目標達成と進め方のプロセス【第69回】

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走るこどもビジネス一般

春先に目標設定の仕方について投稿(『実効性のある目標設定【第54回】』)させて頂きました。目標設定でよく使われるMBOManagement by Objectives)を軸に、目標の設定方法のSMART、また目標を設定する時のNGワードなどについて説明をさせて頂きました。
早いもので既に2か月半、そろそろ第一四半期が終わろうとしています。本当に早いですねぇ。みなさんも4月に立てたGOALに対し、順調に業務を進めていますか?今回は、一部リクエストの合った目標達成のためのプロセスについて、いつもの通り持論を中心に進めさせて頂きます。目標設定の過去投稿もリンクしておきます。こちらも是非読んでみて下さい。

実行性のある目標設定【第54回】
みなさん、こんにちは。3月もいよいよ終わり、新しい期を迎える企業も多いのではないでしょうか?期初といえば、その年の目標を立てる時期。経営企画室や部門長などから目標が展開されてくるころですね。今回はこの目標を設定する時に重要なことについて書...

目標達成のプロセス

まずは、目標設定の時にも使用した問題解決のステップについて復習から入りましょう。

問題解決のプロセス

まずは現在の立ち位置(現状)を正確に認識し、あるべき姿(GOAL・目的)をしっかりと設定することです。現状認識はしっかりと分析できるのですが、あるべき姿、つまりどういう風になりたいのか?については、意外と明確にできていないケースが多いのです。
そして、その2つの差、足りない部分(GAP)目標になります。

現状認識とあるべき姿の設定

何か業務上(かたは経営上)問題がある時に目標設定をして解決に繋げていくわけですが、現状分析をしっかりと行わず、最終目的(あるべき姿)も明確ではないことが多いです。
これでは現状最終目的(あるべき姿)のGAPが見えてこないため、目標設定ができない、またはいい加減なものになってしまいます。
例えばある製品の販売不振のといった問題に対して、現状を細かく分析することなく、営業マンたちの主観で『あの製品は高いから売れないんだよ』と価格を課題にしてしまい、すぐに対策案の検討に入っていく会議をよくみかけます。
また、最終目的リーダーのロマンで設定されることも良くあります。たとえばマーケットシェアが30%ぐらいの会社が『最終目的マーケットシェア80%!』としてしまう例です。
最終目的経営理念ではありません。実現可能性がありあるべき姿として描かれていなければ対策実行案が設定できず、目標設定がいい加減なものになり、初期段階から目標と乖離していくようなことに陥ってしまいます。

最終目的(あるべき姿)の設定は『実効性のある目標設定【第54回】』でも詳しく解説してありますのでそちらも参考にして欲しいのですが、SMART5W1Hで必ず示されていることが前提です。
この中でも数値目標達成納期実現可能性(ちょっと背伸びをしたGOAL)になっているのかを、必ず考えて設定してみてください。

SMART

目標設定する時の留意点。Specific(具体性)Measurable(測定可能)achievable(実現可能)Result-Oriented(役割の明確化)Time-Bound(達成期限の明確化)の5つの頭文字をとって目標設定のSMARTと呼ばれる。

現状分析は時間をかければいいわけではありませんが、最低限何かしらのフレームワークを活用して複数の人間で実施することが重要です。営業戦略やマーケティング戦略レベルであれば3CSWOTなどは活用して欲しいところです。これも過去の投稿『内部環境分析【第65回】』などで説明していますので良かったら併せてお読みください。

内部環境分析【第65回】
先日、『外部環境の分析【第63回】』の投稿でPEST分析や5Force分析といった有名なフレームワークの使い方を説明させて頂きました。今回は、外部でなく内部、つまり自社内の分析(内部環境分析)について、やはり有名なフレームワークを使って説...

現状分析は、SWOTで考えるとW(Weakness)T(Threat)を特にさらけ出して現状分析をする必要があります。強みの拡大していくことも重要ですが、現状分析は特に『何が足りないのか』をフレームワークを使って分析、深堀りしていかなければなりません。
先ほどの悪い事例で紹介した販売不振の現状分析『競合との価格』とし、その課題が『価格が高いから売れない』、対策が『値引きキャンペーン』にしたと仮定してみましょう。
もし『販売する市場が違っていた』『販売の方法が悪かった』などといったことが本当の問題だった場合、不要な『値引きキャンペーン』をすることで収益を落とし、その挙句、販売量もそれほど上がらないという致命的な戦略ミスを発生させる可能性があります。
特に販売対策において価格は最終手段です。なるべく価格以外で現状分析をして。真の原因を徹底的に考えていくようにしましょう。

