BtoB系製造メーカーのサービス部門【第26回】

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工具ソリューションビジネス

今回は、今の業務に近いところですね。営業、商品企画、マーケティングの責任者として担当し、現在はサービス部門のソリューションビジネスを日々検討しています。一般的にBtoB系製造メーカーのサービス部門というと、製品を販売するための補助部門で、とにかく壊れたら迅速に復旧することが目的で、売上とか収益は二の次にされてきた部門です。ところが成熟市場では製品そのものが売れなくなってくるため、このサービス部門が売上維持、拡大のためにより重要となってきます。今回はここについて掘り下げてみたいと思います。

アフターセールス戦略

サービス部門の特徴

サービス部門はその名の通り、製品販売の補助部門となり積極的に販売活動をするというよりは、製品に何かあった時に駆けつける受け身の部門です。これまでソリューションビジネス関連のパートで何回も指摘した通り、成熟市場ではじっとしていても製品は売れません。成熟市場では顧客課題を起点にして、価値を売らなければいけません
とはいえ、モノ余りの時代に製品販売はそう簡単に拡大しません。そこでBtoB系製造メーカーも、本気で、このサービス部門ソリューションビジネスを取り入れていく必要があります。これをアフターセールス戦略と呼び、今後製造業の命運を分けると言われています。

『成熟市場での製造メーカー【第4回】』も参考に読んでみて下さい。

成熟市場での製造メーカー【第4回】
こんにちは、ソリューションビジネスの基本はつかめたてきたかな?今日はB to B企業が、厳しい事業環境の中で、どのように変わっていくべきなのか?を、いつもの通り過去に作ったパワポの資料を使って、わかりやすく説明していきたいと思います。つい...

実はサービス部門はソリューションビジネスを展開するのに良い条件が揃っています。

1)対象のお客様(製品数)が多い
2)顧客課題が修理履歴から推測できる
3)競合がいない
4)価格(顧客価値)の決定権がある

まず、対象とするお客様が製品を販売するお客様よりもはるかに多いことです。単純に製品の寿命が7年の機械であれば、製品販売の7倍の市場が存在することになります。また、もう製品は買わないというお客様ほど、アフターサービスにはビジネスチャンスが存在します。
また、過去に納入した製品の修理履歴がサービス部門には存在します。これらを分析して顧客課題と紐づければ的確な提案型の商品が立案できます。いろいろなフレームワークで分析するより、はるかに正確でかつ短時間にできますね。
そして、これが一番大きいですが、アフターセールスには、ほぼ競合がいません。これは製品販売と最も違うところですね。営業マンからしてみたら、勝ちか引き分けしかない商談というのは夢のようなビジネスですね。
最後は、価格の決定権を持っている、ということですね。競合がいないことと商品の値ごろ感が掴みづらいことからお客様の価値に見合った金額を提示することが可能で、良い価値提供ができれば大きな収益を上げることが可能となります。

アフターサービス成長戦略

サービス部門のソリューション

BtoCのビジネスではアフターセールスがビジネスの中心になってきています。インキジェットプリンタ、ウォーターサーバー、オフィス用コーヒーメーカーなどはハードをほぼ無料に近い状態で提供し、その後に掛かる消耗品で稼ぐアフターセールスの代表格です。一般的にはリカーリングビジネスと呼び、消耗品の原価が安く、お客様の常習性が強いほど大きなビジネスとなります。
また、動画や音楽配信、最近では洋服やバッグ、焼き肉や自動車まで、定額料金を支払えば使い放題といったサービスであるサブスクリプションビジネスアフターセールのヒントになるビジネスです。このようにBtoCの業界では『所有(モノ)から活用(コト)』の時代に切り替わってきていますが、BtoBの業界では、まだまだ製品(モノ)販売が主流です。

リカーリングとサブスクリプションについては『製造メーカーのゲームチェンジ【第12回】』で詳しく解説してます。

製造メーカーのゲームチェンジ【第12回】
自社の製品が売れなくなった時に、新しい製品を生み出していくことが必要なことは過去の記事でも述べてきました。その際、ビジネスの仕組みを変えることを考えていかなければなりません。特にBtoB企業の中でも製造メーカーは自社の製品販売に偏り過ぎて...

では、ここまでの話を参考にしてサービス部門におけるソリューションビジネス事例はどんなものがあるでしょうか?

1)オンコールを分析した修理パッケージ商品
まずは呼ばれたら出張するといった受け身の業務から、サービス部門が企画した商品を能動的に販売していくことです。その際に膨大な量の修理履歴や、機械の稼働状況から顧客課題を分析し、勝ち目のある製品を立案していくことです。勝ち目があるというのは、①効果が絶対にある②対象のお客様(機械)が多い③原価が安い(収益性が高い)の条件を満たすものです。

2)パーツのプライシング
製造メーカーが扱っているパーツは専用性が強く、最も収益を上げやすい製品です。ところが製造メーカーはこのパーツのプライシングを極めて雑に扱っています。ほとんどの場合、生産工場の購買部が設定した原価に対して一律で係数をかけて定価にし、製品側の生産が中止になろうが、ほとんどそのままの定価で販売しているところが大半じゃないかと思います。パーツ価格は生き物と捉える必要があります。調達が困難になったり、仕入れ価格が変われば都度、金額を変更していかなければなりません。これができる管理者とシステムをしっかりと構築し、パーツを収益の柱にする必要があります。
またプライシングですが、高頻度汎用的なパーツはより安く低頻度専用的なパーツは大きな利幅で販売するのが鉄則です。高頻度汎用パーツはお客様からの注文も多く、また値ごろ感もある程度決まっています。ここを安くすることでお客様の心理に『安い』というイメージを与えることができます。
逆に、めったに出ない専用パーツは、在庫リスクも抱えていますし、お客様の値ごろ感もあんまりないので、それなりの粗利を乗せて販売し、高頻度汎用パーツとの価格バランスをとることが大事となります。

3)保守(メンテナンス)のサブスクリプション
お客様は、製品を使用し売上(収益)をあげることが目的です。それ以外のことはできればない方がいい訳です。そこを狙った製品が保守(メンテナンス)ビジネスです。本来、お客様側で実施をするメンテナンスを、そっくり引き受けることで、お客様は生産稼働に集中できる、製造メーカー側は定期的な収入が手に入るというWin-Winな関係が築けます。このメンテナンスビジネスに、消耗品やいろいろなメンテナンスのオプションを設け、月額課金のメニュが作れれば、継続性の高いBtoB製造メーカーのサブスクリプションビジネスを成立させることが可能となります。

さて、今回は製品を納入した後のサービス部門ソリューションビジネスであるアフターサービス戦略について説明をさせて頂きました。BtoB系の製造メーカーでは、今後、このアフターサービスに優秀な人材を投入できるかがキーになると考えます。では次回まで、ごきげんよう!