非吸収紙への印刷(フィルム、アルミ蒸着紙)
Last update/May.1,2004(Ver.4.0)

水と空気以外には、何でも印刷できる?ようになってきた現在、オフセット印刷も用紙以外の原反(印刷素材)を用いることが増えてきています。古くはパッケージの業界で使用されているアルミ蒸着紙(金紙・銀紙と言った方がわかりやすいかな)、最近はほとんど、使われていませんがテレフォンカードなどのPET材、電光広告用の透明フィルムなど、厚さが1mm以下の物であれば、大部分のものにオフセット印刷が可能です。さてこういった原反(印刷素材)に、どのように印刷するのでしょうか?
ユポ用紙ぐらいのものであれば一般の油性インキで、何とか可能ですが上記の原反(印刷素材)ともなると、そうはいきません。このような原反に対しては通常UVインキを使用します。(UVについては別項「UV印刷の近況と今後」をご覧下さい。)但し、このような原反には必ずといっていいほどホワイトインキがアンカー(下地)に使われることが多いのです。例えば、透明のクリアケースにカラー写真を印刷したい場合、背景が白でないと写真が目立たないよね。(時々、透明感を意図的に使う場合もあるが)また高級な栄養ドリンク(○ナとかユ○ケルとか)みたいなアルミ蒸着紙に商品バーコードを入れる場合、バーコードの認識の問題から、必ず白地の上にバーコードが印刷されているでしょう。このホワイトがクセモノで、印刷物の最後にかぶせても、最初に下地で印刷しても、にじみが出たり、上のインキがのりづらい、白の色がはっきりでない等、トラブルが多いのです。従ってUV乾燥機の搭載された機械でも2度通し、3度通しを余儀なくされてきています。
非常に前振りが長くなってしまいましたが、では従来工程では、どのように印刷していたのか、薬のパッケージを参考にして図で説明しましょう。下のようなドリンク剤のパッケージを印刷する場合(黄色の部分はアルミ蒸着紙だと思って、お願いっ!)は通常、バーコード部分の白(2回)、アイ・赤・スミの計5色で印刷します。


<アルミ蒸着紙への印刷方法>
ホワイト(1色目)+ホワイト(2色目) アカ(1色目)+シアン(2色目) スミ(1色目)・場合によってはスミも2回

上記の手順を説明すると、最初にバーコードがのる部分(四角の部分)や発色をインキの色通りに出したい場所(三角の部分)にアンカーとして白インキを印刷します。特にバーコード部等は識別が問題になるので白インキを2度のせるケースが多いようです。(金色に白インキだと白が赤っぽく見えてしまうため2色同版で印刷)これでUV乾燥してドライの状態にしてから、絵柄の少ないシアンとアカの部分の印刷をします。再度ここでUV乾燥し最後にスミの部分の印刷をしてUV乾燥して終了です。スミに関してはシアンとアカと一緒に印刷しても大きなトラブルにはならないとは思いますがUVインキのスミの濃度は極端に低く、ドライの上に印刷した方がハッキリとした印刷が可能なのかと思います。
この説明上では、2色機であろうが4色機であろうが、にじみや着色を良くするためには2〜3度通しをしないと上手く印刷できないことになりますが、最近は特殊印刷の分野もワンパス化の流れがあります。
これが本稿の最後のテーマ「インターデッキUV」と「ドライングユニット」です。
これはユニット間乾燥とも言い、本来UVの機械は印刷終了後に延長されたデリバリーでUV乾燥をするのですが、この両者は印刷の最中に一度キュアしてしまうという装置です。この辺も実際の胴配列を見ながら説明しましょう。
UV乾燥装置のついた機械は下図のように最終印刷ユニットの後のロングデリバリー部にUVランプを設置しキュアするのが一般的です。(厚紙なら本来102CD機でしょうが、書き起こすのが面倒だったので102SMの絵で勘弁っ!)


