反転機と専用機(2階建て)って何が違うの?
Last update/Apr.27,2004(Ver.7.0)

8色機はスゴイ!というのは前項で解ったかな?こちらから先に覗いた人も良かったら、前項「8色機って何がスゴイの?」もクリックしてみて下さい。
さて、8色機の2つの種類、反転機と専用機(2階建て)の違いと特徴をこの項ではお話しましょう。
まず反転機の代表は、反転8色印刷機の元祖、ハイデルベルグ社のSpeedmaster SM102-8P(当時は確かSM102APだったと思うが)で説明しよう。ごらんの通り形としては8色分のユニットがある機械なんだけど、赤く塗ったシリンダーが反転機構を持っています。4色以上の印刷物を刷る(5-8色印刷)場合は通常の機械と同じように受け渡すのですが反転印刷の時は、一度用紙が通り過ぎて用紙の尻側をくわえて次のシリンダーへ持っていきます。10,000回転以上で稼働している印刷機内でこんなにも過酷!?な機構が組み込まれているんです。高いはずだね。
反転機の最大の特徴は、とにかく表裏4/4色の印刷もできるし、5色・6色などといった多色印刷ができることでしょう。
ちなみにハイデルベルグ社の反転機の現行型は、下段大径の排紙胴を追加したSモジュール(SM102-8-P-S)となっています。

<ハイデルベルグ(ドイツ)/Speedmaster SM102-8-P>
<ハイデルベルグ(ドイツ)/Speedmaster SM102-8-P-S>

続いて専用機(2階建て)の代表は両面カラー印刷機ブームの火付け役となった名機、アキヤマインターナショナル社のJ-Printで説明します。この機械は2階建てとも呼ばれるようにオフ輪のように、上下に印刷ユニットがあり、途中で用紙を反転することなく両面を印刷していく機械です。途中で用紙を反転するといった複雑な構成がなく、また用紙のくわえが同一なので、刷版も通常のストレート機と同様になるので、非常にわかりやすい機械と言えるでしょう。この専用機の最大の特徴は、くわえ換えがなく、機械の設置面積が狭い、ということでしょうか。

<アキヤマインターナショナル(日本)/J Print(4P440)>

最近では、この2種類以外にも、もう1種類のタイプ(三菱重工製/DAIYA300TP、いわゆるタンデムパーフェクターという機械)が発売されているけど、これも専用機の一種なので後述で紹介だけにさせてもらいましょう。
ここ数年、各社の技術レベル、特に圧胴ジャケットの性能があがり、品質的にはストレート機にかなり近づいてきているけど、品質は後述するとして、まずそれぞれの機械の長所/短所を比較書き出してみよう。下の表の通り、一方の長所が、そのままもう一方の短所になると考えて下さい。

<反転機/両面機の長所と短所>
機種 長所 短所
反転8色機 5色以上の印刷ができる
(6色+OPニス、Hi-Fi印刷など)
操作性に優れている
(階段の上り下りもなく、オペレーターの負荷が少ない)

機械が長い刷版工程が手間
(紙サイズで絵柄開始位置が変わる、また焼付けは5-8胴は天地逆焼き)
印刷面積が制約される
(両方向クワエのため10mm+10mm狭くなる)用紙の化粧裁ちの問題(用紙の天地サイズのバラツキが大きすぎると折れや紙落としの原因となる)
表裏濃度差の問題
専用8色機 設置面積は4色機と同じ
刷版工程が楽
(絵柄開始位置等焼きは同じで片面機への刷版後の変更も可能)
印刷面積はストレートと同じ(片側クワエのため) 両面ともジャケットに取られるため表裏濃度差は目立たない。
5色以上は常識的にできない(5/5色、6/6色専用機なら別だが...。)
天井高が必要

