インダストリー4.0【第28回】

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クラウドソリューションビジネス

みなさんこんにちは。ついにこれをテーマに書くころかな。3年前にこれの意味の理解に、相当本を読みました。でも結局良くわからず、私の会社も大きな展示会を目前にし、最終的には自分なりの解釈で会社の製品コンセプトをまとめましたが、これについてしっかりと体系化して説明できる人、そんなに多くないんじゃないのかな?ということで、私説・インダストリー4.0について今回は投稿します。全然違うという方がいらっしゃたら、そっとご連絡下さい。勉強します(笑)。

インダストリー4.0

インダストリー4.0とは

インダストリー4.0は第4次産業革命とも言われ、製造業における生産方法の新しい考え方であり、ドイツの国家政策です。

製造業の技術革新の歴史

このインダストリー4.0には、相互運用性(Interoperability)、情報の透明性(Information Transperency)、技術的アシスト(Technical Assistance)、分散的意思決定(Decentralized Decision-making)の4つ原則があり、これに沿った形で進める新しい生産方式です。
と、ここまででは『何のこっちゃ?』という感じでしょうか?私のブログはBtoB系の製造メーカーにわかりやすく理論を教えるブログですから、何とかまとめてみたいのですが。。。
インダストリー4.0の概念をまとめると『IoTを活用することでヒトを単純作業から解放し、IoTで集約した情報によって製造現場と同じ状況を仮想空間上に見える化し、そこで分析をした内容を製造現場に戻し、省力化スキルレス化(無人化)を押し進め、労働生産性を極大化するもの』かなぁ。

なかなか一言でスパッとまとめられないのですが、太字にした部分がインダストリー4.0の4つの原則のキーワードです。『トヨタ生産方式をIoTを使うことでタッチポイントと人の判断(バラツキ)を無くすこと』の方がわかりやすいですかね。
私の先生は、ドイツがアメリカのネットアプリケーションインフラ(Google、Amazon、Appleなど)支配に脅威を感じ、アメリカが苦手としている『モノづくり』に焦点を当てたデジタル戦略だと教えてくれましたが、同じモノづくり立国である日本では、より強く受け入れられた感じです。
実際に安部前首相がドイツから帰国後、Connected Industresといった日本版インダストリー4.0を政策として打ち出しています。

スマートファクトリー

日本の製造業の労働生産性、つまり就業者1人当りの売上高は2000年頃まで世界1位でした。ところが21世紀にはいるとその順位はどんどん落ち、2015年でOECD主要加盟国中14位まで順位が落ちています。この労働生産性はドルで試算されているので若干為替の影響は受けているものの日本の労働生産性この20年ほとんど変わっていないのは事実です。
従業員や下請先の保護、異常なまでの品質管理と標準化の遅れ、属人的な生産管理などにより第3次産業革命の主役であった日本のコンピューター制御による自動化生産は既に時代遅れになってしまっています。

このインダストリー4.0によって実現される生産システムがスマートファクトリーであり、これから労働力人口(15歳~64歳までの人口)が減る日本や先進諸国の製造業では、絶対に向かっていかなければいけないコンセプトです。従来の工場は、それぞれの工程、またはいくつかの工程が物理的に連結され、自動化や無人化が進められて稼働していました。従ってそれぞれの工程には作業者が存在し、業務を進めていく中で作業者がインプットする場面や、ジャッジする場面がいくつも存在しました。

従来の自動化生産


このインプットジャッジIoTを活用することで、可能な限り0(ゼロ)に近づけていく工場こそ、スマートファクトリーです。
これは車の自動運転に置き換えるとわかりやすいです。従来の車の運転は、ドライバーの作業(インプット)がたくさんあり、また運転中はさまざまな判断(ジャッジ)の中で移動していきます。しかし、自動運転技術は、これらドライバーの作業や判断を可能な限り自動車側が行うことで、ドライバーはほとんどすることが無い状態になります。またドライバーの体調や感情によってムラばらつきも出なくなるので、安定した運転を実現することができます。スマートファクトリーで生産される製品もこの理論です。
またIoTによって収集された情報を活用し、工場全体を見える化することで、実際の工場の生産状況をクラウド上に再現し、そこで分析した結果を実際の工場側へフィードバックしていくことが可能となります。これをCPSファイバーフィジカルシステムと呼びインダストリー4.0の重要なキーワードになります。たとえばC工程からD工程で仕掛品が多くなっている、とか、E工程で作業者の動きが20%遅いとかを分析し、実生産上で改善をしていく、ということですね。
今は、この分析部分をAI(ディープラーニング)にやらせることで、生産そのものは完全な無人化工場を達成することが可能となります。

インダストリー4.0が目指すスマートファクトリーのキーワード】
1)インターネット技術を活用した見える化とCPSの実現
2)多品種変量JOBの効率的な処理(マスカスタマイゼーション)
3)センシング技術やAIを活用したビッグデータ解析と最適生産
4)省力化・省人化・スキルレス化による作業者の単純作業からの解放

スマートファクトリー

Industry4.0でビジネス

さて最後に、私のブログはBtoB系製造メーカーのためのソリューションビジネスなので、インダストリー4.0による自社工場の製造見直しを提言している訳ではありません。あくまでもインダストリー4.0の理論を使って、どのようにマーケティング(自社製品販売)に繋げていくのか?についてお話をしたいと思います。

まずは自社の製品がインターネットにつながる状態(IoT)を作ることです。そしてインターネットに繋がったことでどんな情報が製品から収集できるのか、収集した情報からお客様の課題を解決できるものは何なのかを考えてみて下さい。ここに顧客課題を解決できるものがあれば、あとはどのような製品パッケージ(どのように対価を頂くのか?)にするのか、だけになります。最近では月額課金サブスクリプション型が多いです。
この形で私がセミナー等で事例として出すのが電気ポットです。象印の『i-Pot』(ネーミングもシャレがきいてる)は電気ポットに無線通信機を組み込んだモデルです。電気ポットにIoT?と考えてしましますが、これ結構売れているようです。
収集する情報は電源ON/OFF、給湯、外出/帰宅(これは自動ではありませんが)だけですが、これをインターネット経由して、違う場所に住むご家族に情報が届けることで、一人暮らしの高齢者の安否確認や生活状況がわかるようになるといったサービスです。本来であれば電気ポットは1台売って終わりな商品ですが、これをIoT化したことにより、購入後も毎月収益を上げることができるようにした好例だと思います。
また、同じ業界で同じようなことをしている会社が無ければチャンスです。自社のデータ収集のフォーマットインフラを公開し、競合の製品にも対応するようにしていけば、競合は一瞬、ありがたく思うかもしませんが、その後このインフラ上で売上を拡大できるのは自社だけとなるので、大きなビジネスに発展させることも可能となります。

本日はインダストリー4.0について説明をさせて頂きました。よく聞く言葉ですが、その概要を少しは感じて頂けたのではないかと思います。日本では今後、労働人口が急激に減少します。コロナ禍があってコンビニなどの小売業は一気に無人化へ進みました。恐らく製造業インダストリー4.0を意識したコンセプトの展開、製品開発が成長への重要な戦略になると思います。
では今回はここまで、また次回、ごきげんよう!

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