50年以上生きていると、人生の随所随所でいろいろな方から印象的な言葉を頂きます。学生時代の先生、社会人になってからの先輩の一言、管理職になってからの上司やお客様から頂いた言葉など、お会いした人の数だけ学ぶことが多いものです。
また、その中でも特に印象に残り、事あるごとに思い出し、自分の行動指針になっている言葉って誰しもがいくつか持っているんじゃないでしょうか?
今回は、かなりプライベートな話になるので内容としてはビジネスに役立つかはわかりませんが、私が行動指針にしているような大事な言葉、俗に座右の銘ともいいますが、これについていくつかご紹介させて頂きます。今回はエッセイ的に軽い気持ちで読んでくださいね。
人生における重要な一言
さてさて、書き出すと何から進めればよいのか、考えてしまいますね。とにかく普段から常に意識しているものを思いつくまま書いていきます。また、今回、書籍は先に紹介しておきます。
『マンガでわかる! 10代に伝えたい名言集(2018年)』
実は自分から進んで名言を取りに行くことは避けていたのですが、子供が読んでいたので、昨年の夏休みに読んで、結構感銘を受けてしまいました。子供向けで、最近の人の名言が多いのも親しみやすいので、『座右の銘』が見つからない人は是非どうぞ!
微笑みを以て正義と為す
最初はこの言葉です。これは学生時代にしきりに使っていて、よく転校生への色紙などにも書き記していました。出所は中学時代によく読んだ太宰治の『正義と微笑』の一節からです。
当時、太宰治は、教科書で『走れメロス』ぐらいしか読んだことが無かったのですが、ある先生が『太宰は暗いと思ってるかもしれないが本はすごく前向きで面白いぞ』と教えてもらい、紹介されたのが『正義と微笑』でした。日記帳の文体に、ときおり聖書(だったかな?)の一節を引用したりし、自分の生き方を常に考え、時にはポジティブに、時にはネガティブに反省しながらつづられていく小説です。まぁ、今なら『中2病日記』とでもいうのでしょうか(笑)
私はすっかりこの文体と考え方に魅せられ、ほぼすべての太宰作品は中学時代に読みつくしました。私も中2病だったわけですね。
小説の中では主人公のモットーとして使われているのですが、私の中での意味合いは既に小説から独立していて若干違って心の中の言葉になっています。
当時、本当に短気だった自分に対して戒めのため『何があっても笑顔に勝るものはない』と癇癪が起きそうなとき、グッと我慢してこの言葉で押し殺しました。
この笑顔に勝るものは無しは営業時代にも非常に役立ちました。クレームで困っている時も、ムリを圧しつけられて内心怒っている時も、この言葉で可能な限り笑顔を作り、乗り切ってきた感があります。
それでも生来の短気は社会人になっても時々、お客様と衝突する時がありました。これを完全に消してくれたのが、その当時の上司が諭してくれた『カッとなったらあえて『お客様のおっしゃる通りです』と言いなさい』でした。不思議とこの言葉を言うと自分も落ち着きましたし、お客様もややカームダウンする感じでした。これは今でもよく使っています。
私が『おっしゃる通り』と言った時は、カッとなってるときかもしれませんよ。
しかし、太宰治、久しぶりに読みたくなったなぁ。『太宰治全集5』で書籍版があったのでご紹介しておきます。その他にもパンドラの匣(はこ)もいい作品ですよ。
努力は人の常なり
この言葉は中学2年生の時の担任から頂いた言葉です。もちろん私だけではなくクラスの全員に最後の授業で伝えてくれた言葉です。
『努力は人の常なり』文面だけ読むと、いたって普通で心に深く残るような言葉ではありません。もちろん意味はわかりますが。
しかし社会人になると、あるサイクルを繰り返し始めます。一生懸命頑張る、ちょっと気を抜きたくなる、すると運気が落ちてすぐスランプに陥る。『あの時気を抜かずに頑張ってればなぁ』と後悔する。
こんなことを何回か繰り返したときに『努力は人の常なり』の本当の意味というか、奥にある意味が腑に落ちた感じがしました。
『人間の人生に気を抜くとこなんてないんだよ』ってことを言いたかったのかなっと。この言葉はかなり座右の銘に近い大事な言葉です。
最後に『努力は人の常なり』と同じようなことを教えてくれている詩をつけておきます。実はこれ、営業時代にお客様の応接に貼ってあったものです。応接と言っても事務所の横にある椅子2つの接客場だったので真横に壁があり、そこに貼ってあったので、話をしているといつも読んでしまい、すごく印象に残りました。
成績が良くて調子に乗っている時でも、40歳で部長になって喜んだ時も、この詩を思い出し『まだまだ努力』と考えることができました。
その会社の担当はとっくに離れていたのですが、なんとか原文を手に入れたいと思い、当時ネット等で結構調べてみたのですが、どんなに検索しても一節も出てこないのです。そうなると、とにかく欲しくてたまらなくなり、45歳くらいの時に、その時の若い営業担当にお願いして、そのお客様から写真を撮ってきてもらいました。