機種選択の分かれ道は5色以上の印刷の比率と設置場所じゃないかな。
「うちの会社は表裏4色ばっかり」というのであれば、機構的には両面専用機(2階建て)の方が制約が少なく理想的な選択だし、設置面積も少なく、GOODかな。また「うちは6色や7色が多いんだよなあ」といった会社には反転機の選択、といった感じで色数での絞り込みが選択のキーワードでしょう。
おおよそ3割から4割ぐらいが5色以上の仕事であれば反転機、以下ならば専用機といった感じが目安かなー?。こればかりは購入者と現場が保有している機種、仕事の傾向・品質をみて慎重に決めて下さい。決して僕のせいにしないでね。両面専用機は最近、5/5色、6/6色などがラインナップしてきており多色の問題も解決しつつあるしね。
もうひとつの判断基準は設置場所。これは、有無を言わせないものがあるよね。天井が低い工場では、いくら頑張っても専用機(2階建て)は入らないし、従来4色機のあった場所に8色機を納めようとしても絶対ムリだし、まあ判断基準というか、物理的な選択だけど、これが決定要素になっていることが非常に多いことも事実です。
最終的には、これに品質の評価を加えて判断することになるんだけど、品質に関しては賛否両論で(専用機は見当が悪いとか、反転機は表裏濃度差がひどくて帯や見開きには使えない等)とても「こっちが良い!」とは判断ができないけど、私が見てきた限りでは、どちらの機種においても商業レベルではほとんど問題ない、ってこと。実際に自動車やAV機器などの立派なカタログ、教科書や学習書、映画のパンフレット、地図類...数限りないものがすでに両面機(反転機・専用機)で印刷されているのが何よりの証拠、今後、の印刷業界にとって避けては通れない設備機械何だろうね。(メチャクチャ高いけどね)
最後に両面8色機を効率良く稼働させるコツを伝授しましょう!品質は問題ないと先ほど書いて「話が矛盾しているぞ!」と言われそうですが、両面8色機はストレートと全く同じ品質は出ません。これを大前提に認識して

@仕事の振り分けをすること(なるべく両面機の性質にあったものを集中的に印刷する)
A資材の研究を怠らないこと(ブランケットやインキが品質の大きな要素、いろいろなメーカーを試すことも必要)
B8色機に対して強い信念と責任をもつ現場責任者を作ること(引き算で機械を評価しないで、足し算で考えよう)

という所でしょうか?上手く使用している会社は必ず、この3点が実行されていると感じます。
とにかく印刷機、ことに両面8色機は非常に高い機械です。会社内で話合って、自社にとって最適な機械を選択して下さい。では最後に他のメーカーの両面8色機もご紹介して、この項を終わりにさせて頂きます。

◎両面専用機(2階建て)

<小森コーポレーション(日本)/LITHRONE 40SP(L-440SP)>
今や両面専用機の代名詞といえばコレ。秋山印刷機械(現アキヤマインターナショナル)との特許問題もあったが、倍胴による咥替の少なさと独自のデリバリーで確固たる地位を築いた機械。

<三菱重工(日本)/DAIYA 300XP(DAIYA308XP)>

ついに登場!?天下の三菱重工が上記2社に遅れること数年を経て、満を持して、この2004年に両面専用機を投入(タンデムはあったが)。胴配列は小森コーポレーションのLITHRONE40SPと同じで自社のDAIYA300TPを水平展開させたスペック、先行2社をどれだけ追随できるか?

◎反転兼用機

<マン・ローランド(ドイツ)/ROLAND700(R-708-3B)>
反転機というと3本構成になるのが普通だが、この機械はたった1本の倍胴で反転する機構を持つ、世界で唯一のマシン。また渡し胴にはトランスファータ(胴中無し)を採用でき、ストレート多色印刷時での、コスレを無くしている。

<小森コーポレーション(日本)/LITHRONE S40P(LS-840P)>
2階建てのイメージの強い小森コーポレーションが2003年に発表したのがこの反転機。オール倍胴構成とデリバリ立上げシリンダ(チェーンレス)で両面機の立ち上がり部コスレの解消を狙ったマシン。

<三菱重工(日本)/DAIYA 300TP(DAIYA 308TP)>
反転機が苦手(私の偏見か?)な国内メーカーにあって、産み出された異形な機械。片面ずつ印刷するので見当が良化し、また咥替も無い理想的なマシンだが、逆に設置面積は大きくなり、当然5色以上の印刷はできない。色数のバリエーション(表6色/裏2色など)で専用機すると良さそう。
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