<通常のUV乾燥装置(ハイデルベルグ社/SpeedmasterSM102-2P)>

インターデッキUVとは、下図のようにユニット間にUVランプを組み込んで胴間で乾燥させる装置です。主にドイツのハイデルベルグ社が推奨しており、機械が長くならないことやインターデッキUVのユニットがいろんなユニット間に移動できるので、汎用性が高いことが特徴です。

<インターデッキUV装置(ハイデルベルグ社/SpeedmasterSM102-2P)>

ドライングユニットは、最も新しいタイプのユニット間乾燥装置で日本の小森コーポレーションや三菱重工業で推奨している機械構成です。乾燥させるためのシリンダー(ユニット)を持っており乾燥装置が複数本数搭載することができるためキュア能力が高く、また乾燥専用のユニットのためUV光の遮蔽性が良いという特性を持っています。特殊原反(アルミ蒸着、フィルム等)向けの印刷機ではスタンダードな構成でしょう。

<ドライングユニット装置(小森コーポレーション社/LITHRONE S-240)>

両者の比較は、汎用性のインターデッキ、性能のドライングユニットというべきでしょうか?まあ、この装置の選択は使用する印刷会社の仕事の内容によるところが大きく、「こっちが良い!」とは一概に言い切れないのですが、実際に導入しているユーザーの話を総合すると、よほど場所が狭いとか、いろんな場所に乾燥ユニットを使いたいという場合を除いてドライングユニットで話を進める方が無難な感じがします。
インターデッキの場合、UV光の漏れがどうしても防ぎきれず、光の当たるブランケット・圧胴はインキが硬化してしまいます。ブランケットは紙サイズごとにブラン下を用紙サイズにカットしたものを使用し用紙のない部分にインキを付かなくする細工が必要で、それでも仕事ごとにブランケットを代えているのが現状です。圧胴面もインキの付着やミストの飛び散りが固まってしまい、落とすのが一苦労となります。更にグリス等が溶けだしたり金属部分のサビが発生(これはドライングユニットも同じかな)しメカニカルな部分にも影響を与える可能性があります。

<インターデッキVSドライングユニット比較>
種類 長所 短所
インターデッキ ・機械サイズが小さい(変わらない)
・乾燥ユニットの場所が変えられる

・UV光漏れによるインキ硬化問題
(ブラン下準備/ブラン交換/圧胴清掃)
・乾燥能力不足
ドライングユニット ・UV乾燥能力が高い
・UV光の遮蔽(しゃへい)性が高い

・機械が1ユニット分長くなる
・機械(設備)代金が高い
・乾燥ユニットが限定される

では最後にこれらの技術を使った最新の機械構成をご紹介して今回の項を終わりにしたいと思います。

<ダブルインターデッキ+コーター+UV延長/Speedmaster102CD-6>
前述の薬の箱等を印刷するのに適したインターデッキの機械がこのタイプ。1、2色目ユニットで白インキを印刷し、残り4色を使ってカラー印刷をのせ、コーター(ニス胴)の前に第2乾燥を入れるといった機械構成です。インターデッキを4色ユニットの移動すれば1−4色目でカラー印刷を逆刷り、5、6色目で白インキという形で、クリアファイルやフィルムへのカラー印刷が可能になります。このように幾つかの仕事のパターンが計算される場合はインターデッキのメリットが発揮できると思います。但し、非吸収紙(アルミやフィルム)の乾燥不良とUV光モレには充分ご注意を...
図の機械はハイデルベルグの厚紙向け機械(最近は反転機以外はこちらを販売しているようですが)Speedmaster102CD-6です。上の絵がクラッシックタイプの同配列で描いてしまったので、ちゃんとこちらはCDタイプで再紹介させて頂きました。


<ダブルDU(ドライングユニット)+コーター+UV延長/LITHRONE S40(L-640+2DU+C)
上記のインターデッキの機械をドライングユニットの形で構成すると、この形になります。一番後発で開発された機械なので性能面・操作性・メンテナンス性はインターデッキを凌いでいますが、なにせ1ユニット分(本図のように2カ所なら2ユニット分)増える訳ですから、機械の長さもさることながら機械代金が高い!?でも仕事の内容がある程度決まっているのであれば、このタイプが一番安心でしょう。機械代金は...メーカーさんに相談するしかないですね。図の機械は厚紙業界で人気のある小森コーポレーションのLITHRONE S40(LS-640)です。
なにぶん仕事が有ってのことですが、こういった特殊印刷の世界もワンパス化の流れが加速していくのでしょう。
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