製造のDX~ロボティクスによる製造変革【第100回】

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さて、記念すべき100回記念です。ブログはまず100投稿ということで、この数字を目指して書き続けてきました。当初はもう少し早く100個まで行くと思っていましたが、日常業務の忙しさ、また1投稿当たりの文字数が膨らんでいったこともあり、2020年11月の初投稿より、約1年9か月かかってしまいました。100回だからと言って特別な内容を書けるわけではありませんので、今回も内容は自然体でいきたいと思います。
今回は98回目に投稿した『販売のDX』と並んでBtoB系製造業では重要な『製造のDX』をテーマにして書いてみたいと思います。『販売のDX~ソリューションによる販売変革【第98回】』もリンクを貼っておきますので良かったら併せて読んでみて下さい。

販売部門のDX~ソリューションによる営業変革【第98回】
さて、今回は久しぶりに営業関連をテーマにしたいと思います。なんといっても営業関連の投稿は毎回閲覧数が伸びます。今から5年ぐらい前は営業のDXをテーマにしたセミナーがたくさん開催されていましたね。CRMやSFA、またMAツールと呼ばれる営業...

販売部門のDXと製造部門のDX

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

『販売部門のDX』の投稿時にも書きましたが、まずはDX(デジタルトランスフォーメーション)についてしっかりと再復習をしておきましょう。文字通りとらえると、Digital(デジタルの)Transformation(変容・変革)ということになり、デジタル化によって今の状態を変えることを意味しています。ですからそんなに難しいことを言っているわけではありません。簡単に言ってしまえば、今まで手書きで集計したものをEXCELに入力して処理するとか、スマホからAmazonで本を買うというのも立派なDXなのです。
ちなみに政府が示しているDXの定義で有名なものは2018年に提示された『DX推進ガイドライン』の一節だと思います。

デジタルトランスフォーメーション(DX)~『DX推進ガイドライン(2018年経産省)』

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革競争上の優位性を確立すること
https://www.boxsquare.jp/hubfs/resource/pdf/20181212004-1.pdf

私はこのガイドラインを『デジタルを活用して会社を変革させ、新しいことで稼いで下さい』と認識し、自身のセミナーなどでは、そのように説明しています。政府の非常に強い危機感を感じさせる文書ですよね。
特に『企業文化・風土を変革』って政府から指摘されるのは、かなり余計なお世話だと思うのですが、恐らくこれを定義したチームは、それぐらいの変革を起こさないと日本企業は時代に取り残されるといったことを思って表現しているのではないかと思ています。

製造部門のDX

製造部門のDXをお話する前に、もう1回DXの定義『デジタルを活用して会社を変革させ、新しいことで稼いで下さい』を整理しましょう。かなり荒い言い方になりますが『稼ぐ』ということは『販売価格-原価』の数字を大きくすることになります。(販管費などは今回はちょっと置いて考えて下さい)
そしてこの『稼ぐ』方法は原則下記の2点しかありません。それは『原価を下げる』か『販売価格を上げる』かになります。

販売のDXと生産のDX

DXへの投資はこの2つの『稼ぐ』DXによって実現するのですが、取り組み方が正反対になると考えています。販売価格を上げるDXは主に販売・企画部門に対しての投資であり、私はこれを『ソリューションによる販売変革のDX』と呼んでいます。
これに対して原価を下げるDXは、主に生産部門に対しての投資であり、私はこれを『ロボティクスによる製造変革のDX』としています。いずれも私の造語ですが、うまくまとまっていると思っています。また、前者のDX変革の主役はになりますし、後者の主役はまさにロボットとなります。
生産現場は今後、ますます労働力を確保できない状況に陥ります。そのためには生産プロセスの連結・整流化・無人化は避けて通れません。それを実現するアイテムはロボットに他ならないのです。
もうひとつの販売変革のDXについてはちょっと前に投稿済みですので併せて読んで頂けると理解が深まると思います。(販売部門のDX~ソリューションによる営業変革【第98回】

販売部門のDX~ソリューションによる営業変革【第98回】
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販売変革のDXX(Transformation)⇒ D(Digital)の順番で行われます。販売変革のDX人が主役ですから、まず販売する組織変わることが優先なのです。

逆に今回のテーマである製造変革のDXは、文字通り D(Digital)⇒ X(Transformation)の順番で行われます。まずデジタル化の推進がスタートとなります。IoTの技術を活用(Digital)して徹底的な生産プロセスの見える化を実施します。その見えたデータ(アベレージ)から工程のボトルネックを見つけて出して解消することで、生産数が最大になるように自動化・省力化・無人(ロボット)化に変容(Transformation)を促していきます。

