実践的な事業戦略の立案方法【第19回】

マーケティング

事業戦略の立案というと、ついつい構えてしまいます。私もビジネススクールに通わされていた時に一番わくわくしながら受講していたのですが、体系化の構造が複雑で、またいろいろなフレームワークを教えられたため、言葉(単語)だけは頭に入ったのですが、なかなか実践に繋げることができなかったですね。今では習ったことがほとんど剥げ落ちてる感じです。学問的に言うと環境分析基本戦略戦術実行の手順で、いろいろなフレームワーク(有名なのはSWOT分析ですね)を使って計画を立案していくのですが、そのような教科書的なことは他のサイトや書籍にお願いをして、私のブログはどこまでも製造メーカーのより実践的な事業(マーケティング)戦略にして説明していきます。

BtoB系製造メーカーの事業戦略(商品戦略ぐらいかな)

環境分析は周知のことならそこそこで良い

どんな事業戦略マーケティングの本を読んでも、必ず書いてあるのが環境分析ですね。その戦略は経営理念にのっとっているのか?戦場(ドメイン)はどこなのか?自社のコアコンピタンスは?って、わかるけど2,000人ぐらいの会社に必要?と感じていました。もちろん学問的な基礎知識が重要なことは理解していますが、正直、いろいろな解説書に書いてある環境分析って、フレームワークに気持ちいくらいマッチしてますよね。でも、実際に自分で使ってみると分析に活用するというよりは、周知のことをフレームワークに貼っていくだけで、フレームワークから何かが見えてくるなんてことはほとんどないんですよ。少なくても私の経験では。BtoB系の製造メーカーって対象とするお客様の数が多くても10,000社、だいたい3,000社くらいしかないので、日用品とか、食品のようなコモデティ製品とは違い、そんなに分析しなくても、だいたい感覚で捉えているものが、自社の置かれている環境ということが多いです。もちろん分析できれば、それの方がはるかに価値がありますよ。前者では、声の大きなリーダーが自分の信じている仮説を展開し、明らかに間違った環境分析にも関わらず、誰も反対することなく事業が進んでしまうなんてこともありうるので注意が必要です。

戦略の目的(事業ドメイン)

私の会社の顧客数も既存を含めて6,000社、購買可能性のあるお客様で3,000社弱くらいだったので、新規事業でない限り、あまり環境分析については考えませんでした。意識をしていたのは業界のトレンドぐらいですかね。
環境分析の次は事業(製品)コンセプトを決めることです。良く事業ドメインという言葉でも表現されますが、私はここから先のマーケティング活動を下記のようにまとめて考えました。

製造メーカーの事業(製品)戦略の進め方

かなり簡略化された戦略手順なので、マーケティング論をしっかりと学びたい方は笑ってみて下さい。でも私は結構気に入っていますし、簡単な商品戦略などはこれを下敷きに実行すれば、そこそこ生きた計画書が作成できます。
では事業ドメインはどうやって決めるのでしょうか?ソリューションビジネスを考える上で顧客課題は絶対に外せません。お客様はどんな問題を解消したいのか、自社の製品を一度忘れた状態で考えることが必要です。どうしても自社の製品を置きながらこれを考えると、自動的にその製品に行きつくような課題しか浮かんでこないんですね。有名な『ドリルと穴の関係』です。ドリル(製品)を売ろうとばかりしていると、顧客の課題(欲っしている)ものが間違えちゃうんですよ。折れないドリル?、数秒で穴が空くドリル?、いろいろなサイズのラインナップを増やす?のような論議になってしまう。でもお客様が欲しいのは『穴』でしたよね。棚をつけるための穴が2か所欲しいのか、1時間に100個以上開けなければいけない穴なのか?ここにお客様の課題がある訳です。
前者のお客様と後者のお客様では抱えている課題が全く違いますよね。なので、事業ドメインを決める時には、なるべくいろいろなパターンのお客様を想像し、検証していくことが重要です。例えば、みなさんがドリル屋さんだったら、先ほどの棚をつけたいだけのお客様と1時間に100個穴を空けたいお客様のどちらをターゲットにしますか?まぁ、普通なら1時間に100個の穴を空けたいお客様ですよね。では、今度はこのお客様の課題欲しているものはなんでしょうか?それは数秒で穴が空くドリルかもしれないし、折れないドリルかもしれないですね。このようにして、いくつも顧客の課題を導き出していくことで最適な製品を投入する市場商品特性(顧客価値)を見つけ出すことができます。これが事業ドメインの候補です。

