印刷工場の標準化(PART1)
Last update/Apr.30,2004(Ver.3.0)

DTPが浸透し始めて10年、CTPが導入され始め、機械の自動化が進み「作業の標準化」とか「標準カラー」などという難解な言葉がこの業界にも押し寄せてきましたね。しかし工業製品を製造する世界では20年以上前のことなのだ。なぜ同じ製造業の印刷が「標準化」というものに無頓着だったんでしょうか?逆にそう考えると、印刷の複雑さ、不安定さを見いだすことができそうです。

印刷機を触ったことがある人ならみんな、こう思っているはず「同じ機械・同じ刷版で同じデータを入れて印刷を行っても全く同じ印刷物には容易にならない。」ということ。大きな原因は印刷に水という厄介者を使用するからだ。水を回転するローラーで送って刷版に供給し、またインキも回転するローラーの中で練り込みながら刷版に供給する、そしてブランケットに一度転写してから、これまた多種多様な薄い紙にインキを転写する、といったオフセット印刷が安定しているというのが不思議なくらいですよね。まあ、あまり印刷現場の弁護ばかりしていても本題からそれるので、そろそろタイトルの話に戻りましょう。私的には印刷現場の標準化というものを、困っている内容から5つに分けて解決できるんじゃないかな、と思っています。他の書籍や有名な先生方の講演会の内容より簡単に分類しているので、ご意見・ご不満もあるかと思いますが、これで問題解決の糸口になってもらえたらありがたいです。

印刷現場における究極の標準化は「だれが、いつ、どの機械で、どのようにやっても、同じ時間で、同じ印刷物を製造できる」ということかな。そしてこの条件に近づけるためのものさしは「基準(標準)濃度」であり、行うべき項目は下記の5項目を挙げてみました。

1.印刷機械の原点出し
2.やり方(手順)の統一
3.刷版工程の安定化
4.工場環境の安定化
5.校正刷りに基準を持つ


とにかくまず、ものさし(基準カラー)を買う(決定)ことにしましょう。
リンゴの絵柄を印刷するのにAさんは「鮮やかな赤のリンゴ」を想像するかもしれないしBさんは「少し濃いめの赤いリンゴ」を考えるかもしれません。こういったズレを個人ごとに持っているのでは標準化は進みません。「うちの会社のリンゴはこの色だ」と決定しなければならないのです。このリンゴの色こそが、この会社のリンゴの基準濃度となる訳です。
さて実際に取り組む時は、リンゴや物ごとに基準を決めていたのでは、当然大変なので印刷現場での基準はプロセス4色(スミ・アイ・アカ・キ)のベタ濃度で決定します。一般的にはスミは1.85〜90 D、アイ・アカは1.60〜1.70 D、キは1.30〜1.35 Dという所で設定している会社が多いようです。単位のDとはデンシティと読み、印刷物(反射原稿)の場合はインキに白色光をあて反射してきた光から、はじき出される数字です。(入射光を反射光で割った値の常用対数なんだけど、試験を受ける人以外は覚えなくてもいいかな?)測定の方法は、濃度計や分光式測色計などというものでベタ部を測定し、濃度を決められた値に管理します。

<カラーパッチの取付け例>

実際の印刷物では上記のように最低でも3〜4カ所にスミ・アイ・アカ・キのベタマーク(ベタパッチ)を入れて印刷し、色合わせの時にこのベタマークを測定します。測定した結果が前述した基準濃度になっていれば、その印刷物は「標準化された」印刷ということになります。実際に手動測定の場合は測る位置等によって誤差もあり、概ね±0.07 D以内であればOKと判断して良いでしょう。この他に印刷機械メーカー各社が自動の濃度測定装置を販売しているので、かなり値段は張りますがメーカーに問い合わせてみるのも一つの手だと思います。こういった装置は専用のカラーパッチもセットで販売されておりデータでもポジフィルムでも供給してくれます。いずれにせよ、この管理方法で究極の標準化の「だれが・・・・同じ印刷物を製造できる」のうちの「だれが>」の部分が達成できることとなります。

<各機械メーカーの品質管理装置>
メーカー 装置名称 装置特徴
ハイデルベルグ イメージコントロール 絵柄全体をスキャニングして色調を管理・補正するため、カラーパッチ等の焼き込みが不要。パッチ読み取りタイプにクオリティコントロールという装置もある。いずれも単独筐体型。
マンローランド ICC カラーパッチ読み取りタイプ、単独筐体型。上位機種のマルチICC−2DはXY軸で稼働し、用紙面の任意の点を測定することが可能。天地方向にも面付けの多いパッケージ物に効果有り。
小森コーポレーション PDC−S カラーパッチ読み取りタイプ、装置がオペレーションスタンドと一体になっており、導線が良く、省スペース。濃度計タイプのPDC-Liteもある。
三菱重工業 三菱色調管理システム カラーパッチ読み取りタイプ、単独筐体型。分光式測色計のタイプと濃度計のタイプの選択ができる。
リョービ PDS カラーパッチ読み取りタイプ、単独筐体型。ローコスト版に手動走査式のPDS−Eがあり、安価に標準濃度管理環境を手にするにはGOOD。

まあ、実際に稼働しているのは、こんなところかな。詳細は各メーカーに問い合わせをして下さい。では次項目では、いよいよ行うべき5項目について簡単にまとめてご紹介します。
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