反転機ってどうやってひっくりかえすの?
Last update/Apr.26,2004(Ver.4.0)

反転、反転というけど、あれだけ早いスピードで動いている機械の中で、どうやって用紙をひっくりかえしているんだろう、とみなさんも疑問に持っているはず。機械のセールスマンも反転については良くわからない人多いよね。(僕もそうだった?!)その辺を少々図解して説明しましょう。但し各メーカー、いろいろな反転機が出ているので、今回はもっともクラシックで多く使われている単−倍−単の反転装置で説明します。この単−倍−単というのは単胴の渡し胴、倍胴の渡し胴(反転倍胴)、単胴の渡し胴(反転胴)と3本のシリンダーを使って反転する機構のこと。覚えておくと、ちょっとカッコ良いよ。ます通常、片面印刷の時の受け渡しからみていこう。通常の受け渡しは見ての通りです。反転倍胴(赤色の太い胴)から、そのまま、反転単胴(赤色の細い胴)へ受け渡されていきます。図中の黄色は受け渡し点でストレート(正転)時の爪の位置を表しています。

<反転機のストレート印刷時の用紙の流れ>

それに対して反転印刷の時は下の図の2のように、本来受け渡す場所で用紙を受け渡さず通り過ぎてしまいます。そして図3で用紙の尻側が受け渡し位置に来た時に反転爪(緑色の点)が用紙をはがすように持っていきます。あとはストレートの時と同じです。このフローのとおり、反転時は用紙のサイズ(天地長さ)に合わせて反転爪の位置を調整し、受け渡しをすることが解るかと思います。10,000回転を超える印刷機の中でこれだけ繊細かつ複雑な動きをしている反転機は、まさにメーカーの技術の結晶なんです!

<反転機の両面印刷時の流れ>

まあ、これ以外にも各社が様々な反転機構を開発していますが、行き過ぎた用紙の尻を掴み直すといった根本の所は一緒で、胴配列や爪の持ち替え方に各社、独自性をだしている、といった感じです。また、ストレートと反転の切替作業も自動化が進んでおり、かなり小型の機械まで、用紙サイズを入力してONにするだけの自動反転が装備されているのが現状です。

さて、最後に反転機のデメリットを説明しておきましょう。

刷版の焼き位置(刷版開始位置)を用紙サイズによって変えなければならない。
反転後はくわえ尻がくわえになるので、紙サイズによって焼き位置を変えることによって、表裏の見当を合わせます。つまり用紙が小さければ小さいほど反転後の版は焼き位置は尻側にいくことになります。もちろん用紙がひっくりかえるわけですから絵柄も天地が逆になります。

印刷面積に制限が出る
これは単純に両方向をくわえるため、通常、片面印刷であればくわえ10mmの余白でOKなのですが両面機の場合は天地で10mmづつ、都合20mmの余白が必要となります。つまり片面機と較べて10mm、印刷できる面積が減る、ってことです。この10mmが非常にクセモノで、例えば、裁ち落としのないA4の冊子を4面付けした場合、片面機では210+6(センターのドブ)+210に天地10mmの余白を加えて436mmとなりA半の用紙(天地439mm)で事が足りてしまうのですが、反転機の場合は+10mmで446mmとなり特寸か菊半(天地470mm)の用紙を用意しなければならなくなるため、用紙代が余分にかかり、また先方紙(支給紙)の場合は片面で印刷しなければならないという事態にもなります。

用紙寸法がシビアになる。
解決可能なことですが、印刷用紙の天地寸法にあまりバラツキがあると(だいたいどのメーカーも±1〜2mm)、トラブルの原因になります。通り過ぎた用紙の尻側をくわえていく訳ですから、設定した位置より短ければ、当然、つかみ損ねて落っことしますし、長いと爪のふところに引っかかって折れてしまうのです。この解決方法としては、用紙メーカーと協力することや用紙の保管方法を考えるなど対処がありますが、反転機にかける用紙は必ず化粧裁ち(再断裁)するというのが最も安全な方法でしょう。

ドブの問題(吸引車コスレ)
印刷機のデリバリー部は用紙をストップさせ、排紙をきれいに積載するため吸引車というものが装備されています。文字通り用紙の裏面を吸引してブレーキをかける訳ですが反転機の場合は裏面にも印刷されているので吸引してしまうとコスレ傷が発生してしまいます。そのため反転印刷機の場合は裏面(印刷順でいうと先刷り面)に全面の印刷はできません。最低でも3カ所ドブと呼ばれる吸引車の通る道を作れなければなりません。各メーカーかなり細い吸引車を用意してきていますが、この問題が反転機(または両面機)の最大の課題となっています。

反転ジャケットの問題
これも大きな問題の1つですが、下図のように表面(後刷り面)を印刷刷る時は裏にWETなインキがのっているため、普通のメッキしたシリンダー面ではインキが残って印刷になりません。従って反転機にはジャケットと呼ばれる特殊なセラミック溶射をしたプレートがシリンダーに巻いてあります。これによって、インキの圧胴面への付着を抑え両面印刷を実現できるわけですが、このジャケットも万能ではありません。コート紙やアート紙にベタベタな印刷物(200%近い絵柄)などを印刷した場合は、数百枚印刷しただけでジャケット汚れが発生しバタフミやダブリを引き起こします。
この反転機の限界点は印刷枚数・用紙の性質等でも基準が変わってきますが、社内で基準をもうけ、機械・インキメーカーとも相談し、慎重に仕事を振り分けないといけません。
同様にこのジャケットが引き起こすトラブルとして表裏の濃度差、というものがあります。先刷り面(裏面)はジャケットに押しつけられながら印刷されてくるのですが、後刷り面(表面)はジャケットに触れることなく、印刷されてきます。そこで両面同じ絵柄を同じデータで印刷した場合、表裏の濃度が違ってしまう問題があります。ページ物で表裏で見開きが構成される面に写真がきていたり、帯や見だしなどの色にバラツキがでてしまうなどのトラブルになります。これに関しては各メーカーのジャケットの面の改良、インキメーカー他資材メーカーの対策品でかなり良いレベルまできていますが完全には解決していない状況です。
とにかく「8色印刷機って何がスゴいの?」にも記載していますが、どんなに好条件を揃えても片面機で刷った物とは若干の品質の劣化(ベタのツブレ不良/ジャケット目)があることを認識しながら機械を使用することが大切です。

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