インラインコーター装置の種類と構成
Last update/May.1,2004(Ver.5.0)

さて、本項目では具体的にインラインコーターの構成とロールコーター、チャンバーコーターといった装置の種類について説明していきます。まずはインラインコーター機の構成ですが、これは使用するニスで大きく変わってきます。前項「印刷物の表面加工とコーターの仕組み」でも説明した通り、ニスには大きく分けて、油性ニス・水性ニス・UVニスと3種類あります。それぞれにグロス(光沢系)のものとマット系(艶消し)のものがあり、また乾燥の方法が異なります。

<ニスの種類と乾燥方法>
ニスの種類 ニスの塗布方法とパターン塗り(スポットニス)の方法 ニスの乾燥方法
油性ニス(OPニス) 印刷機のツボに入れてインキと同様の手法で印刷。刷版上で絵柄をつければパターンのニス塗り可能。 自然乾燥(酸化重合)、
またはIR(赤外線)乾燥
水性ニス コーター胴(ニス専用ユニット)で使用。コーター胴のブランケットを切ったり、樹脂板等によりパターンニス塗り可能。 IR(赤外線)乾燥
UVニス コーター胴(ニス専用ユニット)で使用。コーター胴のブランケットを切ったり、樹脂板等によりパターンニス塗り可能。 UV(紫外線)硬化

<OPニスの構成>

油性ニスはOP(オーバープリント)やツボニスと呼ばれ、通常のCMYKのインキと同じように、ツボに入れて刷版−ブランケットとオフセットされてコーティングするニスで、かなりベタベタな印刷(パッケージとか包装紙など)の上に使用する場合は、上記図のようにIRランプなどを印刷後に組み込んで乾燥(下地のインキの乾燥促進効果もある)を促進したりする例もありますが、通常は特別な設備や装置を組み込むことがなく、印刷そのままで手っ取り早くニスコーティングをする手法です。通常のインキ以上に乾燥が悪いので、ブロッキングに注意が必要です。

<水性ニスコーターの構成>
水性ニスは水溶性のニスで、タック(ねばりっけ、というべきか)がないため、ツボで用いることはできません。従ってコーター胴(ニス専用ユニット)の装備された機械でのみ、使用できるニスです。通常はニスタンクによって機械の方へ循環され、ニス舟の中に送られたニスがローラーを介してコーター版胴(ブランケット)に塗布され、それから用紙に転写されコーティングされていきます。コーター版胴(ブランケット)のゴムをカットし、切り抜く(実際は剥がし取る)ことでニスが塗れる部分と塗れない部分を作ることができます。まあ、一般的にはブランケットを剥がす時は、窓を抜きたい場合(糊付け部分とか後から印字したい場所などを抜いてニスがのらないようにする)に使用し、一部分だけをコーティングしたい場合などは樹脂凸版を使用したりします。
また、乾燥は一般的には赤外線のランプと熱風装置を使い、出口部分で冷風を用紙に当てるといった構成が一般的です。

<UVニスコーターの構成>
<UV+IR兼用ニスコーターの構成(ランプ並列型)>

UVニスは紫外線硬化する素材がはいったニスのことで、水性ニス同様タックがないため、コーター胴(ニス専用ユニット)で使用されます。コーティングのされ方も水性と全く同じなのですが、乾燥部分が大きく異なります。UVニスでは赤外線ランプの変わりにUVランプを使います。UV光によってニスの中の成分が瞬時に硬化し乾燥させます。(乾燥というよりは硬化する)
一般的に水性ニスよりも乾燥適正に優れ(即時硬化だから、当然なんだけど)、また光沢度もあるとされています。デメリットとしてはUVニス使用時は印刷インキの方もUVインキを使用しなくてはいけなく(油性インキ+UVニスの組合せは油性のインキがニスを吸収してしまい、絵柄部分の光沢が無くなり、また色変わりが激しい)、コスト面で大きな問題となります。またUV硬化時、独な臭気を発生することや、洗浄等の溶剤がかなり強めのものを使用しなければならないなどの問題も残しています。

インラインの表面加工(ニス)と乾燥装置の関係は理解できましたでしょうか?最後にコーター胴(ニス専用ユニット)について、新しい形の物が採用されはじめているので説明しておきます。上の図にもあるように従来のコーター胴は3本のローラーを使ってコーター版胴(ブランケット)に転写し用紙に塗布していました。ニスをロールによって用紙に伝えることからロールコーターと呼んでいます。それに対して最近、徐々に増えているのがチャンバーコーターといわれるタイプの物です。チャンバーとは「小箱」という意味でニスが充填されている(実際はニスタンクから循環されているのだが)箱と思って下さい。これが細かく、均一に凹んだローラー(メッシュ)にドクターでこきながらニスを転移させ、ブランケット−用紙と塗布していきます。凹版印刷と同じ原理なので、ムラが出ることがなく、へこみ部分の深さを代えることにより超厚盛りのニスを塗ることも可能です。
それぞれのメリット・デメリットは上記の表を参考にして下さい。特に選定の大きなポイントになるのが、極厚盛りをするのか、しないのかという部分でしょう。但し、ニスの使用目的はP-P貼りの代わりにするなど光沢を求める要素が大きく、またニスそのものの扱いもチャンバーの方が楽であり、盛り量をある程度決められるのであれば、迷わずチャンバーで設備した方が良いでしょう。

<ロールコーター(従来タイプ)とチャンバーコーター>
ロールコーター(クラッシックタイプ) チャンバーコーター
○ローラーの回転量で盛り量を簡単に変更できる
○設備の価格が安い
○設備実績台数が多い

×極厚盛りをするとニス飛びやニスムラが発生する
×マット系のニスに弱い
×粘度コントロールがシビア
○ニスの極厚盛が可能である
○ニスのムラ・目が発生しにくい(マット系のニスに最適)
○水性の金ニス・銀ニス・カラーニスの塗布が可能
○チャンバーが取り外せ、清掃やセットアップが楽で早い
○粘度コントロールがロールコーター程、シビアではない

×盛り量を変える時はアニロックスローラーの交換必要
(アニロックスローラーは1本\1,000千円近くします)
×設備の価格がロールコーターよりも高い
×チャンバーシーリング・チャンバー刃が消耗品である
長くなりましたが、最後にチャンバーコーターに使用する、アニロックスローラーの選択の目安を(続く)
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