戦略計画の作り方

ターゲットはどれだけあるのか?(STP)

事業ドメイン(市場と顧客価値)が決まったら、今度は具体的に売り先を決めていかなければならないですね。マーケティング用語でいえば基本戦略を立てるパートです。ここはやはり教科書的な道筋をしっかりと踏襲することが重要ですが、、セグメンテーションとかターゲティングとか、なんとなく似ててわからないという方もいらっしゃいますよね。実際に教材などで取り上げている事例は、非常に明確なケースが記載されているので納得してしまうのですが、自分の会社の製品に置き換えると『?』となってしまいます。それは販売している製品、購入する顧客、自社の業界における地位などが違うので、同じように作るのは難しいのです。なので、できるだけ簡単に下記のように考えてみて下さい。

1)誰に売るの?(セグメンテーション・ターゲティング)
2)どういう価値(差別化)で勝負をするの?(ポジショニング)

大量にモノが売れていた時代と違い、今は少ない商談チャンスを最大限に生かさなければなりません。そうなると分母(対象顧客)が多くて勝ち目のあるターゲットを選出するのが最も効率が良くなります。これがセグメンテーションであり、ターゲティングです。製品軸が多ければ、まずその製品の購買層を見つけ(セグメンテーション)、その購買層のどこ(年齢だったり収入だったり、性別だったり)をターゲット(ターゲティング)にするのか、のようになりますし、製造メーカーのようにお客様が見えている時は、ターゲティングだけでも良いと思います。

先ほどの『ドリルと穴』の話で例えると、棚を取り付けるために2個ぐらい穴を空けたいお客様がターゲットなら、価値(差別化要素)は穴あけ出張サービスなどが考えられると思いますし、1時間に100個の穴を空けたいユーザーがターゲットなら、価値(差別化要素)は高速の自動化された機械であったり、ドリルのサブスクリプションビジネスなども考えられると思います。

どうやって販売するのか?(4P/4C)

売り先が決まれば、いよいよどのうようにして販売するのか?ということですね。マーケティング的には戦術実行とかマーケティングミックスなどと呼ばれています。これを考える時にマーケティングの4Pが使われます。Product(製品戦略)Price(価格戦略)Place(流通戦略)Promotion(コミュニケーション戦略)ですね。マーケティングミックスというくらいだから、それぞれにいろいろな施策があるのですが、BtoB系製造メーカーはこの4つの中でどこに重要度を置いて販売するのか、という考え方をした方がいいでしょう。
上記図でいうと、この3項目ですね。

1)価格の設定(プライシング)・・・お客様の価値に対する対価を決める(費用対効果を明示し、原価+利益のプライシングはしない)
2)販売数と収益の予測・・・上記価格に対する販売数の見込みと収益の見通しを最低3年、できれば5年のKPIを立案する
3)販促計画・・・①お客様向け販促、②販売員向けの教育、③サービス向けの技術指導についてスケジュール立案する

いかがでしたでしょうか?非常に簡易的な資料ですが、教科書よりだいぶわかりやすく立案しやすくなりませんか?この骨格に、環境分析であれば、いろいろなフレームワークを使用し、外部環境や内部環境を分析しますし、基本戦略であればSTPそれぞれに、もう少し詳細な考察を加えます。マーケティングミックスであれば、4Pそれぞれに対し戦略があり、どの分野にどの戦略を組み合わせていけば、販売量の極大化に繋がるのかを検討していくだけの話です。
いつもの通り長くなってしまいました。でも非常に重要な話をさせて頂いたと思います。では次回、ごきげんよう!