それでわかったのですが詠み人知らずだったんです。もしかしたらその社長が作ったものだったかもしれません。
百聞は一見にしかず、百見は一考にしかず、百考は一行にしかず
これは30人近いお客様とドイツへ研修に出かけた時にお客様から頂いた言葉です。欧州の新しい技術をたくさん見て回り、ツアーのフェアウェルパーティの時の挨拶の中で、あるお客様がこのスピーチをしました。
新しいものをたくさん見て、本当に見ると聞くでは大違いということで『百聞は一見にしかず』です。しかし、見て帰るだけでは意味がない、これを会社に持ち帰って何をするかを考えなければ意味がないということで『百閒は一考にしかず』です。
でも、ここで止まってはダメです。考えたら行動に移す、つまり『百聞は一行にしかず』で、初めて今回のツアーが活かされます。
と締められました。スピーチのお上手な方だったのでより強く伝わりましたし、これも私の仕事の中で強く意識している言葉です。
ちなみにこの『百聞不如一見』は前漢時代の逸話から出たもののようですが、その後の人々によって後が追記され、実はこれ以外にも『百行は一効にしかず』や『百効は一幸にしかず』と続きがあるようです。前者はいくら行動を起こしても効果が無くては意味がない。また後者はいくら効果があっても人々が幸せでなくてはダメといったものです。
ややくどくなりますね。
正面の理、側面の情、背面の恐怖
さてラストは、この夏のコロナごもりで知ったこの言葉が最近のマイトレンドです。ちょうど【理想のリーダー【第67回】】という投稿を書いたばかりだったので新しいリーダー像を私に植えつけてもらいました。
この言葉は弁護士の中坊公平氏が提唱している『リーダーの3つの面』で、この3つの面(正面の理、側面の情、背面の恐怖)を持つことで人望が厚い人間に近づけるというものです。
それぞれの意味と理想像は下記の通りです。
□正面の理
論理的に実行内容を説明し、部下を納得させる力のあるリーダー像
□側面の情
周囲の人と情を通わせ、部下の成長を願う温かいリーダー像
□背面の恐怖
この人は裏切れないと思わせる人間的な繋がりとほどよい緊張感を抱かせるリーダー像
この『3つの面』を1つしか持っていないリーダーはダメリーダー、2つ持っている人は優秀なリーダー、3つ持ちあわせている人は人望の高いリーダーということになります。この3つ、わかりやすいですね。
これに照らし合わせると、程度の差こそあれ3つ目の『背面の恐怖』が一番難しいですし、リーダーに欠けている要素かもしれません。最近はハラスメントも社会問題になっており、厳しさを部下の示していくことは容易ではありません。また表面上、厳しくなっても、それこそ背面ではなく『正面の恐怖』となってしまいダメリーダーになってしまいます。
この能力を鍛えるのはリーダー自身の『ゆるぎないビジョン』を決めることだと考えます。絶対に譲れないビジョンの元に、ピンチな時でも、うまく進んでいない時でも絶対にブレない志を部下に示していくことで、いつしか部下に対して圧倒的な恐怖(ついていきたい気持ち)になると思います。
私は過去の投稿の中で、リーダーの条件を①圧倒的な行動力(ポジティブに思考でき、とにかく行動や決断が早い)②フラットな評価とケア(評価の際に、絶対に人の好悪を出さない、またチーム全員に平等にケアをする)③自己完結(意思決定、判断の責任)としました。これは、今でも私自身が実践しようとこころがけていることですが、3つの面と照らし合わせると、欠けている部分が散見します。
『私の説明はロジカルだったのか?』『本当に情を通わせた人付き合いができていたのか?』『業務遂行のために厳しい施策を展開できていたのかな?』など、この言葉に出会ってから、いろいろと考えさせられてしまっています。
私の持論については、過去の投稿『理想のリーダー【第67回】』で説明しておりますので、詳しくは下記リンク先もご覧ください。
さて、今回はライトな感じでつらつらと書いてみました。ほとんどが自分の内面のことなので、過去1、2を争うスピードで投稿を完成できました。今の私のブログがまさにそうなのですが、50歳を超えるといよいよサラリーマン生活もラストスパートです。『座右の銘』なんて聞かれることも多くなりますし、誰もが思想家になれるぐらい、大事な言葉を携えながら生きていると思います。
たぶん、私も『そういえば、こんな大事な言葉もあったなぁ』なんて思い出す言葉もでてくるかもしれませんが、今回ブログに書き記し、忘れないように大事にしておきたいと思います。
みなさんも頭のだけではなく自分の考えを文章などにしっかりと刻み込んでおくことも重要ではないでしょうか?
では、今回はゆるーくこれまでです。また次回、ごきげんよう!
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