強い組織をつくるために~実行力を高める評価方法【102回目】

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5つ星ビジネス一般

こんにちは、3月が決算である私の会社では早いもので今期も上期が終わろうとしています。このあと下期は年末や期末の追い込みなどがあり、あっという間に終わってしまうものです。年々1年が短くなってきているのは歳を取ったせいなのでしょう。なんとなく寂しい話です。
さて、こういう半期末の時期になると『私の部門はどんな成果を出せたのだろうか?』『私は半年間でどれだけ会社に貢献できたのか?』という業績の評価時期に入ってきます。
この評価をしっかりと公平に判断するのは、評価者である上司の最も重要な仕事の一つですが、日本の企業の場合、成果主義というよりは日々の頑張りを評価するというやや情緒的な評価が多いのではないかと思います。そこで、今回はチームメンバーを評価する上で欠かせない実行力を高めるための項目について記事にしていきたいと思います。

実行力を高める評価方法

『私は出世する気もないし、収入も最低で構わないんです』

このタイトルの言葉ですが、これ『欠席や遅刻などがやや多く、業務中も今一つパフォーマンスが上がっていない』という指摘があった社員に対して、私が面接した時に、実際にあった発言です。現在はコンプライアンスの時代なので、若干柔らかく発言しますが、それにしても会社(企業)の本質が理解できていない発言だとこの時は思いました。
会社(企業)が雇用をしたら最低限の賃金を出すということが前提の発言であり、雇用者の権利のみ主張していますが、雇用者の義務である会社(企業)に成果を残すということが抜け落ちています。見方によっては『会社の最低限のルールを守っていれば最低給料はもらうよ』と言っている感じですね。そんなに世の中は甘くありません。(とはいうものの、それでも解雇するのは非常に難易度が高いのが今の時代です)
出世や収入については、本人のポリシーですからどう考えて頂いても構いませんが、業務のパフォーマンスが発揮できないのは雇用者の義務違反です。ただ『なぜこのような発言が出るチームだったのか?』自分自身も反省を兼ねて考えました。
つまり、会社(企業)側もパフォーマンスを発揮できる業務を与えることができていないのであれば問題があったと思いますし、そもそも全てのメンバーのパフォーマンスが上がるようにしなければならないのです。この社内、または組織のメンバー全員のパフォーマンスを高めていくことが、経営者や組織管理者にとって一番難しく重要な役割です。
メンバーのパフォーマンスを高めるのには業務の目標の持たせ方その評価を公平に実施することなのですが、この公平というのがしばしば問題になります。日本の組織管理者たちは、この公平という言葉のもと、評価基準を公平にするのでなく、全員の評価を公平にしてしまい、それぞれのメンバーの良い面を引き上げて評価し、最終的には全てのメンバーにほぼ3点(5点満点)をつけるのです。日本の評価はまさに『公平という名の不公平』をしているわけです。また、この『全員3点評価』をやっていると、間違いなく仕事のできる人から離脱していきます。また離脱をしなくても、業務のモチベーションが次第に落ち、本当の『3点社員』になってしまう可能性があります。
昔、何かのセミナーで、会社のリソース(ヒト・モノ・カネ)について説明するシーンがあり、その中で『ヒトというリソースは『おはよう』とあいさつするだけでパフォーマンス(活力)を高めることができる、非常に特筆すべきリソースである』というものを聞いたことがあります。ともすれば、日本的な人間の関係性に言及した話ですが、意外と最近の日本では失われている部分かもしれないと感じました。まさに『全員3点評価』は個々の人間関係を崩壊させているともいえるのではないでしょうか?
組織、チームのパフォーマンス向上『正しい目標設定と評価にエッジを利かせて進めること』であり、これによって組織は強いものに変わってくるのだと思います。

パフォーマンスを高める4条件~リーダーの条件

では、正しい目標設定公平な評価をするために必要なことは何でしょうか?私は目標管理設定時や評価時に絶対に実践していることは下記の4点です。この4点だけは組織リーダーの仕事であり、組織リーダー行動と意思決定をしていかなければなりません。ある意味、リーダーの条件とも言えます。

①ビジョンの浸透
②目標設定とレビュー(One on One面談)
③短期成果の設計(モチベーションの維持、向上)
④他部門交渉

では1点ずつ説明していきます。

1)ビジョンの浸透

ビジョンとはその組織がある時期までに『どのような存在』になっているのか?ということです。1年先では単なる年次目標になってしまうので、最低でも5年後ぐらい先に目線を置くといいでしょう。これを決めるのは組織リーダーの仕事です。会社(企業)で言えば経営理念に近いもの(この辺の言葉はいろいろな解釈があるので今回説明は避けます)であり、なるべく『短い言葉で誰にでもすべきことがわかる』明確なビジョンを設定し、設定することよりも大事なことは、そのビジョンチームメンバー全員が腑に落ちるまで伝えることです。
ビジョン設定失敗例は、このビジョンを年次目標のような扱いをしたり、気持ちの変化合わせて頻繁に変更してしまったり、また自分だけがわかっていてチームメンバーには意図が全く伝わっていなかったりすることです。そのため、このビジョンの決定組織リーダー考えて考えて考えつくして決めなければならないですし、決めたらチームメンバーに対して徹底的に浸透させることが必要となります。
これは時間が掛かります。私は350人の組織メンバーに毎週、48回のビジョンに関するレターを送り続けましたが、かなりキャッチーだったビジョンすら言うことができなかったことに愕然とした経験があります。