ロボティクスによる製造変革のDX

製造変革の3本柱

労働力不足は日本の製造業の最大の課題

上記の人口動態からもわかる通り、日本の労働人口は確実に減る運命にあります。既に大手外食チェーンやコンビニエンスストア、物流倉庫などでは人間の仕事が次々とロボットに変わってきています。
PEST分析の中でも人口動態による変化は最も正確に予測できるもので、これに対して政府は、少子高齢化対策・働き方改革やさまざまなDX関連の投資補助金でGDPを維持させようとしているわけです。
現在はロボットの技術もかなり進んできており、かなり複雑な作業や判断をロボットができるようになっています。自動車の自動運転技術もすでにティア3まで来ており、行く先を指定して自動運転で目的地に到着する時代も目の前にきているわけです。

しかしながら、日本にはロボットメーカーハンドメーカーSIer全てが揃っているにも関わらず、日本のBtoB系製造業へのロボット導入はまだ一部にとどまっているのです。この大きな障害になっているのが、過剰すぎる品質管理への対応です。日本の品質管理は、ある意味日本製品の重要な付加価値なのですが、人間の目による納品数量管理最終検品など、その製品を使用する最終ユーザーの要求よりも発注元の過剰な要求が妨げになっている気がします。日本の製造業特有の下請け制度の弊害です。
品質管理が重要なことを理解した上で、製造プロセスをロボットに合わせていく、つまりロボットが働きやすくなる発想、つまりロボットフレンドリーの発想『製造のDX』には必要不可欠です。

製造変革の3本柱と必要なデジタル技術

1.スペックの統合

これについては製造部門だけでは成しえない部分ですが、イレギュラーな製品を可能な限り通常の製造プロセスから除外をしていくことです。最初は10点の製品のうち5点しか自動生産のプロセス(ロボット化)に載らないとしても導入し、効率の良い生産プロセスを1つ創り上げることです。
残りの5点については『どうすればプロセスに載せることができるのか?』を1点1点検討し、徐々に自動生産プロセスの比率を高めていくことが重要です。時には捨てる製品も出てくるはずですが、そのような製品は決して利益は生み出さないものです。
日本のBtoB系製造業は90%以上の製品に対して効果が出ないと、なかなか導入を踏み切らないのです。でもこれではいつまでたってもロボット化は不可能です。アジャイル的に課題を潰しながら進めていかなければなりません。
またこの問題は製造部門だけではなかなか達成できません。販売部門はクライアントに対して、製品仕様の統一を促していく必要があります。また、開発部門製造部門が生産しやすいように設計段階から検討していくことが重要で、それぞれの部門が三位一体になって進める必要があります。
成功のキー一番ネックになっているのはどこなのかを見つけることです。開発が悪いのか、販売の売り方がわるいのか、または製造プロセスがダメなのか、これをしっかりと見極めて進めないと、部分最適のみに終わってしまいます。こういう時は、組織横断的なプロジェクトで短期間に問題点を見つけ出し、手をつけていきましょう。
現在はユーザー全員が欲しているようなビッグヒット製品は生まれない時代です。逆に、中小の企業でも自社の得意な領域を見つけ出せればトップシェアを獲得することができる時代です。この領域で先行者としてしっかりと稼ぎ、競合が乱立し仕様スペックが多様化し始めたときには、次の領域に進んでいくことです。

2.アセット(設備投資)の最小化

これは上記『スペックの統合』にもつながる話ですが、現在はビッグヒットが生まれない時代と説明しました。それと同時にプロダクトライフタイムサイクル(製品が生み出されてから衰退するまでの期間)が極めて短くなっています。
一世を風靡した製品のメーカーが、数年後には投資過剰になり、倒産したような事例は数多のようにあります。(これは出版業界でも良くあってベストセラーよりもスマッシュヒットが毎年欲しいと言ってました)特に狭い領域でトップシェアを取っていくということは、よりプロダクトライフタイムサイクルも短くなってきます。
その場合、大型の設備投資をしてしまうと製品の転換期が来た時にすぐに切替ができ無くなってしまいます。設備の金額にもよりますが、2,000万円以下の設備であれば3年1億円の設備であれば5年で償却できるぐらいの設備投資を計画していくことが重要です。

ロボット投資などであれば、リースや繁忙期だけのレンタルも有効です。こちらも成功のキーROI(投資収益率)を正確に試算し、短期間に常に新しい設備を使用していくことです。新しい設備は間違いなく生産性が最も高くなります。また使用する人のスキルレス化を進め、現場のモチベーションも高めることができます。くれぐれも高い機械で10年も20年も使い続けるような設備投資計画をつくらないようにするべきだと思います。

