取扱い製品の拡大方法(2)【第10回】

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いろんなはさみ アカウントマネジメント

さて、前回減りゆくお客様の数に対応するために商品を増やしていかなければならない話をしました。まずは自社製品の前後工程の機器・システムへ手を伸ばし、企業連携をしていくことを書きました。今回は製品の拡大策の2番目としてストックビジネスへの拡大をご提案します。自社製品が使用する資材や消耗品(自社製品でない)を扱うことで、納入した機械が設置されている間、ずっと収益を生み出してくれることになります。

取扱い製品の拡大方法(1)【第9回】
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迅速な新商品企画・開発のポイント(前回続き)

ストックビジネス(サプライ品販売)

ストックビジネスの良さは文字通り、毎日、毎月安定した売上と収益を上げることができることです。ます。BtoBの製造メーカーはイニシャル(機械価格)が高ければ高いものほど、月次の売上が大きく変化してしまいます。一つの製品で大きな売上があがるのも魅力ですが、やはり毎日の積み重ねで基礎数字ができる製品と合わさることで強い商品ポートフォリオが作れることになります。

ところがストックビジネスに参入する際の問題点はコンペチターが非常に多いこと、そして差別化要素が少なく収益性があまり良くないのが一般的です。また、前回のとり上げた自社製品前後の機械販売をすることよりも販売部門、アフターセールス部門の抵抗が強く、また経理部門からもお客様によって単価の違う低額定期商品を扱うことから、大きな混乱をきたす可能性が高いです。

このストックビジネス立上げの成功のポイントは下記になります。

1)絶対的な差別化要素を持っている(自社の機械はその資材しか使えないなど)
2)インターネット(IT)技術を最大限活用し、販管費を抑える
3)サブスクリプションなど入替リスクがすくないビジネスモデルを考える

(1)はサプライ品の開発に自社の技術力を付加し、特に自社製品に対して使用すれば、最も効率、または性能が良くなるサプライ品を開発することです。洗濯機メーカーが『この弊社の洗剤を使用すると最も洗濯物がきれいになります!』と言っている感じです。
またサプライ品単独での差別化が図れないのであれば、自社の機械側を改造して、自社で開発したサプライ品しか使用できないようにする、または自社のサプライ品だとすごく便利に供給できるような装置でを提供することです。前者は100%縛りになるのでお客様からも嫌厭され、本体そのものの販売にも影響を与えることもあるので注意が必要ですが、製品そのものが良ければ効果は絶大です。家庭用のインキジェットプリンターのカートリッジなどがこのビジネスの典型です。
また、そのサプライ品を購入している間は自社製品のメンテナンスや修理対応に対して特別なサービスを行っていくなど製品供給メーカーでしかできないを付加価値サービスを付加していくことが、ストックビジネス参入のポイントとなります。

(2)はサプライ品ビジネスは全て自社開発をしていない限り、取れて粗利20~30%の商品だけに販売や管理、発送、アフターサポートにコストを投入できません。ODM先との在庫量、配送方法、技術サポート体制などを販売前にしっかりと契約に落とし込んでおくことが重要です。また販売に関してもサプライ品は日次の取引となります。これに細やかに対応するためには販売の人数を増やすか、自動化するしかありません。これだけのために販売員を採用する訳にもいきませんので、ここは販売代理店をうまく活用することを考えた方が良いでしょう。販売量と連動した仕切り価格の設定や代理店との定期的な会議表彰制度販売予算の設定インセンティヴなど組織立てて進めないと、なかなか販売代理店に優先的に取り扱ってもらうことは難しくなります。
また、自動化を狙うのであればIT技術を活用し、自社製品の稼働状態からサプライ品の使用状況を自動で見える化するシステム(クラウド)を構築し、お客様の資材使用状況を見える化することで、在庫数から自動的に発注できるようなシステムができると強固な安定供給が見込めると思います。

私の会社でも自社製品(機械)と自社のクラウドを繋げるサービスを1年ほどで立上げ、ここ数年納入している製品は自社のクラウドと繋がっている状況となっています。現在は、機械の稼働状況をレポーティングしたり、エラーの情報から保守工事の推奨をしたりしていますが、なかなかサプライ品の販売を促進するようには使いきれていません。この最も製品品質としての差別化要素が少なく、少額な製品はITよりも販売のサプライチェーンがまだ大きな重きを持っています。日本の材料販売の代理店網の根強さはITより手ごわいことを現状では実感しています。

