造メーカーの場合、製品コンテンツも重要ですが、小ネタがより重要です。たとえば機械メーカーであれば簡単なメンテナンス方法を教えるとか、裏技的な使用方法をベテランの技術者に交替で連載させるとかを重ね合わせるとランディングページのコンテンツの幅を広げ、固定のお客様を獲得できます。時々、こちらの方が人気になり、スピンアウトしてこちらのランディングページを作ることになるような会社もありますね。
最後に、重要なのは販売側に情報を渡すタイミングです。デジタルマーケティングのメリットはなるべく営業マンの活動の手間をかけさせないことなので、ギリギリの状況になってから渡したいのですが、あまりデジタルツールでのプロモーションを引っ張るとお客様の購買熱が薄れてしまうこともあります。100万円以上の製品であればサンクスメールの後にテレマーケティング(電話販売)などを挟んでみるのもいいのではないかと思います。
ちなみに私の会社では、なかなか登録フォームやお問合せアドレスにリプライしてきませんでした。リプライの約80%は営業マンへきています。まぁ、それだけ対面販売でのリレーションが取れているということですが、これではデジタルマーケティングのメリットが半減してしまいます。
デジタルマーケティングの担当者はいかにデジタルツールでお客様を維持、教育できるかに努めてメルマガのライティング力やコンテンツの魅力度を上げていく必要があります。
さて、今回はBtoB系製造メーカーのデジタルマーケティングについて、概要を簡単に説明させて頂きました。私としてはこのプロモーションはBtoB企業にとっても非常に有効だと考えていますし、コロナによって販売の仕組みに変化ができており、今後重要になる業務だと考えます。
では、今回はこれまでです。また次回、ごきげんよう!