UV印刷の近況と今後
Last update/Apr.30,2004(Ver.5.0)

最近、UV印刷というものが脚光を浴びてきてますね。もともと厚紙やフィルム印刷などの分野では市民権を得ていた技術ですが、薄紙業界でも、この所、話題に挙がってきています。この理由としては大きく2つ考えられます。1つはUVニスによるP−P貼りの代用であり、2つ目は仕事の短納期化に対応するためでしょう。
まずはUV印刷に使用されるインキについて簡単に説明しておきましょう。

<UVインキと油性インキ>
インキの種類 着色成分 乾燥方法 主な成分
UVインキ 有(無)機顔料 光重合 樹脂・光開始剤・ドライヤー・ワックス
油性インキ 有(無)機顔料 浸透・酸化重合 樹脂・石油溶剤・ドライヤー・ワックス

UVインキは紫外線(200nm〜400nm)を照射されることによって、瞬間的に光重合反応し硬化するインキで、オフセット印刷の分野ではベタや特殊紙への多いパッケージ業界で広く使われています。また同様の特性を持ったニス(UVニス)も、非常に厚い皮膜を作れることから、P−P貼りやプレスコート(カレンダープレス)の代用として技術化されています。このUVの技術の特徴としては下記4点が挙げられます。

<UV印刷の特徴、メリット>

即乾燥
とにかく瞬間乾燥のため、スプレーを塗布する必要が無く、もちろん板取作業もありません。(完全棒積み)従って、印刷終了直後に後加工(折り・断裁等)をすることが可能になります。印刷のクレームの大きな要因であるブロッキング(裏付き)も完全に解消します。

光重合特性
乾燥(硬化)が光重合のため、逆に言えばUV光が当たらない限りは乾燥しない、ということになります。ちまりインキに膜が張ったり、機上で乾いてしまったりすることがありません。印刷機械のメンテナンス上はどうかと思いますが、ツボに入れっぱなしで、週末を迎えても、月曜の朝はそのまま印刷に入れるということにもなります。

非吸収紙への印刷
アルミ蒸着紙やアクリル系フィルム等、まったく吸収力の無い原反への印刷が可能です。印刷のユニット間に乾燥ユニットを入れ(胴間UV)、透明な素材へオフセットカラー印刷をすることも問題ありません。

UVニスによる超光沢表面加工
運用事例が多い物がこのUVニスを使った超光沢印刷です。UVニスを使用したいから、という理由でUV機を導入する会社も少なくなく厚紙業界では3割以上がUV機を導入している状況です。(原則的に油性インキ+UVニスの組合せはダメ・後述)こういった傾向は、今後も増えていくと考えられます。とにかく、瞬間硬化の特徴を活かして、かなり厚い皮膜のニスをコーティングすることができます。

まあ、ざっとメリットを説明しましたが、この説明だけだと「夢のような」技術に思われるでしょう。印刷の大変な部分がことごとく解消するUVオフセット印刷にも、当然デメリットはあります。でなければ日本の印刷会社は残らずUV化してしまうでしょう。デメリット挙げると、下記4点ぐらいが考えられそうです。

<UV印刷のデメリット>

インキの単価が高い
最大のネックがこの要因です。通常、セットインキ1kg缶の値段は約\1,000ぐらいですがUVインキは\3,000前後します。これは単価の下落で困っている印刷業界において大きなデメリットになると考えられます。最近ではハイブリットインキと称して価格も取扱いも油性インキに近いものが各インキメーカーから発売されていていますが、まだまだ採用事例はすくないようです。

資材・消耗剤が特別
通常、UV印刷の場合、いろいろな資材類がUV専用品を使うことになります。例えばPS版は、版の取れにくいUV専用版を使用するか、通常のPS版をバーニング処理(熱定着処理)したものを使用することになります。またインキローラーやブランケットなどもUV専用のものが好ましく(油性兼用タイプもありますが膨潤や洗浄性に難があります)、更にインキ等の洗浄液も油性のものより強い溶剤を使用することになります。

ハード(機械)が高い
これもデメリットの一つです。通常UVインキを使用して印刷するといった場合、以下のような機械構成(オプション品)が必要です。
・インキ(ツボ)ローラー温調仕様/温調用の循環タンク
・UV用延長デリバリー(耐熱・遮光含む)
・UV乾燥装置一式(ランプ・電源装置・排気ブロア・ダクト工事含む)
これらの仕様を菊全4色機ベースで試算すると、機械メーカーによっていくらか差はありますが・約\55,000千円(定価)ぐらいの費用が必要になってきます。また、ニスコーターまで必要となると、更に\35,000千円(定価)近くのコストUPが考えられ、ある程度仕事の目算がなければ、なかなか採用できない仕様です。

色の管理が難しい
油性のインキに較べてUVインキは光沢が無い、といわれています。また各プロセス4色単体の色も若干くすんでいるイメージがあり、仕上がりもマット調の雰囲気があります。またスミの濃度がない、だとかインキメーカーの特色の対応が遅い、高いなど、インキの色に関する問題も残しています。

環境問題
UVインキ(印刷)の環境問題は常々言われていることですが、実際に何が環境に良くないのかを語れる人は少ないです。まず、誤解してはならないのはインキそのものの成分は、油性のインキよりも優しいということです。(油性インキは乾燥促進のため石油系溶剤が入っているがUVインキには入っていない)では、何が環境に不適合なのでしょうか?その主なものは下記3点です。
・UV光と酸素が結合するとオゾンを発生する。(技術レベルではチッソ封入乾燥装置も出てきている)
・再生紙にする時、脱墨できない。
・洗浄等に使用する溶剤が強力なものが必要(石油系溶剤)

さて総括ですが、私的にはUVオフセット印刷は今後、拡大傾向にあると考えます。その理由としては、冒頭にも述べたように、仕事が超短納期化している、ということが大きな要素です。他の項でも説明しています両面4色刷り印刷機とのコラボレーションが、次の生産性UPの鍵になるのではないでしょうか?また、UV化することによってブロッキングやコスレ、板取り作業等、様々な印刷障害やオペレーター負荷の問題が解消でき、新たな印刷需要の領域に打って出ることができると思います。その新しい需要として別項、非吸収紙への印刷でUV印刷の実例を記述していますので、そちらも併せてご覧下さい。とにかくハイブリットインキの出来具合と環境問題のクリアが大ヒットへの課題でしょう。
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