目標設定とレビュー(One to One面談)

ビジョンが設定出来たら、次は具体的な目標設定です。こちらはビジョンとは違い、より具体的に数量的に設定することが重要です。当然ながらビジョンに繋がる目標設定でなければなりません。ビジョンを達成するために今年度、この半期にどこまで進めるのかを具体的に設定するのが目標設定です。
これは組織階層的に連携し、部長の目標を課長に、課長の目標を係長といった具合に、それぞれがしっかりと連携していることが重要です。
目標設定方法については過去の投稿でも、かなりの回数で解説していますので、そちらを是非、ご参照下さい。

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短期成果の設計(モチベーションの維持、向上)

これは目標設定とレビューにも関わるのですが、メンバーが目標に向かっている時に、すぐに結果が出るものと、結構長期間かかるものがあります。成果が出ないと、なかなかモチベーションを維持できないし、周りからの目も気になります。この時にチームメンバーに短期間で成果が出る目標をしっかりと準備してあげることも組織リーダーの仕事です。
小さな成果を積み重ねていくことでモチベーションを維持し、全体の目標達成にも近づいていくことができるようになります。

さて、これはわれわれの組織でも良くある話ですが、日本の組織・チームは目標設定までは非常に秀逸です。しかし残念ながらその設定した目標に向かう実行力がほとんど働かないケースが多いのです。この目標に向かう実行力を発揮させるのも組織リーダーの手腕が活かされる部分です。
目標設定での失敗例は目標を立てただけ、実行はメンバー任せ、進捗管理(途中の確認やマイルストーン設定)をしないなどです。
こうならないために組織リーダー業務のレビューを定期的に行わなければなりません。組織にもよりますが、少なくても2週間に1回ぐらいの頻度で、① 目標(成果)に対してどこまで進めるのか、そして ②どこまで進めることができたのか③やり残しは何なのかを確認し、習慣化することが重要です。
こちらはビジョンの浸透と違い、4か月もやっていると習慣がついてきて、チームメンバーの自発的な実行力がついてきますOne on One面談などでも有名ですね。

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他部門交渉・調整

さて、もう一つチームメンバーが目標に向かっているときに障害になるのが、他部門連携する時の交渉です。技術部門に開発をお願いしなければならない、販売部門に市場調査を依頼しなければならない、また管理部門から予算を取らなければならない、このようなことでせっかく立案した目標が、1か月も2か月も止まってしまうことがあります。自分ではこれ以上進めることが難しく、毎月毎月同じ言い訳を繰り返す発表をしているメンバーも良く見かけますね。この他部門との交渉や調整組織リーダーの役割の最重要項目と言ってもいいかもしれません。
この他部門交渉の失敗事例は、発言力のある組織リーダーにありがちですが、自部門のことだけで、全体最適を考えず要求を押し切っていくことです。確かにそのリーダーがいる部門はそれなりの結果が出ますが、会社全体としては非常に足かせになったり、そのリーダーがいなくなった瞬間に分解してしまうということも少なくありません。交渉力と同時に全体を見渡して行動できる調整力もバランスよく発揮する必要があります。
ただ、この交渉と調整力のある組織リーダーはチーム内外で最も信頼されるリーダーです。組織が自走し始めた時に、組織リーダーに残される仕事はこの交渉と調整なのかもしれません。

この4点を組織リーダーが徹底していくと、それぞれの社員(メンバー)が評価前に自己評価ができるようになります。そのため評価者との間で認識のズレがなくなり、より公平な評価に繋がっていくと思います。また評価時点でなかなか成果が上がらず、その際は仮に低評価になったとしても、今後、評価を上げていくためにはどうやっていけば良いのかという解決方法もハッキリしてチームメンバー全員のパフォーマンスが上がっていくのだと考えています。

さて、今回はいかがでしたでしょうか?実はこの評価というのもの、私は最も苦手としているものです。営業時代は売上数字や利益などである程度公式的に評価ができたのですが、企画部門の責任者になると、なかなか成果を定量的に設定することが難しいのです。業務をみても『みんな一生懸命仕事しているしなぁ』となり、結局『全員3点評価』のような結果にしていました。まさに私の反省のような投稿です。
これから企業はヒトの力で大きく差がつく時代です。このヒトのパフォーマンスを高めることができるヒト、つまりリーダーの質、量が勝負を決めていきます
まずは上記の4つを意識して自ら強いリーダーとなり、また強い組織が作れる次のリーダーを育てられるように努力してみて下さい。
今回は、これまでです。また次回、ごきげんよう!

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