成熟市場で戦うための営業戦略(1)【第5回】

棒グラフ1営業戦略

前回、成長市場成熟市場での営業戦略の違いについて説明させて頂きました。また、このブログの一番の対象であるBtoB系製造業がやらなければならないことを3つ(①お客様の選別、②製品数の拡大、③ビジネスのやり方の変更)書いて終わりましたが、今回は、その続きである3つについて具体的にどんなことをしなければいけないのかを、実際に私の会社でも展開したことを思い出しながら、お話していきたいと思います。

前回の『成熟市場での製造メーカー【第4回】』を読んでいない方は是非、そちらから読んで戻ってきてもらえると理解しやすいと思います。

成熟市場での製造メーカー【第4回】
こんにちは、これまでの3回でソリューションビジネスの基本はだいぶ掴めてきたでしょうか?今日はBtoB系製造業が、厳しい事業環境の中で、どのように変わっていくべきなのかについて、いつもの通り過去に作ったパワポの資料をベースに、わかりやすく説...

BtoB企業の販売戦略~お客様の選別

①お客様(ユーザー)の選別
②商品数の拡大
③ビジネスの仕組みを変える(新しいビジネスモデル)

お客様の選別とアカウントマネージャー

成熟市場では自社の製品を購入してもらえるお客様が確実に減ってきます。そのため、まず購買力のあるお客様を選別することがなにより重要になります。
私の会社では、これをアカウントマネジメント活動と呼び、お客様を売上収益率などの経営数値自社との関わり(販売台数、アフターセールスの売上、回収や信用調査会社の点数、人間関係など)などからスコアリングすることで、本当に自社にとって重要なお客様を選別するところから進めました。
お客様のスコアリングは会社によって独自の基準を持って決めて良いと思いますが、選出されるユーザー数は営業担当1名当たり5社から多くても10社ぐらいが目安でしょう。

この選別されたお客様をアカウントユーザーと呼び、これらのユーザーには、エリアの営業担当者とは別に、アカウントマネジャーと呼ばれる特別な担当(もちろん優秀な)をつけて担当営業マンと同行し、よりお客様に寄り添う販売活動を展開します。

このアカウントマネージャーは営業担当が販売エリアなどといった横軸で展開しているとすれば、縦軸になる働きをもっています。例えば全国にまたがり子会社も複数持っているような大手企業の場合、エリア担当だけでは情報が偏り、商談情報やクレーム情報、組織情報がなかなか社内で共有できません。アカウントマネージャーはこの大手企業グループ全体の担当を担い、その企業に対するコントロールタワーとして各エリア営業マンと連携しながら活動します。

また、お客様の業態によって担当するアカウントマネージャーも存在します。製品を購入頂いているお客様の中でも、例えば医薬品事業に強いユーザーグループがあった場合、そのユーザーグループを全国的にカバーするアカウントマネージャーも効果的です。
当然、そのユーザーグループはどの会社も同じ課題(今回の場合は医薬品)をもっている可能性が強く、価値の訴求や提案が流用しやすくなります。
また、そのフィールドのアカウントマネージャーは必然的にその業界の情報にも長けてくるので、より深くお客様と話ができるようになります。
一つ注意をしなければならないのは情報の提供範囲です。
あるフィールドで活動しているアカウントマネージャーは、担当しているお客様が全て競合の関係になります。情報の出し入れは一層慎重に扱うことが必要となります。

アカウントマネージャーの役割

このアカウントマネージャーの組織的な位置づけなどは、別に特集を組んで説明をしますが、エリア担当具体化した商談製品クレームのフォローがメイン、アカウントマネージャーは長期的に全体を俯瞰しながらリレーションの構築と顧客課題を洞察するという両面でお客様に面接触をしていく活動となります。
この販売戦略の最大の目的は、顧客課題を見つけることなのですが、アカウントマネージャーはコンサルタント的にお客様と面接触することで目先の商談とは違うユーザーあるいはそのフィールドの本当の課題が見つけることが役割となります。
もちろん、エリアの営業担当でもできないことはないとは思いますが、どうしてもエリアの営業担当は販売目標を持っているので、製品販売ありきで顧客と接しており、深い課題洞察がしきれず、ともすれば製品販売に課題を当てはめるようないびつな顧客価値を考えてしまいがちです。
また担当しているお客様の数も多く、製品販売とは関係ない部署に顔を出すこともなかなかできないので、アカウントマネージャーが自社の開発、製造、販売企画、営業、アフターサービスの司令塔になり、ユーザーと接していくことが理想形です。

ではアカウントマネージャーというのは、どのような人物が適任なのでしょう。ここまでの記事を読んだ方は『そんな理想的な人材はいないよ』と片づけられてしまそうですが、私の会社でもまさにその通りでした。極論すればアカウントマネージャーは育てていかなければならないのですが、基準を上げるのであれば以下を意識したいところです。

①ロジカルな考え方を持っている(ソリューションビジネスを理解できている)
②営業部門で実績をあげている(できればトップ営業マン)

そしてこの基準で選別したアカウントマネージャーには、販売予算は持たせず特別な扱い(教育、手当など)をしていくことが重要です。私の会社ではそこまで徹底できなかったので、結局、気の利いた営業課長がアカウントマネージャーを兼務するケースが多かったのですが、アカウントマネージャーは長期間に渡って自社に情報を収集する役割を持っているので他部門から軽くみまれるような人材では絶対に失敗します。
良く『〇〇君を営業から引き抜いたら売上が落ちてしまう!』なんていう営業責任者がいますが、本来はトップ営業マンのエッセンスを一部のユーザーで使うより全社で共有した方が最も効果的なことに気づいて欲しいところです。

ちなみにアカウントマネージャーの素養として挙げたロジカルな考えは、ビジネスシーンの全てにおいて必要な能力です。私もビジネススクールで最初に習った項目(クリティカルシンキング)でした。これを学ぶ入門的な本『図解でわかるロジカルシンキング(2019年 渡辺まどか氏著)』をご紹介しておきます。まずはロジカル思考に慣れてみて下さい。

そろそろまとめにはりますが、アカウントマネジャーは、どれだけお客様(あるフィールド)に寄り添えるかがポイントなので、そのお客様の業務内容からその業界全体まで幅広い知識をつけるために調査をしなければなりません。そして社長だけでなく一見、販売には関係の無いような部署の社員にも積極的に接触をすることで、見えない課題を見つけるのです。
ちなみに私の経験からだと、顧客課題を見つけやすいキーパーソンはお客様の営業マンだったですね。まず、同じ職種なので肌感が合うということも大きいですが、なにより会社の最前線にいる人だけに会社の課題を一番よく知っています。伝え方もフランクでロジカルですから、営業さんから聞いた話を、それとなく、その会社の社長に伝えると、非常に同感されることが多かった記憶があります。

すみません、いつもの通り長くなってしまいました。今回は営業寄りの話だったので、私も思い入れが強く、言葉がまとまらないくらい、いろいろ伝えたいことが出てきてわかりづらくなってしまったかもしれません。あと2つの項目、販売商品の拡大ビジネスの仕組みを変えるについては次回まとめて完結させます。本日はとりあえずここまでにしましょう。では、ごきげんよう!

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