アフターセールス

そして商品拡大の3つ目はアフターセールスです。製品が売れていたころは、アフターサービスというと『新しい製品を売るためのサポート業務』であり、自社の製品に何かあった時に迅速に駆けつけて復旧することがメインの仕事です。特にBtoB製造メーカーのサービス部門は、修理出張ごとに料金を支払うというモデルが定着しており、当然人員の配置や勤務体系を適正に行うことが難しくなるので、社内では修理出張員の稼働率がなかなか上がらず、そのあおりを受けて出張料金も高いものになるケースが多です。
しかし、販売サイドからはアフターサービスの良し悪しが、実際の製品販売に影響を与えることも少なくないため、その結果24時間対応休日の対応在庫パーツの過剰保有修理代の値引きなどをアフターサービス部門へ要求してくるので、会社の中では収益を上げるということはあまり期待されず、とにかくお客様満足(営業満足ともとれるが。。。)のために『無駄があっても迅速に対応して』といったアフターサービスをしている会社が多くなります。
しかし製品が売れなくなってきた今、アフターサービスは最も重要な製品になりうると考えます。そこで今回、あえてアフターセールスと呼んで、従来のアフターサービスと分けて考え、どんな商品が考えられるのかを説明していきたいと思います。

アフターセールはなぜ魅力なのか?

では、アフターセールスがなぜ魅力的なのかについて、解説します。
1)操作する人材が減り、熟練の作業者がいなくなる
2)製品販売と違い、既存の製品は相当量存在する(10倍~100倍)
3)基本的に競合がいない

まずは、当たり前の話ですが、販売の対象が多いということですね。普通の会社であれば、その年度に売れる台数よりも既存の製品の台数ははるかに多いです。保有年数の長い製品になればなるほど、既存の製品の数は多くなりますし、それだけでもアフターセールスにはビジネスの可能性が存在します。
新しい製品だと既に購入対象ではなくなっていたりするお客様があっても、既存の製品に対する製品であれば、まだまだ対象であったりします。これは成熟した市場においては変えがたいことです。
そしてもう一つは、原則的に競合がいないということです。これは販売側の人間とっては夢のような話ですね。企画をした提案が顧客の価値を上回れば、受注につながる訳で、よりソリューションビジネス的な商品展開が可能になります。

『ソリューションビジネスは経済価値に置き換える』良かったら併せて読んでくださいね。

ソリューションビジネスは経済価値に置き換える【第2回】
さて、前回は自己紹介がてら私の職歴とBtoB企業のソリューションビジネスの理解について書かせてもらいました。少しは興味を持って戴けたかなぁ?今回から2回ぐらいで、まずはソリューションビジネスの本質部分説明したいと思います。『さぁ、今日から...

では、そのように好環境の中で、BtoB企業のアフターセールスはどのような製品を提供していけばいいのでしょうか?
Covid-19の影響で、やや落ち着いてきましたが、2018年ごろの軽作業の人手不足は尋常ではなかった。コンビニの店員は大半が外国人だったし、私のお客様でも、軽作業に日本人を雇うことは難しく、ベトナムからの短期実習生を採用して、何とか乗り切っていた。それでも近くにAmazonの物流センターなどができると複数単位で辞められてしまうなど、この問題は多かれ少なかれ、超高齢化社会と外国人受け入れの少ない日本にとって必然なのだろう。
それだけに操作指導や、メンテナンスの年間契約など自社製品の保守ビジネスは今後大きく伸びる可能性が高い。また前述のIoTクラウドを自社製品に組み込むことで自社製品の稼働状態を常時監視し、最適化の提案をしたり、壊れそうなところの予兆保全などのサービスを提供することができる。

また悲しいかな、後継者の問題等で今後、新しい製品を導入することができないお客様も出てくるが、これらのお客様は今使用している機械をどれだけ延命できるかが課題となる。製品販売では顧客となりえないかもしれないがアフターセールスではむしろ重要な顧客になりうるのである。

以上、いつもの通り長くなってしまいましたが、前回と今回でアカウントマネジメント活動を進める中でBtoB製造メーカーがやらなければいけない製品の拡大方法の3項目、参考になったでしょうか?
製品を拡大していく方法として、①前後連携する機械(システム)②ストックビジネス③アフターセールスの切り口で進めていくとバランスの良い商品構成になるのではないかと思います。それでは、次回まで、ごきげんよう!