問題点の抽出と課題解決(対策立案)

さて、最終目的(あるべき姿)現状分析が明確になったら、問題点を抽出していきます。あるべき姿になるための不足しているもの(課題)を列挙していきます。
先ほどの販売不振であれば現状分析から課題を挙げていきます。
・価格
・市場
・販売方法(サプライチェーン)
・営業手法(販促物)
・スペックなど
そして、その課題に優先順位をつけて上位3つぐらいに対して対策を立案していきます。この優先順位のつけ方はクロスSWOTなどで分析しながら客観的に付けていくことが重要です。

課題を抽出できたら、課題に対して対策案を立案し、スケジュールを実行に移します。
①最終目的(GOAL)までの数値目標設定(マイルストーン)
②納期の確定
③担当者の設定

具体的な対策案の立て方については『実践的な事業戦略の立て方【第19回】』など過去投稿でもいろいろとヒントが書いてあるので、見てみて下さい。

実践的な事業戦略の立案方法【第19回】
事業戦略の立案というと、ついつい構えてしまいます。私もビジネススクールに通わされていた時に一番わくわくしながら受講していたのですが、体系化の構造が複雑で、またいろいろなフレームワークを教えられたため、言葉(単語)だけは頭に入ったのですが、...

検証・修正プロセス

最後に目標設定を進めていく中で、成功する会社・組織が必ずやっているのが、進捗状況の検証です。
目標を決めたら振り返ることが無く、最後の最後で『ダメだった』みたいな目標管理はやっている意味がありません。
逆に進捗状況検証し、都度軌道修正していくことをしているチームはうまく機能しています。1年間の目標なら最低でも1ヶ月に1回、半年ぐらいのものなら2週間に1回は進捗の検証をするべきです。
とくに実行開始から最初の1か月については、一度決めた対策が正しいのか、効果が出ているのかの見通しをつける時期なので、最初の1か月は、毎週進捗状況の検証をしていくことを心がけるようにしたいですね。

また、この検証修正のプロセスではリーダーのかじ取りが非常に重要になります。
組織の目標達成に向かうやる気を損なわないように、かといって目標値が下がることがなく進めていくリーダー力が必要です。
自分自身の課題解決でも、チームでの課題解決でもモチベーションの維持増大は最優先事項です。特にチームで行っている課題解決の検証・修正の際は下記の点に注意してリーダーは進めなければなりません。

ちなみにみなさんの仕事のモチベーションって何ですか?これは一晩かけても結論が出ないテーマですが、私は期待好奇心達成感(高)評価です。お金という人もいるでしょうし、出世や昇進など地位を求める人もいますが、それらは最終的な結果であり、仕事自体をしている時の推進力は、先に挙げた3つが突き動かしているのではないかと思います。

①成果目標を共有(再認識)する・・・期待好奇心の再注入
成果が上がっていないと、手段が目標になるケースが多いです。『あなたが達成しなければいけない最終目的は何ですか?』といった部分をお互い共有し、進むべき方向を修正してあげる必要があります。これによって上司からやっていることに対して承認をもらい、期待されている意識を持たせることができます。また煮詰まった状況から、新しい方向性を示してあげることで好奇心を再注入することができます。

②成果に対してほめる・・・達成感と高評価
成果が上がっていた場合は必ず褒めることが重要です。褒められれば自然とモチベーションは上がりますし、更に高いレベルまで仕事をこなしてくれます。但し極力、人をほめるのではなく成果をほめるようにすることで他のメンバーのモチベーションを下げることなく、また当人のモチベーションも高めることが可能となります。

③チーム全員実施・・・平等な評価期待(存在意義)の確認
このレビュー会は必ずチームメンバー全員とやらなければなりません。全員とやることでメンバー1人1人が存在意義を理解し、モチベーションを維持することが可能となります。

目標達成の思考として参考になる書籍をご紹介しておきます。結構最近話題になった本なので知っている人も多いかと思います。『東大式 目標達成思考 「努力がすべて」という思い込みを捨て、「目標必達」をかなえる手帳術(2020年 相生 昌悟氏 著)』

さて、今回はいかがでしたでしょうか?われわれサラリーマンは日々、目標を設定し、それに向かって自分自身で進めたり、チームで進めたりすることで、最終的に自社の収益のために活動しています。
また経営者は、その目標管理を直接、自社の事業戦略に置き換えて進めていくのですが、経営者でも、雇用者でも、この目標管理の進め方事業展開の骨格になります。
この目標管理の進め方プロセスの思考をあらゆるビジネスシーンで当てはめられるように、どんどん活用して下さい。では、今回はこれまでです。ごきげんよう!

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