3.スループット(時間当たり生産量)の最大化

スループットはよく聞く言葉だと思います。1時間当たりに作ることができる製品数だったり、人が1時間当たりに生産する金額だったり、単一時間当たりの生産に起因する数字のことです。
原材料の投入から最終製品までは、ほぼ一つのラインに乗っているような食品機械などは比較的スループットが高くなりますが、工程ごとに違うメーカーの機械が並ぶようなBtoB製造業では、それぞれの機械の生産量を正確に把握して、最もスループットを高める必要があります
各機械の生産量半製品の移動時間滞留時間見える化し、最適な台数、配置を設計する必要があります。今はそのようなものを分析するツール(シーメンス社 Plant Simulatorなど)もたくさん出ており、分析してくれるFA関連のSIer会社も多数あります。
成功のキーは、いずれにしても現状の見える化がされていなければ、先に進みません。各機械の稼働状態をなるべく細かく記録できるようなデバイスを取付けて、なるべく長期間(最低3か月)の稼働データを吸い上げることです。
稼働データは、その機械の ①稼働(生産)時間②段取り(必ず必要な準備作業)時間③それ以外の作業(待ち時間、確認時間など)時間④停止時間(休憩や非稼働)ぐらいは取得したいですね。更に可能であれば、生産時間中の停止時間や原因、準備作業やその他の作業の内訳などまで取れると、いろいろと分析が可能になります。
最近ではそれらの情報を電気信号センサーから取得し、クラウドに蓄積していくIoTクラウドも機械メーカーが用意しています。相当、大量な情報が収集されるのでメーカーが用意したブラウザを使用して見える化するのも効果的だと思います。
また長期間データを取得する理由は、月次の変動、季節変動要因を平均値化することが目的です。製品特性によっては夏の時期は非常に増えるとか、月初は生産が落ち込むなどといった繁閑がある場合があります。1年間のデータがとれれば、それらを平均値化することができるので、分析するときには大いに役立つものになります。

製造変革の3本柱を支えるデジタル技術

さて、最後はこれまでに説明してきた製造変革の3つの柱に対して、必要なデジタル投資を説明したいと思います。

□IoTツール
これは先ほどの項目でかなり説明済みですね。製造変革をするにしても、まず現状がどんな状態になっているかを把握しなければ始まりません。昔は良くワークサンプリングなどという手法で人力で実施していました。新入社員が作業者に、1日中張り付いて1分単位で作業をノートに記録していきます。これでは膨大なインプットの手間、まとめるための時間、またワークサンプリングの時は作業者もえらく効率的に動いたりするのでサンプルにならない時があったりします。(笑)
今は機械メーカーがこのようなツールを用意してくれていたり、または簡単なセンサーを取り付けることで自社である程度収集することが可能になっています。

□ロボットを活用した工程連結・無人化
製造変革のポイントはロボット化です。ロボット化の特徴は主に下記4点です。

①人間の作業改善(重いモノの移動、危険作業からの解放、長時間連続作業など)
②品質の均一化
③作業時間の均一化

④稼働の制限がない(24Hフルタイムで稼働できる)

ロボットを活用することで人が実行していた単純な作業から置き換えを実施し、今まで分断していたプロセスを連結化整流化(行ったり来たりしない配置)することです。
最近は人協働型ロボット(人間と同じ空間で稼働できる)の導入も増えています。今までのロボットのイメージは柵で囲まれ、人間が近づくことができないところで稼働するロボットがほとんどでした。しかし最近は人間と同じ空間で働くロボット(人協働型ロボット)がどんどん社会に進出しています。レストランなので、料理を持ってきてくれたり、空いたお皿を引き上げてくれたりするロボットなどが良く紹介されていますよね。
BtoB製造業でもネジを締めてくれたり、出てきた製品をパレットに積んでくれたり、人間と同じ空間で稼働するロボットがあります。これらの機械は人が近づくとスピードが下がったり、万が一ぶつかっても非常に小さな力で停止する機能を持ちあわせています。
これらの人協働型ロボットを使えば、ロボット活用の幅は大いに広がると考えれます。

□検査装置・認識カメラ
日本の製造業の労働力の5分の1は検品に使われていると言われています。これってすごいことですよね。この検査の工程は日本においては人の目と判断が絶対と信じられ、製品出荷最後の関所となっています。果してそうでしょうか?
今の画像処理技術は極めて高く、人間よりも瞬時に、正確に製品を見ることができます。人でなければならない理由は『何かあった時の責任の所在』だけなのです。結局、問題を起こした個人を攻めることになり、反省文とつまらない個人的な感情、無駄な時間が使われることになります。
この検査工程の自動化こそ、ロボティクスによる製造変革の一番の課題です。販売サイドとの連携(クライアントへの説得)も重要になりますが、この課題を突破することでロボットフレンドリーな環境が作れ、製造変革に前向きに進むことになるでしょう。

はい、今回はいかがでしたでしょうか?
100回目の投稿も特に肩を張らずに普通の内容となりました。コロナも落ち着き始め(感染者数は拡大の一途ですが)セミナー等の仕事も再開し始めました。久しぶりに行ったセミナーの録音を聞くと、恥ずかしくて最後まで聞きがたい状況になります。まだまだですね。
口ぐせ、喋りの間、スピード、まだまだ勉強しなければなりません。こんなことだと、当ブログのYoutube化ももう少し練習が必要になりそうです。これからもBtoB系製造業の方々に少しでも役立つような記事をアップしていきたいと思いますので、これからも宜しくお願い致します
では、また次回、ごきげんよう!

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